「今こそ立つとき!天命我にあり!」
解説
「天地を喰らう」は1983年から1984年まで週刊少年ジャンプで連載されていた漫画である。
著者は本宮ひろ志。「三国志」(「三国演義」)を題材にしているが、天上界や魔界といった
ファンタジー要素も盛り込まれている。
原作の漫画は、劉備一行が「封禅の儀」を行うため泰山へ登るシーンで物語は終わってしまうが、
後にカプコンから発売されたテレビゲーム(詳しくは後述)が有名になってしまい、漫画よりは
ゲームの方が知名度が高い。
登場人物
主人公。中山靖王の末孫で漢の景帝の子。村の悪がきだったが、幼馴染の孔明と共に天上界へ行き、
魔界の主”呑邪鬼”を倒し、天下一の”剛胆”を手に入れる。人間界に戻った劉備は関羽、張飛と
運命的な出会いを果たし、三人は義兄弟の契りを誓う。
黄巾賊討伐では魔界へ向かい、孔明、麗、嵐とともに、黄巾賊首魁”魔界の幻鐘大王”を倒し、
天上界の天護将軍になるはずだったが、人間界の惨状を見て、民のために戦い続けることを決意し
人間界へ戻る。以降は関羽、張飛ら仲間たちと共に、董卓の野望を打ち砕くために義勇軍を結成する。
最終話は「封禅の儀」の聖天子として、泰山へ登る。
元黄巾賊。劉備の貫禄にほれ込み、義兄弟の契りを交わす。青龍えん月刀が武器。
赤水城で劉備、関羽に出会い、義兄弟の契りを交わす。他の三国志作品とは違い、隻眼である。
また、武器は主に両手剣と手作りの弓矢で戦っていた(他の三国志作品では蛇矛が主武装)。
劉備の幼馴染。智力を求めて、劉備と共に天上界へ行く。天上界の竜王の娘、麗の婿となる。
魔界で劉備たちと共に幻鐘大王を倒すが、劉備と同じく人間界へ戻る。
その後は、道中で趙雲と出会い、旅を続けている。
嵐
天上界の天女。竜王の5番目の娘。劉備の妻になると誓う。龍や馬に変身する能力を持つ。
幻鐘大王討伐後、彼女も人間界へ下りてしまう。最終話では劉備と共に「封禅の儀」に参加する。
麗
天上界の天女。竜王の4番目の娘。孔明の嫁となるが、孔明は人間界に下りたため、離れ離れになる。
孔明の安否を気遣い見守り続けている。
幻鐘大王
黄巾賊の首魁”張角”の正体。魔界の大魔王。黄巾賊を影で操り、地上乗っ取り計画を目論むが、
劉備、孔明、嵐、麗たち人間界と天上界の勇者たちに倒される。
しかし、大王が死んでも遺体は108の魔星となり、108人に降り戦乱の元凶となる。劉備と曹操
にも落ち、劉備以外は魔性の虜になる。
乱世の奸雄。ロングヘアーとオカッパがチャームポイント。かつては、嵐と交わって”天下”を
取る力を手に入れていた。董卓暗殺に失敗した後、群雄たちと共に連合軍を結成し董卓と戦う。
兵法にも長けており、難攻不落の虎牢関を皆既日食による奇襲作戦で陥落させ、連合軍に勝利へ
導いた。その後は、他の群雄と同様「人民の苦しみを省みない権力者」として描かれる。
涼州の長官。相国となり、悪政を行う。最後は呂布に殺される。
董卓軍最強の武将。劉備兄弟と壮絶な死闘を繰り広げる。その後、董卓を殺害し漢の宮廷を掌握する。
漢人と西洋人種の混血で、西洋人風に描かれている。
呂布の妹。彼女の謀略は我欲によるもので、呂布はその謀略を恐れながらもそれに従う立場となっている。
呂布が董卓を殺害するきっかけは、「兄上、私はあんな獣の子など、生みとうはありませぬ。」(貂蝉談)
火虎、周超、宋勇、宋仁
劉備兄弟が率いる義勇軍のメンバー。
ゲーム版の概要
漫画連載終了から5年後、カプコンよりゲームが発売された。ファミコン版はRPGとして、アーケード版は
アクションゲームとしてそれぞれリリース。原作にあった世界観や天上界、魔界のキャラクターは残念ながら
登場しないが、馬超、黄忠、関興など原作の漫画には登場しなかったキャラクターが多数登場している。
ファミコン版RPGシリーズ
天地を喰らう
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
1989年5月19日発売。
敵武将を買収で仲間に出来たりするなど、シミュレーション要素も盛り込まれたRPG。武将のHPは兵士の数で
HPが少なくなると、攻撃力が激減する。
天地を喰らうⅡ 諸葛孔明伝
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
1991年4月5日発売。
蜀漢最強の天才軍師”諸葛孔明”にスポットを当てたRPG第2作。ゲームシステムも前作よりさらにパワーアップ
されていて、遊びやすくなっている。対ボス戦BGMは屈指の名曲。ストーリーは原作の漫画よりは「三国演義」か
「横山光輝の三国志」に準じている。
赤壁の戦いイベント
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
天地を喰らう 三国志群雄伝
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
1995年8月11日発売。
スーパーファミコンでリリース。コーエー(現・KTゲームス)の「三國志」シリーズタイプのシミュレーション
ゲーム。おなじみの群雄から一人選んで中国統一を目指す。味方武将の意見を聞きながら政治を進めよう。
シナリオは全部で3つ。
天地を喰らう(アーケード版)
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
89年稼動開始。
アクションゲーム。劉備3兄弟と趙雲を動かして、左右攻撃ボタンと計略ボタンを駆使して戦う。攻撃ボタンは
ボタン連打で”流星剣”、溜め撃ちで”真空剣”を繰り出せるぞ。経験値による成長システムがある。蒼い玉を
三つ集めるとパワーアップ。エンディング後の次回作に続くテロップは衝撃的。
天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
92年稼動開始。
ファイナルファイトタイプのベルトスクロールアクションで完成度高い。関羽、張飛、趙雲、魏延、黄忠の5人から
選択。曹操を撃退することがこのゲームの目的。各キャラクターに必殺技を持ち、後のカプコンからリリースされる
ベルトスクロールアクションゲームに多大な影響を及ぼすことになる。そして、難易度上昇でベルトスクロール系
アクション衰退の一途をたどる。
ちなみに、曹操軍女兵と劉備の妻(原作での嵐ではない)のデザインは
当時、カプコンのクリエイターだったあきまん氏によるもの。
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)モト企画 (C)CAPCOM
パチスロ 天地を喰らう
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)FIELDS (C)RODEO (C)SAMMY
2008年10月稼動開始。
メーカーはカプコンではなく、ロデオから。ロデオから展開しているパチスロ「本宮ひろ志」シリーズで初の3DCG
を駆使したリーチ演出が特徴的。
カプコンのゲームでは登場しなかった原作の主要キャラクター(嵐、麗など)も
多数登場する。また、原作漫画のシーンやシチュエーションも再現。
(C)本宮ひろ志/集英社 (C)FIELDS (C)RODEO (C)SAMMY
おまけ
あのキャラが、三国志大戦カードに!
上記のゲーム作品以外にもセガのアーケードカードゲーム「三国志大戦」でも
「天地を喰らう」のキャラクターがレジェンドカードとして登場している。
劉備、関羽、張飛、趙雲、呂布のほか、カプコンのRPGに登場した馬超の6種類。ただし、
馬超は「三国志大戦」の為に新たに書き起こされたキャラなので、カプコンのRPGとは
デザインが異なる。
カプコンのゲーム、国外での評価。
カプコンの「天地を喰らう」のゲームは中国、台湾などのアジア圏で好評を博し、中には無許諾で続編を作ったり、
本宮ひろ志のキャラクターは引き継かず「三国志」色をさらに強めたRPGの続編がいくつか存在している。
特に『呑食天地』(現地向けの直訳タイトル)シリーズは「ラグナロクオンライン」タイプのオンラインRPG
にもなっており、未公認作品としての域を越えた存在になってしまった。
また、「天地を喰らう」のアーケード版は2作品ともアメリカなど国外でもリリースされ、
第1作目は「Dynasty Wars」、第2作目「赤壁の戦い」は「Warriors of Fate」にタイトル
を変えている。但し「Warriors of Fate」では、全てのキャラクターの名前が別の名前に
差し替えられ、ストーリーも国内とは全く異なるものになっている。また、最終面終盤での
曹操を逃がすか倒すかの選択肢も削除され、このまま曹操とのバトルになる。
(よって、エンディングは2種類)
ちなみに、第2作目「赤壁の戦い」のアジア向けタイトルは「三国志2」になっている。
こちらは、プレイヤーキャラと敵武将の名前が中国語表記になっている。