「奴らではないなら、子供の命はとるな」
解説
タロウザ達の村にキリンの子供ピンタが迷い込んだ際、タロウザはピンタから海という存在を聞かされる。ピンタをキリンの群に戻すため、そしてタロウザ自身が海を見たいという衝動に駆られ、タロウザ達は少しの間村を離れ旅に出ることとなる。
しかし旅の途中、タロウザ達は荒野でハイエナの群に遭遇してしまう。このハイエナの群を率いる長こそがエナである。戦闘能力に長けた大山猫のクロカギがエナとの戦いに応じるが、実力は互いに均衡しており、激しい戦いを繰り広げる。エナがクロカギの腕に噛み付き、骨ごと食い千切らんとしたそのとき、タロウザが仲介に入ったことで戦いは終わる。エナ達はどうやら勘違いをしたまま襲い掛かってきたようだが、果たして彼女達はタロウザ達を何と勘違いしたのだろうか…。
人物
ハイエナの群を率いる長ということもあってか、性格は比較的落ち着いており、その場の状況を的確に判断できる能力を持ち合わせている。しかし、普段は涼しい表情をしているが戦闘となると鋭い牙を露にし、どんな相手だろうと果敢に立ち向かう闘争本能も有している。また、タロウザが戦いの仲介に入った理由、つまりハイエナ達と戦うべきでないとした理由を聞いた際、その純粋な理由に思わず微笑むという優しい面もあるようだ。
今でこそ長という自覚もあり、誇りある生き方を信条にしているが、その性格が形成されるまでは決して一本道ではなかった。その昔、彼女が幼少の頃、ハイエナとして牙と爪を持ち生まれてきた彼女は命を奪うという行為をまだ知らなかった。当時遊び相手として仲良くしていた草食動物のヌーにトドメを刺せと命じられ(このとき命じたハイエナは恐らく父親、加えて群の長であったと考えられる)、逃げようとしたが、生きるための試練であると仲間に諭され、涙ながらに瀕死であったヌーの喉を食い破った。
その後、「生きるために殺し食うことを繰り返す血塗られた世界」に半ば自暴自棄になっていた彼女であるが、獲物を食い残し、命を粗末にしたことで父に叱られる。この際に命に感謝しろという父の言葉に反論するが、逆に「血塗られた世界だからこそ掟を持つ必要がある、殺し喰いただ生きているだけの生き物から一歩進み、"自分"というものを持てる」と説かれ、彼女の生き方に変化が生じる。 「メス・子供は殺すな」「喰いもしないのに命を奪うな」「血塗られた牙とするな、誇りある牙とせよ」 これらをモットーに、その実力を認め、尊敬に値する相手のみを喰うという誇りを胸に彼女は成長し、群を率いる長となる。
その他
群を構成するハイエナ達のほとんどは四足歩行、つまり普通のハイエナの姿として描かれているが、エナを含む数匹は二足歩行で活動している。また、中でもエナは背中に当て布のない水着のような胸当てと、スカートのような衣類を着こなすという、この作品にしては珍しく少し色っぽい雰囲気を漂わせている…気がする(スカートにはポケットもついているようだ)。
また、本当にどうでもいい情報であるが、現在の彼女と成長過程における彼女は衣服をまとっていることに対し、ヌーを殺す試練があった頃の彼女は全裸である。本当にどうでもいいが。