概要
ゲーム『ゴーストトリック』の物語中に登場するキーワード。
由来は「明日ある」だと思われる。
物語中ではリンネの命を狙うド近眼のジーゴによって初めて言及され、それによると黒幕の目的はこの国からアシタールの痕跡を抹消することらしい。
また、肉料理店『キッチンチキン』が位置するオナクナリ通りへの近道にはこの名を冠した『アシタール公園』が存在するが、リンネ曰く「あそこでは良くないことが起こる」らしく、実際ここを通ろうとしたカノンが事件に巻き込まれる等、やはり単なる公園ではないことが伺がえる。
なお、このアシタール公園については宅地化に伴う閉鎖が計画されており、この公園に住み着くホームレスのダビラによって反対運動が起こされている。
彼曰く、この公園には「神のイシ」が宿っているそうだが・・・?
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本作最大のネタバレ注意!!!
正体
本作における全ての元凶。
その実態は10年前に宇宙から飛来した隕石であり、これが多くのカケラをまき散らしながら降り注ぎ今も埋まっている場所こそが後のアシタール公園である。ダビラの言っていた「神のイシ」とは「意思」ではなく文字通り「石」ということ。
これが降り注いだ当時、ちょうどこの公園で遊んでいた幼いリンネを人質にしていた逃亡犯ヨミエルの心臓にカケラの一つが命中し死に至らしめたことが現代まで多くの人生を狂わせる悲劇の始まりとなる。
性質
アシタールとそのカケラは常に特殊な放射線(オーラ)を放出している。序盤でクネリが「特殊な死者の証」と推測していた、『シセルの亡骸』から漏れ出ている何かの正体がこれで、本来はヨミエルの遺体であったそれに埋まっているカケラから放たれていたものであった。この放射線は生物に対して、大きく分けて「チカラ」と「時間」という二つの影響を与える。
チカラ
死者のチカラの正体。 生物がこの放射線を浴びながら死亡すると、その魂は「トリツク」「アヤツル」「トリカエ」といった様々な力を得、「死者の世界」を通じて現実世界に干渉出来るようになる。そのチカラには個人差があり、ある死者が当たり前に出来ることが別の死者には出来なかったりする。またチカラは時間と共に変化し、それまで出来なかったことが出来るようになることもあれば、チカラが弱まることもある。
アシタール本体は今でも公園の地面に埋まり放射線を発している他、ヨミエルの体にも依然カケラが埋まり続けている為、その近くで死亡した者達がチカラを手にすることととなる。
時間
この隕石は「死」の瞬間を再生しようとする性質があり、その影響でアシタールのカケラが埋まったヨミエルの体は瞬間的に「死」と「生」を繰り返している。ヨミエルの体が10年前から腐敗も老化もしない上に至近距離の爆発にも無傷でいられる程の異様な耐久力を持っていたのはこれが理由で、とっくに生命活動を停止していながら、この性質により常に再生し続け「死」の瞬間のまま体内時間が止まっている。
また、これ以外にも「死」と関係して時間に干渉する性質があるようで、シセルは「死の4分前に『モドル』」チカラもこれによるものと推測しているが、長らく研究を行ってきたゴミ捨て場の管理人やカバネラもこれについては解明できておらず、10年間カケラとそのチカラを宿してきたヨミエルにも詳しいことは分からないらしい。
アシタール公園
前述の通り、アシタールが降り注いだ公園。その地下には未だにその本体が埋まっており、その上には『神の石 アシタール公園』と書かれた石碑が建てられている。
そしてリンネにとっては逃亡犯の人質として捕まり銃を向けられるという恐ろしい経験をしてしまった場所でもある。
なお、ヨミエルによる一連の事件が『アヤツル者』によるものとして捜査されるに伴ってこのアシタールに関しても研究が行われており、一見平和に見えるこの公園はそのアシタールが埋まった重要な場所として武装したエージェントによる監視下におかれ、ヨミエル曰く国家レベルの『静かな戦場』となっている。その為、シス司令官らの国はヨミエルの持つチカラの正体を突き止めるも公園から直接アシタール本体を奪うことは出来ず、取引を装ってヨミエルの体から抜き取る算段を立てざるを得なくなった。また、ダビラがしきりに反対している公園の宅地化計画も、アシタールを他国や敵対勢力から確実に防衛する目的で進められていたものである。
関連人物
- ヨミエル:ある意味最大の被害者。無実のスパイ容疑を掛けられたことで公園に逃げ込みリンネを人質にしたところをアシタールに貫かれ即死するも、上記のアシタールの性質によって不滅の肉体と死者のチカラを手にする。しかし人間としての命を奪われたことに加え、婚約者が後を追って自ら命を絶ってしまったことで大切な人まで喪ったうえに、肉体も魂も「生」と「死」の狭間に閉じ込められて消えることすら許されない孤独な存在と化してしまう。その結果心を蝕まれた彼は自分の死に関わった全ての者への憎しみに囚われ、「アヤツル者」としてジョード一家を始め多くの人々を傷つける復讐鬼へと身を落とすこととなった。
- リンネ:幼少期に公園で遊んでいたところを逃亡したヨミエルによって人質にされてしまう。ヨミエルが絶命したことで死傷することこそなかったものの心には決して浅くはない傷を負うことになった上、ヨミエルからは「リンネが公園で遊んでいなければ人質も取らず死ぬこともなかった」という逆恨みのような理由から復讐対象にされてしまった。さらに10年後ジョードの事件を捜査していたことからアシタールの真相に辿り着きかねない者としてシス司令官からも命を狙われてしまい、作中では何度も命を落とす羽目になってしまった。
- ジョード:逃亡したヨミエルを公園まで追ってきた刑事だった。しかしその際威嚇射撃をしたことがヨミエルを乱心させ人質を取る結果となってしまったことからヨミエルの復讐対象に。妻のアルマを娘の作った仕掛けによって殺されるという最悪な形で喪った上、自らはその犯人として処刑されることとなるなど、特に悲惨な人生をおくることとなった。また自身も、そこまでヨミエルを追い詰めたこと、アシタールが偶々落ちなければ自分が間違いなくヨミエルを撃ち殺していたであろうことに対する深い後悔に現在まで苛まれ続けている。
- カノン:ジョードの娘。ヨミエルにアヤツられて誕生日祝いの為の仕掛けを殺人マシーンに作り替えてしまい、母アルマの命を事実上奪う形に。その為「(ジョードは)自分のせいで死んでしまう」と思っており、現在でも当時の記憶に苦しみ続けている。
- カバネラ:ジョードの同期にして親友。10年前にスパイ事件の重要参考人としてヨミエルを取り調べていたが、手柄を焦った若気の至りから必要以上にヨミエルを追い詰めてしまう(本来は軽い事情聴取だけの予定だった)。それに加えて席を外した際にピストルを置き忘れてしまったことがヨミエルの人質事件、及び死亡に繋がってしまったことで復讐対象になる。ジョードがアルマ殺害の犯人として有罪判決を受けて以降は、親友の無実を証明する為に「アヤツル者」の事件の捜査に人生を捧げ(出世に固執し特別捜査班班長になりあがったのもその為)、ゴミ捨て場の管理人の協力もあって死者以外では誰より早く真相に近づいていた。
- シス司令官:ヨミエルの国外通信を傍受し取引を行うべく潜水艦『ヨノア号』で接触。しかしその裏でアシタールの真相には既に辿り着いており、裏切る算段を立て独自に行動していた。
- ダビラ:10年前からこの公園に住み着いていたらしく、リンネが捕まってからアシタールが降り注ぐまでの顛末を目撃していた。それがきっかけとなって現在でも神のイシ=アシタールとそれが埋まったこの公園を信奉し宅地化反対運動を起こしている。