概要
エルマとパーティーを組んだ荷物持ちの青年。二十一歳。
茶髪寄りの黒髪で優しげな風貌をしている。
彼女のわがままな振る舞いとパワハラに耐えてきたが、「あんたはさっさとどっかで野宿でもしてきなさいよ!この役立たず!」とと心無い言葉を投げかけた事で彼女と絶縁、パーティーを離脱した。
マルグリドで火と再生の女神イグニフェルの力の一端とフェニックスローブを手にし、オルグレンでの戦いを経て、聖女を率いる勇者として世界を救う戦いに身を投じていく。
人物
心根の優しさの持ち主であり、困った者に対しては自ら助け、身の危険を省みずに魔物や敵対者に挑む。他者を傷つけるものや敵対者に対しては毅然と立ち向かっている。
一方でフィオが一目で姿を見るや「呼び込みの酒場でぼったくられる人の気持ちがよく分かった」だの、女神と会う時も「どうせ会うならむさ苦しいおっさんより綺麗なお姉さんの方がいい」と独白するなど、良くも悪くも欲望に忠実。とは言え、あくまでも性行為をするのは好きな人同士がするべきという考えであり、カヤがイグニフェルの存在を次世代に語り継ぐために自分と子を成そうとした時は、それを止めた上で諭していた。
嫁達のスタンス
とりわけ嫁である聖女達を大切にしており、愛を育んでいる。よって、彼女達に「手を出す」不埒者に対しては命を含めて容赦はしない。
当初はアルカディアを正式な嫁として迎えようとしなかったのだが、これは自信がないからではなく、不死身である自分とそうでないアルカディアでは同じ時を歩む事が出来ない事に因る。そうなる位なら「良き仲間くらいの間柄」に留めようと思ったが、アルカディアはそれを承知の上でイグザと共に歩む事を決心して一歩を踏み出した(後に、その問題は解決されたが)。
戦闘力
当初はエルマの荷物持ちという形で組まされたが、当人も荷物を守るので精一杯だったというほどに弱かった。だが、後にスキルが進化・派生した事で爆発的に強くなり、フェニックスローブと魔刃剣ヒノカグヅチを手にした時は、聖器を授かった聖女を圧倒する事が出来る。
スキル
- 《身代わり》
イグザが授かったスキル。
誰かの代わりにダメージを負うだけの効果というものであり、イグザも当初は何の役にも立たないと酷評していた。
だが皮肉にも、剣の聖女であるエルマを守る(=代わりに痛みを引き受ける)には十分であった為に、村の人はおろか、両親でさえもイグザをエルマの傍に置いていた。その為、修業中にエルマが受けた傷をただイグザが代わりに受け続けていた。
- 《不死身》
上記の《身代わり》が変化したスキル。
死を含めた、どんなダメージを受けようとほぼ一瞬で全快する回復速度を誇っており、アクシデントで火口に落ちてもイグザは無事であった。さらにはいくら走っても全く疲れないことから、スタミナにも適用されているが、悪臭や熱湯、火口の温度や引っ張られた時の痛みに苦しんでいた事から、感覚までは適用していない。
このスキルに進化したのは、今まで何度もエルマの傷を代わりに受けては回復するのを繰り返したことが要因だとイグザは推測している。
- 《不死鳥》
上記の《不死身》が火と再生の女神イグニフェルの力(の一端)によって変化したスキル。
死を含めたあらゆるダメージでもほぼ一瞬で全快する回復速度に、火属性攻撃の無効化も加わった。毒による攻撃(毒針)と服用も意味を成さないが、体を引っ張られる事への痛みは避けられない。
また、気合を入れる事で身体中から真紅の炎を発することができる。普段は人に危害を加えるものではないが、イグザが明確な攻撃の意志を持った場合は、熱量は増加して火属性攻撃となる。なお、炎の火力はイグザ自身によって調整されるので、威嚇目的で使用できる。
これらとは別に、イグザが「抱いた」者には、僅かながらにイグニフェルの力が宿って老いが止まり、病に苦しまずに済むという効果が見られる。
- 《体現》
上記の《身代わり》から派生したスキル。
過去に蓄積したダメージから技量とスキルを模倣するもので、エルマが受けたダメージを引き受けた事で、彼女の《剣聖》スキルを模倣した《疑似剣聖》を取得した。
後に、現在受けたダメージから模倣するものへと進化した事で、イグザが戦う度に、戦った相手のダメージで技量とスキルを疑似的に取得する事となった。
- 《完全受胎》
地と生命の女神テラから授かったスキル。
任意のタイミングで必ず妊娠させることが出来る、とこのスキルを体現したようなもの。
戦闘どころかあまりにも珍しい効果にイグザは頭を抱える一方、聖女達はかなり喜んでいた。
装備
- リザード装備
駆け出しの頃から装備していたもの。名称はキャラデザを担当したマッパニナッタ氏の資料から。
爬虫類型の魔物のリザードの鱗が強固な上に割安で手に入る為、駆け出しの冒険者にとっては重宝されている。イグザはエルマの意向で値段の高い装備を買うことが出来なかったので、長らくこの装備のままだった。
マルグリドの火口に落下してから脱出した後の彼が全裸になったことから、恐らくは焼失したようだ。
- フェニックスローブ
マルグリドに伝わるヒノカミ(イグニフェル)の御使いが着用した言われている伝説の装束。赤を基調としている。何かしらの経緯で、火山島マグリドの地下にある地底湖の様な場所に安置され、地底湖の水を用いて球体状の封印が施されたが、イグザが封印を解いた事で彼の所有物となる。なお、下着はない。
実はヒヒイロカネの繊維で編まれたモノであり、このローブが一度小さな粒子になったかと思えば、イグザの《不死鳥》スキルを持つイグザの肉体に寸分の狂いなくフィットし、ダメージを受けても一緒に再生する事が出来る。しかもイグザの成長度合いで見た目が進化する性質を持ち、イグザの力により第二形態にあたるスザクフォームへと進化できた。
古の賢者と前の時代の〝剣〟の聖者によって作られ、〝剣〟の聖者が着用していた。
武術都市レオリニアにて手に入れたイグザの武器。
- アマテラスオーブ
ドワーフの里で新たに手に入れた武器。
その外見は燃えるように蠢く真紅の勾玉といったものであり、初見で見たイグザは武器というよりは勾玉のような物と独白していた。上記の通り神器を神の力の結晶と位置づけたナザリィによって、アダマンティアを凄まじい炎で生成したヒヒイロカネを加工して造られたもので、これをイグザの体内に取り込む事で彼の両手の甲に現れた。
成長に合わせて武具型も変わる性質であり、現状において最善の武具型へと顕現できる。それは、このアマテラスオーブが状況に応じて様々な武器を自在に扱える事を意味している。
劇中では大剣、籠手、杖、長剣、槍、弓、斧へと顕現しているが、その力は段違いであり、神器を授かった聖者を纏めて相手にしても圧倒する程。
名前の由来は日本神話における太陽を神格化した女神『天照大神(アマテラス)』と思われる。
形態
- ヒノカミフォーム
《不死鳥》を授かった事で変身した、火の鳥形態。
火の鳥化する事でイグザは真紅の炎を纏う一羽の鳥となり、飛行を可能とした。
しかし日中では目立つ上に、サイズが大きい故にスピードも然程速くないという欠点がある。
- スザクフォーム
オルグレンの大北壁での戦いで進化した、フェニックスローブ第二形態。
人の姿のまま空を翔ることが出来る他、触れた相手のダメージを回復、術技の使用による消耗もない。イグザはこれを応用して〝汚れ〟を浄化させるという荒業を取った。
この姿になるとイグザの頭髪が白髪となる他、ローブのカラーリングも変化し、ベルトやブーツに古代文字のようなものが浮かび上がっていく。
人間関係
聖女
武術都市レオリニアにて出会った〝槍〟の聖女。
城塞都市オルグレンにて出会った〝杖〟の聖女。
- エルマ
村の幼馴染である〝剣〟の聖女。
彼女とパーティーを組んでいるが、わがままな上に度重なるパワハラに手を焼いていた。
物語の冒頭では我慢の限界に達して彼女と絶縁をしたのだが……?