イゾベル・ガウディー、綴りはIsobel Gowdie。スコットランドのオールダーンにて魔女であると告白した人物。
概要
1550年代に始まった魔女狩りにより、妖精等の伝承が根強く残っていたスコットランドでは大勢が告発されていった。キリスト教徒となった権力者の異端を許さない姿勢は強く、1661~1662年に起きた大告発でスコットランド中の人が裁判に掛けられた。魔術や悪魔との関わりが発覚すれば処刑となる。
彼女の婚前の事はよくわかっておらず、夫も魔術とは一切関わりのない普通の農家だった。歳に関しても、1662年の告白時点で30代から50代ぐらいだろうとされるものの詳しい事はわかっていない。彼女は読み書きができないが、話し上手だったという。
魔女告白の内容としては悪魔と目合う(裁判の時点で既に15年は目合い続けていたらしい)、カヴンに参加する(イゾベルのこの告白がカヴンに関する初の記述とされる)、エルフェイムの妖精女王と合う(ヘイムは住処を意味し、エルフの住処は詰まるところ妖精の国ということ)、土で作ったエフィジー(肖像彫刻)を用いた呪殺、様々な獣への変身魔術、対象を確実に殺す「悪魔の矢」等を含む。悪魔の男根の詳細や、カヴンの他のメンバーや呪術のターゲット達の名前も多く語られた。
実は1662年には魔女狩りにおける拷問の使用禁止法が出されており、イザベル及びその共犯者とされるJanet Breadheadに拷問を行われた場合は裁判は裁判で有罪にならない事になっていた。ただ、それでも拷問が行われていたという可能性もある。
彼女らはその後処刑されたと見てほぼ間違いないとされているが、記録が残っていないので断定はできない。もしかしたら精神異常と見做され解放された可能性はある。麦角中毒による幻覚作用かもしれないという話も。悪魔に関する話も、1647年にいた兵士による強姦のトラウマが原因とする説がある。
彼女の告白から歴史学者マーガレット・マリーはカヴンのメンバーは13人といった重要な情報を纏め、これがウィッカに大きな影響を与える。イゾベルの告白は魔女狩りにおけるウィッチクラフトの供述では最も詳しく、彼女はスコットランドで1番有名な魔女と言われる。