解説
オルクとは、ゲーム「Warhammer40K」に登場する種族・勢力の一つ。
緑の肌を持つため、「グリーンスキン」とも呼ばれている。
キバを生やしたいかつい顔、ゴツく筋肉質な体型……と、洋風ファンタジーものにおける所謂「オーク」のような外見をしたエイリアンであり、外見に違わず性格は粗暴で残忍。知性や道徳心といった概念とは縁のない、極めて野蛮でおっかない連中である。
「戦いのために生きている」と言っても過言ではないシンプルかつ野蛮な思想の持ち主で、刺激的な戦いを求めて銀河(ギンカワ)のあらゆる場所であらゆる勢力に対し戦いを挑む、驚異的だが単純明快なヤツ等である。
同時になぜか機械イジリも大好き、かつ大得意であり、スクラップをよせ集めたような外見の多種多様な武装・搭乗兵器をノリノリで作成して扱いこなすのも特徴(もちろん不良品も多いが)。
ゲームにおいては、白兵戦を得意とするアーミーとして扱われる。
勢力としてのオルク
グァァァグ!
「Waaaaagh!(いくさだァァァア!)」
オルク……それは銀河中で繁殖して群れを成し、特にデカくて強ぇ〈いくさ頭〉(ウォーボス)に率いられて、ありとあらゆる種族や勢力にケンカを売りまくってはひたすらに戦争し続けるサイキョーのイカした種族。人が水と食料を求めるがごとく、「闘争」を生理的欲求として持つ特徴を備えている。
自慢の〈バラマキ銃〉(シュータ)と〈ブッタ斬り〉(チョッパ)……要するに大口径ガンと粗雑な刃物を手にし、あるいはガラクタからでっちあげた超スゴい兵器群をブイブイ言わせて〈ダガダガ〉(ダッカ)とぶっ放しながら、
人類だろうが、エルダーだろうが、タウだろうが、ケイオスだろうが、
果ては不死身のネクロンだろうと、気色悪いティラニッドであろうと、もちろん同族のオルクであろうと、そこに相手が居るならば有無を言わさず戦いを挑み、叩き潰していく。
彼らの巻き起こす戦争……オルク流に言えば〈グァァァグ!〉(いくさだァァァア!)には、別に遠大な目的や目論見といったご大層なモノは存在しない。
何故ならオルクにとって戦いとは「自身の全て」であり、素晴らしい刺激に溢れた至上の娯楽であり、同時にごく当たり前の日常であるからだ。故にオルクは、その生涯を通してコーフンしながら戦い続ける。
・・・とまあ、長々と書いてしまったが、短くまとめてしまえばオルクとは、
「世紀末モノのチンピラじみた「ヒャッハー!」な思考回路を持つ、サイヤ人もビックリの超・戦闘民族」
である。
長きにわたる戦争だけが残った銀河、オルク語では〈銀河〉(ギンカワ)にあって、
彼等オルクはあらゆる星のあらゆる場所で、あらゆる相手と戦いを繰り広げている。
〈帝国〉のスペースマリーンや〈エルダー〉、〈ケイオス〉などの他勢力が戦の中で歪んでいく己の正義や価値観、狂気といった不和を抱えている中、オルク達はその手の悩みに翻弄されずに勢力を広げる事に成功した、数少ない種族とされる。
何故なら、オルクには〈いくさ〉さえあればそれでハッピーだからだ。そして種族全体が脳筋主義に染まりきったおバ……もとい、プリミティブな連中なので、そもそも哲学的な問題に至る事自体が少ない。
チャチな悩みでくよくよ立ち止まったりせず、イカしたビークルを乗り回して自由気ままに暴れまくるオルクの存在は、陰鬱とした雰囲気の漂う「ウォーハンマー40K」の世界観にあってある種の癒し枠と見なされる事すらあり、コアなオルク愛好家も少なくない。
暗黒の四十千年紀において唯一"繁栄"していると言っていい彼らだが、もしも組織的に統一されるような事があれば、その勢力の合計は銀河の覇権をアッと言う間にかっさらえる程だとも目されているらしい。
ただ全ての種族にとって幸いな事に、オルクはそう言った秩序とは最もかけ離れた存在である。
起源
殆どのオルクは自らの起源などといったコマけえ事など気にも留めない。もちろん歴史書や古文書なんてものも存在しておらず、そのルーツを知る者は皆無とされる。
ただし、〈ちび飼い〉の職に就くオルクが語る断片的な言い伝えを信じるならば、彼らは〈脳ミソ大将〉なる絶滅した古代種族によって生み出された肉体労働用の生物兵器、その末裔であるようだ。その名残は、後述する彼らの文化形成にも大きな影響を与えている。
一説にはネクロンと覇権を争った〈旧き者〉こそが、その〈脳ミソ大将〉ではないかとの説もある。
社会構造
基本的にオルクは一人のリーダー格に率いられ、群れをなして生活する。群れの規模のほどは小さくて数千、大きいものは幾百万の単位に及ぶ。定住はしないようで、いくさとあらば時には惑星から惑星へと移動する事すら珍しくない。
「デカくてつええ奴がエラい(マイト・メイクス・ライト) 」という言葉に代表されるように、オルクの暮らしにおいては何よりも強ぇかどうかが大事だ。
彼らの社会はシンプルで野蛮な実力主義により形成されており、弱っちいオルクはすぐに死ぬ。すなわち、今生きているオルクは紛れもなく生え抜きの強者ばかりであり、〈帝国〉のように無能な上官が居座る事は絶対にない。
オルクには「自分よりも体のデカい者に従う」という習性がある。そうした本能がある故、オルクの社会は体のデカさと力の強さを基準にした単純かつ厳格な身分制度を持つ。
ただしその効果はあくまでも同じグリーンスキン同士に限られており、人間を始めとした異種族の命令になぞ、死んでも従うことはないようだ。
荒くれオルクの群れをシメるのは、 その中で最も体がデカく、最も力強い歴戦のイカしたオルク〈いくさ頭〉(ウォーボス)である。
その下に幹部ポジションの〈頭目〉(ノブ)、そして兵隊ポジションの〈徒党〉(モブ)と続く。付け加えると、さらにその下にはグリーンスキンの亜種族であるゴブリンめいた〈グレッチェン〉、小人サイズの〈スノットリング〉といった小柄で非力な者も雑用係として属している。
本能のおかげもあってか、意外にも下剋上が頻発したりだとかという無法地帯ではないようだ。彼らに言わせるなら「強ぇ〈いくさ頭〉について行けば、きっとデケェいくさができる」という事で、オルクなりに序列の存在がメリットを生むことにも理解があるらしい。
〈いくさ頭〉は時に、闘争心とコーフンに突き動かされるままに〈グァァァグ!〉(いくさだァァァア!)を主導する。そのオタケビと、ビッグないくさの欲望に惹きつけられて集まったオルク達は〈頭目〉の取り仕切る〈いくさ組〉(ウォーバンド)にぞくぞくと飛び入り参加して銀河を荒らし回る。
そしてそんな戦争の匂いを嗅ぎつけた他のオルクたちもどんどん合流していき、〈グァァァグ!〉は際限なく拡大していくのである。
文化
オルクは根っからのいくさ好きであり、戦場で暴れ回って派手に敵をブチ殺すのを何よりも楽しむ。それが生理的な欲求として、遺伝子に刻まれているのだ。
そして弱肉強食の環境に育つため、生まれ持った暴力性もあり同族間での争いに忌避感がない。仲間同士でのケンカや殺し合いはもちろん、共食いまで平気な面でやってのける。オルクにとってはそれがアタリマエだ。
非常にノリが良く、好奇心旺盛な一面もあるのもオルクの特徴。
一度ハマり込んだものには熱中しやすく、とりわけビークルを首がヘシ折れるほどのチョッ速スピードでカッ飛ばしたり、敵の装甲ビークルをドッカーン!と吹き飛ばしたりといった事が第二の生き甲斐になるオルクは数知れない。
そこまでいかない一般的なオルクでも、それぞれ個体ごとに趣味嗜好の差はある。そしてその内面が似通ったオルク同士で群れる習性があり、これは彼らの属する部族とは別に〈氏族〉と呼ばれている。
正面からの殴り込みと肉弾戦を好む武闘派の〈ゴフ氏族〉、とびっきりのチューンを利かせた愛車でカッ飛ばすのが大好きな〈バッドサン氏族〉、
オルクらしからぬ知略と効率的な用兵を好む〈ブラッドアックス氏族〉、手癖が悪く武器の改造が大得意の〈デススカル氏族〉、
ギラギラゴテゴテと着飾りたがる成金野郎〈バッドムーン氏族〉、昔ながらの原始的な狩猟や牧畜生活を志す〈スネークバイト氏族〉。
そしてどれにも属さない、あるいは爪弾きにされた者たちが寄せ集まった〈無頼団〉などがある。
見かけや装備品からも分かる通り、カッチリとした計算や論理的思考は基本的に苦手。普段の生活のあれやこれもオルクだけでは難儀するし、戦争に関しても弾薬を自力で製造できないという体たらくである。
そういう事については征服した地の住民を奴隷として働かせるか、下っ端の〈グレッチェン〉〈スノットリング〉達に全て押し付けている。
多少頭の切れる〈グレッチェン〉も、おツムも体格もごく貧相な〈スノットリング〉も、オルクには恐れながらも従っている。彼らの庇護なくして生き残れはしないという事が分かっているからだ。
そして残念ながら、時には「憂さ晴らしがしたくなった時に気軽にブチのめせる犠牲者」としてもオルクの社会を支えている。可哀想に…。
いにしえの生物兵器の末裔として遺伝子に組み込まれているのか、オルクはその野蛮さに反して、高度な社会性を垣間見せる事がある。
まず、なんと言っても彼らの間での物流は原始的な物々交換ではなく、通貨取引の概念が確立されている。ちなみに通貨は「自身のキバ」。死ぬまで何本でも生え変わるので、金欠ならぬキバ欠になっても少し待てばどうにかなるのだ。
また興味が高じた〈ハミ出し野郎〉(オッドボゥイ)と呼ばれるオルク達は様々な技術を本能めいて身につけるようになる。
なんでもカリカリに焼いてみたくてたまらない〈放火野郎〉(バーナボゥイ)、三度のメシより改造手術が大好きな〈激痛野郎〉(ペインボゥイ)、とにかくアレでハンパねぇマシン造りに精を出す〈技術野郎〉(メク・ボゥイ)などが存在するが、これらは専門職の側面も持つ。例に挙げた三つもそれぞれ溶接・板金工、医者、メカニックとして、オルクの社会を支えているのだ。
そして〈グァァァグ!〉の折りには、彼らも例外なく戦場に駆けつけ、そのショーバイ道具を惜しみなく戦いに用いる。
いかなる職業であれ、オルクはオルク。筋金入りのいくさエンジョイ勢なのである。
信仰心も存在し、〈"強くて賢けえ"ゴルク神〉と〈"賢くて強え"モルク神〉という二柱の神を信仰する。
どちらも暴力と戦争の神(そして二つ名もぶっちゃけほぼ同じ)だが、〈ゴルク神〉はより直接的な暴力性と闘争心を表す存在、〈モルク神〉は武器の発明や騙し討ちの知恵を象徴する存在という事らしい。
オルクは己の緑の肌と体の大きさ、そして何より強さを何より誇りに思っている。
上述したようにオルクの価値観は物欲や倫理観などが乏しく(後述するが、特に性欲に至っては存在すらしない)、代わりにアナーキズムと暴力性に満ちた独特のユーモアを備えたものになっている。逆に彼らオルクの目には、人間の社会は「上下関係がまどろっこしく、滑稽なもの(おまけにピンク色の肌で、しょぼい)」と映っているらしい。
なお、彼らの言葉にはオノマトペなどの単純な言い回しが多用され、また単語頭の「H」が発音できないという独特の訛りがある。
例:
HEAD(ヘッド)⇒E'AD(エッド)
HARD(ハード)⇒A'RD(アード)
HUMAN(ヒューマン)⇒U'MAN(イューマン、邦訳ではィンゲン)
イカしたマシンの製造技術
先述したように、オルクは機械イジリが大好きだ。主に〈技術野郎〉(メク・ボゥイ)と呼ばれるオルクのメカニックがその腕を振るい、奇妙だがイカした造形の様々なマシンをでっち上げてみせる。
一見ガラクタの寄せ集めにしか見えないし、事実その通りに作られているオルクのマシンであるが、同時に奇妙にもメカニズムとしてはちゃんと成立しており、意外にも技術力は〈帝国〉や〈タウ・エンパイア〉などの他種族にも見劣りしないイカした代物である。
他の〈ハミ出し野郎〉もそうだが、〈技術野郎〉は先天的に機械技術の知識を持って産まれてくる。彼らは適当な部品を組み合わせるだけで様々なメカを作り上げてしまう文字通りの天才だが、一方で細かく製造方法を記録して再生産に備えたりもしない。まさしくでっち上げの一点ものと言える。
そしてやはりガラクタの寄せ集めであるゆえに、不調が起きることも少なくない。敵対者にとっては勿論、使用者や当の〈技術野郎〉にすら想定外な動作をするなんて危険な事例も日常茶飯事だ。
当然のことながら、オルクは安全性なんてモノに興味を持たない。むしろスリリングな暴れっぷりを見せてくれる、ド派手なマシンや武器にこそ価値を見出して尊び、愛用する。
うまく作動しない時はどうするのかって?その時はその時だ。たぶん鈍器としてなら使えるだろうし、オルクは小難しい事を考えたりなんてしない。
しばしば大型の歩行兵器も建造され、太鼓腹のオルクを模したような造形の鋼鉄の巨人は圧倒的な火力と装甲に物を言わせ、好き放題に戦場を暴れまわる。
オルクの歩行兵器はそれ自体がゴルク(あるいはモルク)の姿を模した神像であり、彼らは戦場で他種族の信仰対象をぶち壊すことで、偉大なる二神を讃えるのだ。
オルクの代表的な歩行兵器であるゴルカノート。
オルクの身体特徴
オルクは人間以上の背丈に強靭な骨格と筋肉を備え、外見に違わずタフな種族だ。戦場の中では特に大きく成長し、より強力な肉体に育つという特徴がある。
また自己回復能力が高く、腕がぶった斬られたとしても直ぐにホチキス針でくっつけてしまえば元通り。そればかりか極めて痛覚が鈍いため、もともと頑丈なのもあって外傷にはとことん強い。
戦場でも驚くほど往生際が悪く、ほとんど死んだような状態、あるいは死んだようにしか見えない状態でも攻撃してくる事がままあるという。
痛覚がほぼないオルクにとって、死や苦痛の様子は自他を問わず娯楽や興味の対象と移るらしい。こうした生理的構造からくる異形の倫理観ゆえ、根本的に人類とは相容れない種と言える。
そして何より、オルクはその繁殖方法が実にユニークな種族である。
驚くべきことに、オルクはキノコと同じ菌類であり、「胞子」で繁殖する。
そのため彼らに異性や性行為の概念や性欲はまったく存在しない。彼らの持つ極めて強い戦闘意欲は、その代替として発達したものだとも言われている。
胞子が育った時、生成されるオルクの「繭」の数は数十に及ぶ。つまりどこかの未開の地で一匹のオルクを見かけたとしたら、その周囲に潜む兄弟の数は最低でも数十倍に及ぶと見ていい。
オルクが死ぬと、その骸からは大量の胞子をばら撒かれてしまう。当然、その胞子が成長すれば立派なオルクがわらわらと生えてくる。それも生前の戦闘経験が引き継がれた状態で、だ。
ゴキブリ並みの繁殖スピードで筋肉モリモリ、相互理解の成り立たない世紀末ゴリラが湧いてくるとなれば、彼らがどれ程恐ろしい連中か理解しやすいだろう。
これを防止するには、彼らを灰も残らないレベルで完全焼却する他ない。
たとえ惑星から全てのオルクを駆除したとしても、死体から放出された極小の胞子がどこかでオルクに成長してしまう事は避けられない。辺境の地域でひっそりと集まり、コミュニティを再建して十分な頭数が揃ったオルク達は〈いくさ組〉を組織し再び〈グァァァグ!〉を始めるのだ。
・・・これが意味するところは、ただひとつ。終わりの無い戦い、その幕開けである。
アーミーとしてのオルク
基本的に白兵戦を得意とし、射撃戦を苦手とするアーミー。
ただし、1ユニット辺りの兵員上限数が多めに設定されている(物量で押しつぶすタイプ)ので、数を入れれば苦手な射撃も、「数撃ちゃあ当たる」のノリで補えてしまったりするのがいかにもオルクらしい。
とはいえ、敵をブン殴って倒す事の方が得意なのは確かだ。貴方もオルクに憧れるなら、敵を直にぶん殴ってマ イ ト ・ メ イ ク ス ・ ラ イ ト ! !
また、オルクアーミーに欠かせない「技術屋(メク)」と呼ばれる技術者が作り出した、ガラクタじみた外見のサイコーにイカしてた(そしてサイコーにイカれた)マシンの数々は必見である。
オルクのフシギな信仰
オルクのビークルには選択できるオプション装備として、
「赤く塗装されていると、移動距離が長くなる」……という、実にフシギな、しかし何処かで聞いたような気がしなくもないものがある。
ちなみに、このオプションを選択した赤く塗装されたビークルは本当にゲーム中、移動距離が伸びる。
何か感じるモノがあれば、是非、手持ちのオルクのビークルのミニチュアを赤く塗装し、このオプション装備を選択してみよう。きっとサイコーな気分になれるハズだ。