「宇宙で活躍する海兵隊」全般についてはこちらを参照。
概要
遺伝子改造を施された超人兵士、〈戦闘者(アスタルテス)〉で構成される戦闘集団。行政上の組織名称は〈アデプトゥス・アスタルテス〉。
人類の国家〈帝国(インペリウム)〉に属する軍事組織であるが、独立した命令系統を持ち、〈戦団(チャプター)〉と呼ばれる千人単位の集団で行動を行う。
着用者に脅威の力と防御力を与える鎧、「パワーアーマー」でその身を包み、人類の敵にボルトガンの嵐を浴びせ、チェーンソードで斬り捨てる。
ウォーハンマー40,000を代表する勢力であり、人気も高い。
ゲーム上でも総じて個々のユニット能力は高め。
少数精鋭を誇り、高い防御力、優秀な火器、最後の一兵まで戦うルール等を持つ、まさに人類最強クラスの存在であるのに加え、「チャプタードクトリン」という特殊なルールによって、戦術的に高い柔軟性を持つ。
反面、WH40Kに多く存在する、「防御力を大きく下げる兵器類には弱い」こと、
1ユニット辺りのコストが高く設定されているため、気を抜けば、一気に戦力を減らされるという短所も持つ。
創設経緯
文明の衰退した遠未来、地球は〈技術蛮族(テクノバーバリアン)〉と呼ばれる無数の武装勢力によって支配されていた。
その最中現れた絶対的指導者、後に人類の君主〈皇帝〉となる男は、地球平定の統一戦争時、〈サンダーウォリアー〉と呼ばれる改造兵士を率いていた。
失われた古代技術を用いて〈皇帝〉自身に生み出された彼らは、勇敢であり強靭であった。しかし同時に寿命の短さや改造機関の脆弱性、何より渾沌に対する抵抗力に欠けるという弱点も持っていた。
そんなサンダーウォリアーに変わる銀河統一の最精鋭として、皇帝自らの遺伝種子から作り出された二十名の超人将帥〈総主長(プライマーク)〉、そしてその総主長の〈遺伝種子(ジーンシード)〉から生まれた超人兵士の軍勢〈スペースマリーン〉が誕生した。
誕生直後、総主長たちは渾沌の企みによって銀河に散逸してしまったが、戦いと冒険の末に再集結し、二十の兵団を率いて渾沌の軍勢に立ち向かい、人類の帝国による銀河の支配は目前にまで迫った。
(なお、最初に〈帝国〉へ帰還したのがホルスで最後がアルファリウスであるとされている。)
ホルスの大逆
しかしその直前に、皇帝の最も信頼厚き総主長〈ホルス・ルペルカル〉が渾沌に傾倒し反逆、総主長とスペースマリーンたちもホルスに従う〈大逆派(トレイター)〉と、皇帝への忠誠を保った〈忠誠派(ロイヤリスト)〉の真っ二つに分かれて争い、後に〈ホルスの大逆〉と呼ばれる内乱に陥ってしまった。
最終的にホルスが皇帝との死闘の末に敗死、忠誠派が辛うじて勝利を収める。
しかし皇帝もホルスから受けた傷(右腕を切断され背骨を折り砕かれた)とホルスを倒す際に自身に残っていたサイキックを出し切ってしまい重体となり、地球の帝殿にある古代の生命維持装置〈黄金の玉座〉にその身を接続し続けなければならない、生ける屍となってしまった。(死闘の際に皇帝は渾沌の力を得て強くなったホルスに苦戦しただけではなく、最も信頼し愛した息子であったホルスに対して非情に徹することができなかった)
加えて、アイアンハンド兵団総主長フェルス・マヌスは惑星イシュトヴァンⅤでの戦いでかつての親友であったエンペラーズ・チルドレン兵団総主長フルグリムに斬首され戦死、ブラッドエンジェル兵団総主長サングィニウスも地球での最終決戦の際にホルスに敗れ激しい拷問の末、惨殺されてしまったことで、二人の忠誠派総主長をも失った人類の帝国は大きな傷を負うこととなった。
そして現在もなお、忠誠を保ち続ける忠誠派戦団と、渾沌に傾倒しケイオススペースマリーンとなった大逆派兵団の戦いは続いている。
スペースマリーンの誕生過程
スペースマリーンとして選ばれるのは、帝国全土から志願してきた十二歳の男子である。
これは十二歳頃の男子がもっとも改造手術に適合、成功する可能性が高いからとされる。
各戦団によって方法は異なるものの、志願者たちは試験にかけられ、それを乗り越えた者が改造手術を受ける。
そして全身に埋め込まれた十九の機関が適合した者のみが、スペースマリーンとしてその栄光の列に名を刻む事を許される。
一方、これらの試験および手術に失敗した者は、帝国に奉仕する物言わぬ奴隷〈奉仕者(サーヴァイター)〉へと身を落とさねばならない。
英雄となるか、奴隷となるか。その覚悟無き者は、そもそもスペースマリーンを志す資格すら持たないのだ。(ただし、一部戦団にあっては後発の候補者の教育係として自我を残したまま留め置かれる例もある。)
そしてそんなスペースマリーンたちも、人類の敵たる「渾沌(ケイオス)」の力に惹かれ、帝国と人類を裏切り忠誠を誓ったはずの君主を「偽りの皇帝」と呼ぶ恐るべき大逆者〈ケイオススペースマリーン〉へと堕落してしまうことさえある。
プライマリス・スペースマリーン
第40千年紀の終わりに実施された、〈極限期創設(ウルティマ・ファウンディング)〉にて誕生した新型のスペースマリーン。
通常のスペースマリーンよりも純度の高い遺伝種子の使用と、新たな3つの人工臓器の追加によって生み出され身体能力や体格が向上している。
起源はかなり古く、ロブート・グィリマンの命により〈大征戦〉の時代には既に候補者の停滞処理が施されており、帝国機械局のベリサリウス・カウルの手によって1万年以上に渡る開発研究の末に誕生した。
なお、新規にプライマリス・スペースマリーンとして改造される者と通常のスペースマリーンを改造する〈ルビコン・プライマリス〉とが存在し、後者は一度完成された肉体を改造する為か失敗のリスクが高い。しかし成功すれば、長きに渡る戦闘経験とプライマリスとしての力とを兼ね備えた強力なスペースマリーンとなる。
〈戦いの聖典〉(コデックス・アスタルテス)
スペースマリーンには「ホルスの大逆」後に制定された教条、〈戦いの聖典(コデックス・アスタルテス)〉が存在し、多くの戦団はこの教条に基づいて作戦行動や部隊編制を行うが、例外も少なからず存在する。
例としては〈ダークエンジェル〉戦団と〈ブラッドエンジェル〉戦団は概ね〈戦いの聖典〉に従っているが、戦団独自の戦術をも戦いに取り込んでおり、また〈スペースウルフ〉戦団などは全く〈戦いの聖典〉に従わない。
(例えばダークエンジェル戦団は「ターミネイター・スカッド」や「バイカー・スカッド」専用の特殊な戦術を有している。上記3つの戦団はゲームとしてもルールブックが独立して存在する。)
それ以外にも〈インペリアル・フィスト〉戦団と〈ホワイト・スカー〉戦団は自分達が元から独自に持っていたルールと併存しながら〈戦いの聖典〉を採用している。
スペースマリーンの装備
スペースマリーンには〈帝国〉における最高クラスの武装が与えられる。
熟達の職人によって鍛え上げられた武装は正に至宝であり、数百から数千年に渡り戦団で受け継がれ今なお最前線にあるものも珍しくない。
中にはスペースマリーンや総主長自身の手による逸品すら存在する。
火器
ボルトウェポン
一般的なボルトガン。
標的に食い込む弾丸と体内で爆発する爆薬の組み合わせを発射する大口径銃器で、スペースマリーンの主力火器。小銃クラスのボルトガン(あくまで、スペースマリーン用の小銃である為一般人ではデカすぎてまず使えない)、拳銃クラスのボルトピストル、重量が増した代わりに精度と射程が向上したヘヴィボルトピストルなど、一般的な銃器と同様の分類で多種存在する。
近接武器
チェーンウェポン
チェーンソード。
ボルトガンと並ぶスペースマリーンの象徴にして、代表的な近接武器。チェーンソーが唸り、高速回転する鋸刃によって敵を装甲もろとも両断する。剣型のチェーンソードやソードよりも扱いづらいが威力に優れる斧型のチェーンアックス、パワーフィストにチェーンソーを取り付けたチェーンフィスト等がある。
パワーウェポン
パワーソード。
高エネルギーを纏わせた近接武器の総称。チェーン武器と同様のパワーソードやパワーアックス、上記の二つより更に扱いづらいが破壊力は勝っている両手武器のレリックブレード(両手で使う剣や斧、グレイブの総称)と言った刃物、巨大な鉄拳であるパワーフィスト、打撃力を調整できる機能が付いたパワーモールと言った打撃武器が存在する。
防具
パワーアーマー
スペースマリーンの着用する防具。パワーアシストを有し神経に直接接続されるため、ほとんど生身に近い動作をとる事ができる。
スペースマリーン創設以来、性能向上や用途に応じ様々な型式が製造され、スペースマリーンたちの生命を守り続けている。
創設期から〈ホルスの大逆〉にかけて使用されていた旧型アーマー。
今では帝国にとって忌まわしき大逆時代を連想させる為に殆どが解体・破棄されているが、大逆を生き延びた古参のスペースマリーンの中にはごく僅かであるものの未だに保有している者もおり、式典等で儀礼服代わりに着用して敬意を受ける場合もある。
一方で強硬な保守派からは持っているというだけで大逆兵団との関わりを疑う声もあり、実際大逆兵団の多くでは未だにこのアーマーが一般的な物である為、今では大逆兵団そのものの象徴といっても過言では無い。
マーク7アーマー。41千年期現在において一般的なパワーアーマー。「への字口」とも呼ばれる三角形の呼吸器が特徴。
マーク10アーマー。前述の「プライマリス・スペースマリーン」に合わせて開発された最新型のパワーアーマー。
これらの他にも、様々な型式や派生型のパワーアーマーが存在する。
ターミネイター・アーマー
正式名称は〈タクティカル・ドレッドノート・アーマー〉。
接近戦を想定し防御力を重視した特殊なパワーアーマー。通常より遥かに高いその防御力は装甲車輛にも匹敵し、また通常よりも強力な重武装が可能。
現存数は非常に少ない貴重なものであり、多くの戦功を重ねた古参兵にのみ装備が許される。
機動兵器
ドレッドノート
肉体の損傷が著しい瀕死のスペースマリーンが生まれ変わる歩行兵器。脳などの中枢部をロボットのようなボディへ移植したサイボーグであり、堅牢な装甲と絶大な火力を有する。
ライノ型車輌
スペースマリーンが運用する汎用装甲車輌であり、その車体に宿った〈機械精霊〉(WAHAMMER40,000の世界で信じられている、機械に宿る霊的存在)の気質によって適正を検査され、様々な仕様が割り振られる。
スペースマリーンを輸送する基本型の装甲車型ライノ(画像の車輌)、火力と装甲を備えた主力戦車型プレデター、ロケットランチャーによる制圧射撃を得意とするホワールウィンド、大火力のデモリッシャー・キャノンによって敵陣地を粉砕するヴィンディケイターなどが存在する。
ランドレイダー
ライノ型車輌を遥かに上回る巨体と火力、装甲を有するまさに陸の要塞とも言うべき重戦車。また、スペースマリーンを戦場へ安全に送り届ける輸送能力を有する。
その巨体に反し、〈機械精霊〉が操作の一部をアシストする為少人数で運用可能とされている。
創始戦団と後継戦団
スペースマリーンは当初10000人規模(十万近かったり千人に満たなかったりと一部例外あり)の兵団(レギオン)として編成されていた。
〈ホルスの大逆〉後は〈戦いの聖典〉の制定に伴い1000人単位の戦団へ分割され、兵団時代の名を継ぐ戦団を〈創始戦団(ファースト・ファウンディング・チャプター)、そして分化した戦団を〈後継戦団(サクセッサー・チャプター)〉と呼称する。
創始戦団の伝統を重んじるものや全く新しい信条を有するものなどその傾向は様々。また、分化以前の創始戦団が明らかでない戦団もあり、中には〈ホルスの大逆〉で帝国を裏切った戦団の出身ながらも、大逆に与せず忠誠派に留まったスペースマリーンによって構成される戦団も存在するという。
(一例として、イシュトヴァンⅢにて大逆派に抵抗したエンペラーズ・チルドレン兵団のソール・ターヴィッツとサン・オブ・ホルス兵団のガルヴィエル・ロークン、グレイナイト創設に携わったデスガード兵団のナサニエル・ギャロ、ウルトラマールの防衛力強化に助言を与えたアイアンウォリアー兵団のバラバス・ダンティキオらが有名である。)
スペースマリーン戦団の数は膨大なものとなっており、当の帝国ですらその全ては把握できていないとされる。
スペースマリーン兵団(創始戦団)の一覧
第1兵団〈ダークエンジェル〉
「悔悟せよ!貴様が死す明日の為に!」
忠誠派。総主長はライオン・エル=ジョンソン。(画像右の人物)
拠点惑星は緑豊かな惑星キャリバンだったが後記の出来事の証拠隠滅のため破壊され、現在はキャリバンの小惑星帯を改造した超巨大母艦、〈石牢(ザ・ロック)〉を拠点にしている。
最初に創設されたスペースマリーン兵団であり、ジャンプパックやバイクなどのビークルによる機動戦闘を得意とする〈レイブンウイング(鴉翼)〉(後記の堕ちた天使の抹殺任務も彼らが兼ねている)と、テレポートによる強襲戦闘を得意とする〈デスウイング(死翼)〉(この部隊は兵団の中でもエリートの団員のみで構成されているため全員、骨色のターミネイターアーマーを装着している)といったように、中隊ごとに特化した戦術を持つ。
また、強力なプラズマガン系統を好んで使用する。
兵団の名はキャリバンに伝わる英雄達の伝説にあやかったものである。名付け親はジョンソンの育ての親であり戦友で兵団のナンバー2でもあったルシエル。
ホルスの大逆直後に兵団の半数近くが大逆派に堕ちた過去があり、それらを〈堕ちた天使(フォールン・エンジェル)〉(フォールンと呼ばれる方が多い)と呼び秘密裏に捜索・処刑しておりこの事実は兵団外には明かされていない。
(これが外部に漏れれば兵団が反逆者とみなされ解体されてしまう恐れがあるため)
このような悲劇が起きてしまった原因は、栄誉や名声などを欲していたルシエルが、大征戦にてライオンが功績を重ね讃えられる度に嫉妬と不満を燻ぶらせた為である。
(ルシエルはキャリバンの留守を任されて戦いに参加できなかったことから自分が得る栄誉をジョンソンに簒奪されていると思うようになっていた。)
結果、ライオンが暗殺されそうなのを黙認していたことが本人に知られたことによる彼との不仲、キャリバンに置き去りにされ打ち捨てられたという思い、そしてキャリバンでの渾沌信者達の叛乱の対処などが重なってしまい彼とその軍勢が渾沌に堕ちてしまうことに繋がってしまった。
キャリバンの戦いにおけるルシエルとの決闘のさなか重傷を負ったライオンは、1万年近い眠りを経て復活。
自らの過ちを真に悔いた、あるいは望まずして兵団を裏切った〈堕ちた天使〉たちを自ら赦し、〈昇りし者(ライズン)〉として再びダークエンジェルの同胞として迎え入れている。
第2兵団(不明)
全ての情報が抹消されており、現在でも総主長並びに兵団の詳細が明らかでない。
第3兵団〈エンペラーズ・チルドレン〉
「我等皇帝陛下の子なり!」
大逆派。総主長はフルグリム。(画像右の人物)
拠点惑星は〈採掘惑星(マイニングワールド)〉に分類される飢餓に喘ぐ古い惑星チュモス。
(ただしこれはフルグリムがチュモスの指導者となった事で改善されチュモスは工業惑星として生まれ変わる。)
機動力を重視した戦術を得意とする一方で、戦闘のみならず兵団の文化慣習においても完璧を追求し、皇帝への高い忠誠心を誇っていた。しかしホルスの大逆において、大元帥ホルスの甘言に誘惑されたフルグリムに率いられ大逆派に回る。
大逆の最中に渾沌の神スラーネッシュに帰依し、かつての品格の見る影もない退廃的な快楽主義者へ堕落してしまった。
快楽の追求によって摩耗した五感は鋭敏にして強靭であり、爆音による衝撃波で敵を粉砕しつつ自身の快楽とする〈ノイズマリーン〉となった者が数多い。
第4兵団〈アイアン・ウォリアー〉
「我が魂は鋼鉄、我が肉体は鋼鉄!」
大逆派。総主長はパーチュラーボ。(画像右の人物)
拠点惑星は数多くの都市国家が覇権を巡り鎬を削る惑星オリンピア。
(ただしこれはパーチュラーボの到来と軍事的活躍によって、彼の養父ダンメコスの支配する都市国家ロチョスが覇権を握り収束。ダンメコスの死まで平穏は続いた。)
合理的かつ冷酷な大火力による攻城戦の名手として知られる一方で、失態があった場合の刑罰として兵団の十人に一人を処刑する慣習や兵団の指揮下の帝国軍の損耗率の高さやそれを助長させる過酷な消耗戦などは死体製造機と揶揄されるほど問題視されていた。
ここまで極端な合理性や効率を求める姿勢は総主長のパーチュラーボが育ての親であるダンメコスから高度な知識などを与えられていたが親愛や愛情を持って育てられなかったことや、彼が幼い日に自身を監視する目のような大渦巻の星雲を見たことなどが原因で人間不振な性格が形成され、それが兵団の方針に影響しているからである。
この大渦巻の星雲は後に帝国で〈恐怖の目(アイ・オブ・テラー)〉と呼ばれるもの。
(命名者はパーチュラーボでホルスの大逆の際に再度、目の当たりにしたときに名付けたものが後に帝国に浸透する。)
また不名誉かつ過酷な任務に充てられる事が多く(武勲や賞賛の言葉もなく、駐留任務と多くの無益な戦いを強いられて都合よく扱われていたことなど)皇帝からの不遇を疑った事が大逆に走る切っ掛けとなった。
第7兵団インペリアルフィストとは総主長同士の不仲や主義の不一致から、大逆以前より犬猿の仲であり、大逆後に至っては例え複数の忠誠派戦団と戦闘していようがその中にインペリアルフィストがいれば、インペリアルフィストのみを最優先で殲滅しようとするほどである。
第5兵団〈ホワイト・スカー〉
「太祖ハーンと皇帝陛下の御為に!」
忠誠派。総主長はジャガタイ・ハーン。(画像右の人物)
拠点惑星は涼たる風が吹き荒ぶものの平野と背の高い白い山や青い海があり、荒廃する前の地球と似た環境と気候をもった肥沃な惑星チョゴリス。
チョゴリスという名はこの惑星に住んでいる人達の名称であり、他の惑星の帝国臣民はムンドゥス・プラヌスと呼び、基本的にこの名前の方が浸透している。
ジャガタイの育った騎馬民族に由来する戦術を活かした、バイク等の装甲二輪車や反重力車輌〈ランドスピーダー〉や〈ストームタロン〉等による高機動戦闘とその速度と火力による一撃離脱戦法を得意としている。
兵団の艦も高機動を重視した改造がされている。
(ただし代償として武装と防御そして兵員輸送能力が他の艦には劣っている)
〈戦いの聖典〉は採用しているが同時に兵団が独自に持っていた兵団文化を併存させる形で運用されている。(後継戦団にもこれがしっかりと受け継がれている)
この文化故に戦士の魂を鋼鉄の棺の中へ閉じ込めることは忌むべきこととしている為、やむを得ない事情がない限りは団員をドレッドノートに改造することを基本的に行なわず、ドレッドノートの稼働数も少ない。
兵団のモチーフはかつてモンゴル帝国を築き上げたチンギス・ハーン一族である。
因みに総主長のジャガタイ・ハーンはチンギス・ハーンの次男、チャガタイ・ハーンがモデルである。
第6兵団〈スペースウルフ〉
「ラスとオールファーザーの御名のもとに!」
忠誠派。総主長はレマン=ラス。(画像右の人物)
拠点惑星は星全体が極寒の惑星フェンリス。
〈戦いの聖典〉や帝国の各組織には全く従わないが、仲間と皇帝に対して厚い忠義を持つSF世界らしからぬ蛮族のような兵団である。
団員はフェンリスに住む各部族の選び抜かれた豪傑達で構成される。
その名の通り、フェンリスに生息するサンダーウルフと呼ばれる狼を友とし、その背に騎乗しての豪快かつ勇壮な戦いを好んだり、白兵戦や奇襲、強襲戦を得意とする。
逆にサイカーやサイキックは全く使わなかったり、戦闘マシーンもドレッドノートなど極一部を除いてほとんど使用しない。
団員は〈狂狼の呪い〉をもたらすとされる〈牙狼の遺伝子(カニス・ヘリックス)〉を体の中に埋め込んでいる。この影響であらゆる環境、惑星でも優れた嗅覚を発揮する。また、団員達の殆どはこの鋭利な嗅覚を生かすためにヘルメットをしていない。
基本的に名誉や忠義を重んじる誇り高き兵団であるが、名誉や忠義を重んじすぎる姿勢とその高すぎるプライドのせいでダークエンジェルと現在でも関係が改善されないほどの犬猿の仲になってしまったりホルスに騙されていたとはいえ、サウザンド・サンが大逆派に堕ちてしまう原因を作ってしまうなど他の兵団と思わぬトラブルを引き起こしてしまう事がある。
スペースウルフ戦団長ローガン・グリムナー。700年以上に渡って戦団長を務め現在でもラスの仔らを導く大英雄である。手に持っている斧はコーンによって鍛えられた魔斧〈モルカイの斧〉。かつて対峙したワールドイーターの大逆者から奪い取ったものである。
第7兵団〈インペリアルフィスト〉
「皇帝陛下の勅命に従う我らを、ドルン公の導きに従う我らを、誉れという名の盾が守る」
忠誠派。総主長はローガル・ドルン。(画像右の人物)
拠点惑星は当初は氷河の惑星インウィットであったが、現在は地球と機動要塞ファランクスを拠点惑星にしている。
最後の一兵まで闘う不屈の精神力を持つ防衛戦闘の名手で築城や包囲戦や高い射撃の腕前を持っているためボルター(ボルトピストル)による狙撃などの長距離戦闘も得意としている。
玉砕こそが美徳と考えているため、戦線を維持するためなら玉砕することもいとわず、後退や撤退を忌避する傾向がある。
帝国創始以前に建造された強力な宇宙要塞「ファランクス」を発見、修復の上で運用している。
地球にて帝殿の守護を務める栄誉に与っており、地球に残留している兵団員は皇帝と黄金の玉座の防衛に専念しているが、それ以外の兵団員はファランクスを拠点にしており銀河中を移動しながら帝国の敵になるものと戦い続けている。
先述の通り、アイアンウォリアーとは大逆以前から埋め難い確執があり、それ以外にも厳格で戒律に厳しく融通の利かない兵団である為、スペースウルフ程ではないが他の戦団や帝国の組織とは意見や方針の相違等で対立してしまうことがある。
また、「クリムゾンフィスト」「ブラックテンプラー」など特徴的な後継戦団を輩出している。
第8兵団〈ナイトロード〉
大逆派。総主長はコンラッド・カーズ。(画像右の人物)
拠点惑星は大気汚染と永遠に続く日食のせいで永久に暗闇に閉ざされた惑星ノストラーモ。
奇襲と一撃離脱戦法を主軸としたゲリラ戦法を得意とし目的の為には手段を選ばない。
その残虐な戦いぶりや恐ろしげな意匠のパワーアーマーを用いて敵の恐怖を煽り、戦わずしてそれを屈服させたことさえあったという。だがその非道な戦法は良心的な思考を持った総主長達からの評価は良くなく、特に人道を重んじるヴァルカンとは、とある惑星の共同作戦時に都市の住民を皆殺しにして彼を激怒させ、あわや総主長同士の決闘に発展しかけたことがあるほど。
またノストラーモは極めて治安が悪く、兵団のスペースマリーン候補者の多くが犯罪者の中から選抜されたという汚点を持つ。
総主長カーズは自身の死と皇帝の重体の予知夢を見続けており、この件はフルグリムにしか明かさなかった。(最初はローガル・ドルンに話そうとしたが、ドルンは彼やナイトロードの残虐非道な行為を嫌っていた為、冷淡な態度を取り聞く耳を持たなかった。)しかし内容に驚いたフルグリムが約を破って事情を話したドルンがこれを問いただしに来た事で激昂、ドルンに重傷を負わせたことをきっかけに大逆派となる。
第9兵団〈ブラッドエンジェル〉
「我ら、報復をもたらす血の天使の化身なり。恐れよ、我らが憤怒を!」
忠誠派。総主長はサングィニウス。(画像右の人物)
拠点惑星は〈死の惑星(デスワールド)〉に分類される程危険な砂漠の惑星バール。
兵団のスペースマリーンたちは端麗な容姿と金髪を有する。
接近戦とジャンプパックによる高機動戦闘や空からの強襲が得意で、特に接近戦は血に飢えたと評されるほどの威容を見せる。またメルタガンを片手で持てるサイズにしたインフェルノピストルを使用する。
創設当初は食人の儀式を執り行う凶暴で野蛮な兵団であり、〈レヴナント・レギオン〉と呼ばれ味方からも恐れられていたが、帰還した総主長サングィニウスが兵団を自分に従わせるのではなく自らが兵団への忠誠を表明したことに心服し、それ以降〈ブラッドエンジェル〉に名を改めその品格も高潔なものへと変わっていった。
一分の隙のない戦闘計画や武器やパワーアーマーに美しい装飾を施すなど飽くなき完璧性への追及という特徴も持ち合わせてる。
容姿に違わぬ品格と高潔さを有する一方で、堪え難い破壊衝動を引き起こす「紅き飢え(レッド・サースト)」、自らをホルスとの決戦に挑むサングィニウスその人に錯覚し、正気を失って敵味方構わず戦い続ける「黒き怒り(ブラックレイジ)」の2つの精神異常〈傷(フロー)〉に苛まれてしまっている。
これは総主長サングィニウスの死に際して放たれたサイキック波によって、サングィニウス生来の破壊衝動が「紅き飢え」として、サングィニウスの非業の死が「黒き怒り」としての遺伝種子欠陥を覚醒させてしまったものである。
このことは他の部隊や組織からは秘匿されていて〈傷〉が原因で帝国内でも犠牲者が後を絶たないため命を落としやすい最前線に常に送り放まれている。
「黒き怒り」に呑まれた戦団員は特殊部隊「死神の団(デスカンパニー)」に配属される。「死神の団」の戦団員は投入されるその瞬間まで停滞フィールドに封じ込めた休眠状態にされており、正気ある教戒官の指揮のもと戦闘に参加、味方を巻き添えにせぬよう敵の真っ只中へ放り込まれ、死の瞬間まで戦い続ける。
ブラッドエンジェル戦団長ダンテ。現在の帝国で最古参のスペースマリーンの一人で、1100年もの年月を戦い続けている。彼のマスクはサングィニウスの顔を模した物とされている。
第10兵団〈アイアンハンド〉
「肉体は脆弱なり!!」
忠誠派。総主長はフェルス・マヌス。(画像右の人物)
拠点惑星は火山や嵐、地殻変動や永遠の曇天などの過酷な自然環境を持つ惑星メデューサ。
機械技術を信奉し、肉体を強靭な機械に改造する事が奨励されていた。それ故、火星の機械教や帝国技術局とは密接な繋がりを持っていて団員を派遣させて技術を学ばせるほどである。
だがこの機械の信奉故に生身の肉体を持つものを見下す傾向や弱い味方に冷淡かつ冷酷な態度を取る傾向があり、他の戦団と衝突してしまうことがある。
また、ライノ等の兵員輸送車(APC)とドレッドノートの配備数は数ある戦団の中でも一番と言われるほどの保有数を誇っている。
当初は比較的理性的な兵団であったが、ホルスの大逆において怒りに支配された総主長が命を落とした教訓から、現在は感情を否定し、冷徹に任務を遂行する主義を掲げている。
ただそれでも当初の理性的だった面影はなく、総主長の精神面の脆さや怒りやすさを、物の見事に受け継いでおり、感情的な行動を取ることも少なくない。
また総主長を失う元凶であるエンペラーズ・チルドレンに対しては周りが見えなくなる程攻撃的になる。
イシュトヴァンⅤで戦死してしまったフェルス・マヌスであったが、エルダーの遺物〈網辻〉より地球に襲来するディーモンとの戦いに際し、〈皇帝〉のサイキックによって大逆に斃れた数多の忠誠派と共に魂を呼び戻され、束の間の復活を果たしている。
第11兵団(不明)
第2兵団同様に詳細不明。これらの二兵団はホルスの大逆以前からその存在が抹消された事は公であったようである。
第12兵団〈ワールドイーター〉
「殺せ!壊せ!燃やせ!」
大逆派。総主長はアングロン。(画像右の人物)
総主長帰還以前は〈ウォーハウンド〉兵団という名称であったが、アングロンの育った惑星ヌケリアにてアングロンの同志であった〈都市喰らい(シティ・イーター)〉への弔いから改名された。
ヌケリアは〈帝国〉に恭順しなかったため、拠点惑星ではない。
脳内にインプラントされた〈屠殺鋲(ブッチャーズ・ネイル)〉によってアドレナリンを過剰分泌させ、凶暴性と白兵戦能力を強化することで残虐な戦いを見せた。
(ヌケリアにてアングロン自身に埋め込まれたものを複製し団員全てに埋め込んだ。)
総主長アングロンはヌケリアで奴隷剣闘士として闘技場で戦わされていたがヌケリアの奴隷制度を憎んでいた事から仲間の〈都市喰らい〉達と共に反乱を起こしたものの、二年に渡る反乱の末にヌケリアの軍勢にフェダン・モールという山の中まで追い込まれてしまう。
そして最後の戦いに出陣しようとしたアングロンの元に現れた〈皇帝〉が帝国に付くように提案したが今まで共に戦ってきた仲間達を見捨てることができなかったアングロンはこの提案を拒否し、仲間と共に名誉ある戦死を望んでいた。
〈皇帝〉も一度はこれを了承し軌道上にある旗艦に帰還したものの、総主長を勝ち目のない戦いで失うこと、そして自身の子であるアングロンを見殺しに出来なかった為、テレポートで無理矢理〈帝国〉へ連れ戻され反乱は失敗、指導者を失い戦意を失った〈都市喰らい〉達もヌケリアの軍勢に皆殺しにされてしまった。
アングロンは仲間を救えずこのような所行を起こした〈皇帝〉に深い怨恨を持っており、〈ホルスの大逆〉時にはこの事を理由にホルスの誘いに乗り大逆派となる。
現在は渾沌の神コーンに帰依し、血と頭蓋骨をかの神へ捧げる戦士〈コーン・バーサーカー(コーン・バーザーカーとも呼ばれる)〉となり、血みどろの闘争に明け暮れている。
かつての総主長アングロンは、今やコーン神の寵愛を受けし〈総魔長〉(ディーモン・プライマーク)へと成り果てた。
出身惑星ヌケリアにてインプラントされた〈屠殺鋲〉が遠からずアングロンを狂死させてしまうことを憂いた〈ワードベアラー〉総主長ローガーの導きと渾沌の儀式によって転生を果たした姿である。
第13兵団〈ウルトラマリーン〉
「皇帝陛下の御名において突撃!勇気と栄光を!」
忠誠派。総主長はロブート・グィリマン。(画像右の人物)
拠点惑星は汚染や戦争、反乱が殆どなく自給自足で豊かな生活ができる平和な惑星マクラーグ。
マクラーグはかつて、荒れ野と険しい山岳地帯が多くを占め居住には適さず、それでも高度な文明が維持されてきた一方で群雄割拠の戦乱渦巻く惑星であったが、ロブートの類まれなる武勇と執政により平定され帝国にとっても重要な星の一つにまで発展した。
団員の数はコデックスで分けられるまでは最大25万人以上と途方もない数であった。
これはグィリマンの遺伝種子の安定性が非常に高いことに加え、他の兵団が基本自分達の拠点惑星の住人しか団員にしないのに対して、ウルトラマリーンはマクラーグを中心とした支配領域〈ウルトラマール星域〉全体の惑星から兵団員の招集をした為である。
(なお、大逆派で最も数が多かったのはルナーウルフ(サン・オブ・ホルス)だが、それでも16万8千人程度であった)
他の兵団と比べると大きな特徴こそないものの、団員が高水準かつバランスの良い能力を持ち様々な戦技をそつなくこなせ、多くの戦術と順応力の高い戦闘を得意とする。
ダークエンジェルのライオン・エル=ジョンソンの帰還まで、長らく忠誠派スペースマリーンとしては総主長が表だって生存している唯一の兵団であった。
〈戦いの聖典〉の制定者を総主長に戴くこともあってその教えに従順であり、「コデックスマリーン」の異名を持ちスペースマリーンの規範とも讃えられる。
一方でウルトラマール星域を襲ったティラニッドの襲撃〈第一次ティラン戦役〉の教訓から、〈戦いの聖典〉に反した組織改革を最初に実行した戦団でもある。(しかしグィリマンはこの改革を称賛した。)
〈戦いの聖典〉制定後には全マリーンの3/5を占める後継戦団を輩出している。
スペースマリーンのひいてはWarhammer40kの顔ともいえる存在で最大の勢力を誇る代表的なスペースマリーン兵団。
第14兵団〈デスガード〉
「全ては腐りゆく……」
大逆派。総主長はモータリオン。(画像右の人物)
拠点惑星は猛毒の瘴気が渦巻く惑星バルバラス。
かつては地球生まれのスペースマリーンで編制された「ダスクレイダー」兵団であったが、モータリオンの帰還と同時に彼が育った惑星バルバラスの同志「デスガード」の戦士たちをスペースマリーンに加え再編された。
屈強なスペースマリーンの中においてもあらゆる環境に耐性を持ち敵の攻勢にも耐えしのぐ強靭さが特徴であった。
一方でサイカーの存在には厳しく、大逆以前はサイキックの使用を禁じていた。
(モータリオンと敵対していた惑星バルバラスの圧制者がサイカーであった為。)
皇帝と総主長モータリオンの確執や大元帥ホルスへの忠誠をきっかけに、大逆派となる。
(偏屈な性格のモータリオンは他の総主長とは仲が悪く仲が良かったのがホルスとコンラッド・カーズだけであり、特にモータリオンはデスガードを高く評価してくれたホルスを皇帝よりも信頼していた。)
ホルスの大逆の際、中隊長カラス・タイフォン(後にティファウスと名を改める)の奸計によりモータリオンはナーグルとの契約を強いられ、かの神の加護と祝福により疫病の苗床となった団員の肉体は腐り内臓は露出、更に触手が生えたり体に蛆が沸くなどグロテスクな姿の〈プレーグマリーン〉となった。
(公式のイラストはおろかボードフィギュアでもこれがバッチリ(?)と再現されていて苦手な人には本当に見るに耐えられないほど気持ち悪い姿である。)
同時に痛みや恐怖をまったく感じない体になった為、元から恐ろしかった強靭さや耐久力は更に拍車がかかり、血みどろの消耗戦や耐久戦、疫病や毒を塗り付けた刃による接近戦、更に至近距離からの射撃戦などを仕掛けてくるほか、ナーグルに帰依する以前は禁じられていたサイキックにより疫病を操る。
また、化学兵器や疫病を撒き散らすドローンなども使用する。
デスガード中隊長ティファウス。彼がモータリオンを奸計に嵌めたのは彼が渾沌の信者であることに加え、バルバラスでも高名なソーサラーの家系の出身であるティファウスが以前からモータリオンと不仲であったこと、サイカー嫌いのあまり自分の兵団のサイカーに暴力を振るっていたモータリオンに対しての腹いせと仕返しの意味もあった。
第15兵団〈サウザンド・サン〉
「全ては塵なり」
大逆派。総主長は赤のマグヌス。
拠点惑星は銀河中で迫害を受けていた〈超能力者(サイカー)〉達が次々と集まって細々と暮らしていた辺境の惑星プロスペロ。
名前の由来は兵団結成時に千人の息子(団員)のみ大征戦に参加できたことからきている。
(マグヌスの遺伝種子は不安定で、臓器の変異や適応後にいきなり肉体が変異する問題などが起きていた。このことから兵団が解体される恐れがあったものの数十年に渡る研究とマグヌスの右目と引き換えに治療薬が完成して問題は解決した)
同兵団のスペースマリーン達はサイカーとしての素養を持つため多数の〈司書官(ライブラリアン)〉が在籍しており強力なサイキックと射撃戦を得意とし、団員同士は強い連帯感を持っていた。また遠征先で遭遇した惑星の文明から、サイキックに関係する知識や物品を収集していた。
しかし渾沌に近い能力を行使する風潮や〈歪み〉に熱中する姿勢は他の兵団より白眼視され(特にモータリオンとレマン=ラスは不信感を持つほどであった)最終的にニカエア公会議の結果、〈帝国〉では必要最低限のサイキックの使用は禁じられ、マグヌスとサウザンド・サンはサイキックの知識も使用も断念しなければならなくなった。
ここまでマグヌスがサイカーやサイキックに拘っていたのは、プロスペロで育ちサイカーの苦しみを理解していたマグヌスが〈歪み〉を研究する事でサイキックが決して危険なものだけではないことやサイカーが帝国に奉公する事が帝国の未来のためになると証明したかったこと、そして自分達サイカーが活躍し帝国に奉公すれば帝国内でのサイカーの見る目が変わり、迫害や異端視されるサイカー達の待遇や立場が良くなり彼らの救いの道になると信じていたからである。
(サイカーが使う力は〈歪み〉と呼ばれ、〈歪み〉を使った超能力を〈サイキック〉と呼ぶ。渾沌の力でもある為、使い方を誤ったり強い精神力を持ってないと渾沌の虜となったり、〈歪み〉に潜む渾沌の魔物達を呼び寄せてしまうばかりか、自らが渾沌の魔物に憑依されたり変異してしまったりする。これが原因でサイカー達は異端視され、迫害や理由を問わずに殺されてしまうことがあった)
大逆派になった理由はホルスの大逆を察知し、マグヌスが禁止されていたサイキックで地球にいた皇帝に伝えようとしたものの、皇帝が極秘に地球に渾沌の魔物を入れないように張り巡らせたサイキックパワーの障壁を破壊してしまい逆に自分が反逆者にされ逮捕されることになった。
(このときマグヌスは謎の人物(渾沌の神の一柱で変幻と策略の神、ティーンチの手先)から障壁を破壊する策を提案され、実行してしまったためティーンチの手駒として帝国の敵になるように仕向けられてしまった)
マグヌスは己の過ちを理解しており、自分が大人しく捕まれば愛するプロスペロの住民と兵団の命は助かると考えプロスペロの防衛体制を完全に無防備にして逮捕を甘んじて受け入れるつもりであった。
ところが、既に大逆の意志を固めていた大元帥ホルスはマグヌスとサウザンド・サンを大逆派に引き込ませる為に、皇帝の命によりマグヌスを逮捕する為、自身の兵団と帝国軍を率いてプロスペロに向かっていたレマン=ラスにマグヌスの逮捕命令を「皇帝が望むことはプロスペロとサウザンド・サンの粛清」とプロスペロとサウザンド・サンの粛清という偽の指令にすり替え、ホルスと親交があったラスに信じ込ませてた。
派遣されたスペースウルフと帝国軍により住民は虐殺され、都市は崩壊し自分達と民を守る為に兵団を率いて自ら戦線に立ち必死に抵抗したマグヌス自身もラスと一騎打ちの末追い詰められる。
絶望の果てに自身と蓄えた知識、兵団を守るために死の瀬戸際に耳元で囁いたティーンチと契約を結び大逆派になった。
だがホルスの大逆後に団員の変異が再発しそれを解決する為に、兵団の主席司書官アーリマンがマグヌスに黙って独断で〈朱書き(ルブリック)〉の儀式を行った結果、殆どの兵団員が体を失いパワーアーマーに塵と魂が封じ込められた〈ルブリックマリーン〉(上の画像左の兵団員)と化し、ソーサラー(上の画像右の団員。儀式の際に体が塵にならず変異しただけで済んだ団員である。)達によって操られる人形同然の存在になってしまった。
現在は自分達を陥れ、母星を滅ぼしプロスペロの住民を虐殺した〈帝国〉とスペースウルフに復讐すべく活動をしている。
なお、ティーンチ神との契約により総魔長となったマグヌスの精神はいくつもの破片へと分裂し、その内の一つは地球へと辿り着いている。この〈地球の破片〉は〈皇帝〉へ大逆を報せる為に放った精神体から生まれており、言わばマグヌスの良心とも呼ぶべき存在であった。
〈地球の破片〉は皇帝の側近たる宰相〈マルカドール・シギライト〉によって保護され、忠誠派に留まったサウザンド・サンのアルビダ軍曹の肉体と一体化した。
結果、アルビダでもマグヌスでもないイアヌスなる存在へと転生し、イアヌスは異端審問庁直轄の〈グレイナイト〉戦団の最初の至高騎士団長に就くこととなる。
大逆派に堕ちた兵団の中でも特に運命に翻弄され悲劇の道を歩んでしまった悲しき兵団であるが、マグヌスが信じていた正義と良心の心は形を変えながらも〈帝国〉に受け継がれ、帝国と人類の未来を渾沌の勢力から今も守り続けている。
サウザンド・サン主席司書官アーリマン。彼が上記の儀式を独断で行ったのは、かつて自身の唯一の肉親で弟のオルムズドを最初に起きた変異で亡くし、変異への激しい恐怖を刻み付けられたために変異で滅びゆく団員達を弟と同じようにさせたくなかったからである。
現在はサウザンド・サンを追放されており、何千年、何万年もさ迷い、幾千もの文明を滅ぼし幾兆もの命を奪いながら、自分のせいで物言わぬ人形になってしまった団員達の朱書きの呪いを解く方法を探す為に銀河中を放浪し続けている。
第16兵団〈ルナーウルフ(のちにサン・オブ・ホルス、大逆後はブラックレギオン)〉
大逆派。総主長はホルス・ルペルカル。(画像右の人物)
拠点惑星はギャングが社会を牛耳る惑星クトニア。(ホルスと筆頭中隊長アバドンも元ギャングである)
忠誠派時代は強襲戦術の名手であり、またホルスの類まれなる軍事的才能から他兵団との連携戦術にも長けていた。〈大征戦〉初頭、月面の敵対勢力を屈服させた功績から〈ルナーウルフ〉の名を与えられていたが、オルクとの一大決戦であるウラノール戦役における活躍から〈サン・オブ・ホルス〉の名を皇帝より許される。(この時、それまで用いていた白色のアーマーを上画像の緑色に改めている。)
ただしホルスは他の兵団と同等という立場を揺るがすことにつながるとしてこの名を使わずに普段はルナーウルフのままで活動していたが、大逆を決意した際に自らサン・オブ・ホルスと呼び改めた。
ホルスの大逆における敗北後、総主長の遺体を巡って大逆派スペースマリーンの間で内乱が起きたことをきっかけに、ホルスの影響力を排除する目的で「ブラックレギオン」に改名される。
左の画像はブラックレギオンへ改組後の兵団員
現在はホルスの腹心であり同兵団の筆頭中隊長であったエゼカイル・アバドン(画像右の人物)が、戦死したホルスの跡を継ぎ大元帥になり渾沌の勢力と他の大逆派の兵団を率いて帝国との戦いを続けている。
第17兵団〈ワードベアラー〉
大逆派。総主長はローガー・オーレリアン。
拠点惑星は古き神々(後に渾沌の神々と同一存在と判明する)を信仰する宗教の盛んな惑星コルキス。
総主長帰還以前は〈インペリアル・ヘラルド〉という名称であった。皇帝を神と崇める極めて宗教色の強い兵団であり、大征戦において征服した惑星の宗教改革を進めていた。「皇帝の言葉を運ぶ者」を意味する改名はこの活動に由来する。しかし迷信を否定する皇帝の意にそぐわなかったためこれを厳しく禁止されたことがきっかけとなり、大逆派に回る。
実は最初に渾沌に堕ちた兵団であり、ホルスの大逆が起こることになった全ての元凶である。
渾沌に転向したローガーは、当時様々な苦悩を抱えていたホルスを誘惑、また〈皇帝〉の支配する〈帝国〉の絶望的な行く末を未来視させることで渾沌に傾倒させ、ホルスの大逆を引き起こすよう仕向けさせることになった。
現在は渾沌の信者を増やし、渾沌の信仰を銀河中に布教させたりディーモンを使役することを得意としている。
また大逆後に帝国で生まれた、皇帝を神と崇める宗教組織〈帝国正教(インペリアル・カルト)〉は堕ちる前のローガーが様々な惑星で広めていた上記の宗教が基礎となっているとされている。
これは皇帝の望まなかったことだけではなくその後の帝国が退廃、衰退してしまう原因にもなったが同時に様々な不安や恐怖に晒された帝国臣民の精神のよりどころになり心の支えになったのも事実である。
第18兵団〈サラマンダー〉
「いざ、戦いの業火の中へ!いざ、戦争の金床の上へ!!」
忠誠派。総主長はヴァルカン。(画像右の人物)
拠点惑星は活火山が多くあり、それにより他の惑星より紫外線が多く降り注ぐ惑星ノクターン。
兵団員は真っ黒な肌と赤い瞳を有する。
(これはヴァルカンの遺伝種子と惑星ノクターンの紫外線量の影響である)
その怖い見た目は、姿を一瞬見せただけで敵が無抵抗で降伏してしまうことがあるほどだが、中身は総主長と同じ、強い正義感と人間性を尊ぶ精神を持っている。
スペースマリーン戦団の中で珍しく団員らが家庭を持つことを許されており、惑星内の住人や戦団のコミュニティといった人と人の繋がりを大切なものとして、それを守る為というのもサラマンダー戦団の戦う理由の一つ。
この為、基本的に敵の殲滅を優先する他の兵団とは違い、民間人や非戦闘員、負傷者といった戦う術を持たない・持てない人達の救助や保護を率先して行う事が多く、その誇り高き精神に救われた者がサラマンダーの同胞への道を志す事も少なくない。
この人道を重んじる姿勢故に、目的の為なら手段を選ばず非道な行為を平然とする組織(ナイトロードやマリーンマレヴォラント等)とは仲が悪い傾向がある。
特にマリーンマレヴォラントとは総主長ヴァルカンの名を関した防衛兵器を勝手に持ち出された挙げ句破壊活動という真逆の方向に使われたり、更には第三次アルマゲドン大戦時にはオルク軍殲滅の建前の下、目の前で避難民が集まっていた戦艦ごと巻き添えに砲撃で爆破された上に、その砲撃を指示したマレヴォラントの第1中隊長カストールが「弱者なぞ気にしてられるか」「あの犠牲は我らの聖戦の必要経費」と全く悪びれる事無く言い放った為、その場にいた戦団長トゥ=シャンを含めたサラマンダー戦団全員が激怒。
殴り合いの乱闘に発展した挙げ句そのカストールを始めマレヴォラントらに半死半生の重傷を追わせあわや壊滅寸前に追い込んでしまい、これが切っ掛けとなって今後はマレヴォラントに一切の支援はしないと絶縁宣言をする程の険悪極まる関係となってしまっており、同時にスペースマリーン戦団の中でも最も温厚で情け深く、人道を重んじるとされるサラマンダー戦団にそこまでさせたマレヴォラントの悪名が余計響き渡る事になった。
フレイマー(火炎放射器)やメルタガン(高温レーザーガン)などの高熱火器の運用に優れる。
スペースマリーン戦団としては例外的に、〈戦いの聖典〉制定以前の編成のまま戦団の分割が行われていない。これはロブート・グィリマンとヴァルカンとの間に交わされた協議の結果であり、〈ホルスの大逆〉における損害を鑑みたものとされている。(一方で、遺伝種子を用いた後継戦団の創設自体はされているとの噂もあり、身体的特徴の似た戦団が存在する。)
現在は消息を絶った総主長ヴァルカンの残した〈焔の秘本〉なる書物に記された、総主長自身の作り上げた9つの聖遺物を収集することが大きな目的となっている。
これらの聖遺物が揃った時、総主長ヴァルカンは帰還すると信じられている。
当代の戦団長トゥ=シャン。
現在のスペースマリーン戦団長の中で最も慈悲に満ちた者との誉れ高き傑物。一方で上述のようにその堪忍袋の尾をブチ切れさせたら非常に恐ろしい戦闘者に様変わりと、優しい人程本気で怒らせると怖いを地で行くような人物でもある。
幸い、そこまでさせるのは余程の非道を働く輩くらいのものだが…
第19兵団〈レイヴンガード〉
「影より死をもたらさん!」
忠誠派。総主長はコルヴス・コラックス。(画像右の人物)
拠点惑星は高度な工業惑星デリヴァランス。
デリヴァランスはかつてリカイオスと言う名であったが、コラックス率いる奴隷労働者達の反乱軍が当時の惑星の支配者達を打ち倒したときに名を改名した。(デリヴァランスは解放の意味を持つ。)
奇襲と隠密戦闘の達人で普段は目に見えないように活動し、他の選択肢やよほどの事情がない限りは正面からの攻撃を仕掛けない。
兵団のパワーアーマーもそれらを阻害しない様に、軽量化やステルス性の高い独自の物になっている。
また他の兵団とは違い、各中隊ごとに完全な別行動をとるのが特徴である。
ホルスの大逆の際にコラックスがイシュトヴァンⅤの戦いで多くの団員を失ってしまったため、急いで新たな団員を増員させようとしたとき、アルファレギオンの破壊工作によって遺伝種子の欠陥(種子自体の異常に加え、破壊工作(新たに作られた遺伝種子にウイルスを混ぜ混んだ汚染工作)により損傷した遺伝種子が用いられてしまった。)が発生し兵団のスペースマリーンに肉体の一部が異形に変質してしまう現象が起きてしまい、現在でもこの現象が多発し悩まされている。
第20兵団〈アルファレギオン〉
「多頭蛇は全てを支配せり」
大逆派。総主長はアルファリウスと、その双子であるオメゴン。
欺瞞工作や陰謀を得意とする謎多き兵団であり、総主長の出自すら明らかではない。(大征戦の最中にルナーウルフ戦団に発見されたとも、死滅惑星で孤独に過ごし異種族の宇宙船を奪い〈帝国〉に帰還したとも、渾沌の神々に拐われる事なく〈地球〉にて〈皇帝〉自身に養育されたとも言われている。)
大逆派となった理由も特殊であり、総主長アルファリウスが異種族アエルダリの組織〈謀議団(カバル)〉から告げられた予言に由来する。〈ホルスの大逆〉において大逆派が勝利すれば正気に戻ったホルスにより渾沌の勢力は滅ぼされる(人類を絶滅させ渾沌の信仰を根絶する)と告げられ大逆派となったと言われている。しかし予言に反し大逆派は敗れてしまった。
大逆の際は大逆派として忠誠派と戦ったが、大元帥ホルスの命によりホワイト・スカーを大逆派へ引き込むはずが、彼らを攻撃したり味方の通信妨害を停止させるなどして、ホワイト・スカーが忠誠派へ留まるきっかけを作ってしまったり、レイヴンガードの遺伝種子に対する破壊工作のどさくさに紛れてオリジナルの遺伝種子を手に入れても、エンペラーズ・チルドレンの科学者には偽物を掴ませて本物を隠してしまうなど明らかに大逆派が不利になるようなおかしな行動も散見されている。
この事や〈ホルスの大逆〉に加担した経緯などからアルファレギオンが未だに〈帝国〉と〈皇帝〉への忠誠を保っているのではないかと見る向きもあるが、真相は明らかではない。
主な後継戦団
〈クリムゾンフィスト〉
インペリアルフィストの後継戦団。
拠点惑星はオルクの支配領域の目と鼻の先にある惑星リィンズ・ワールド。
戦団名の通りパワーアーマーの両拳を赤く塗っているのが特徴的で、由来は創設以来行われている新米のスペースマリーンに対する儀式からであり、一人前の団員を目指す者は惑星「ブラックウォーター」にて己の身一つ、一切の武器を使う事無く惑星の現住生物バーブ・ドラゴンを探し出して仕留めねばならない。
成し遂げた者はバーブ・ドラゴンの生き血に左拳を浸して真紅に染め上げ、それを以て正式な戦団の一人として認められ祝福を受ける…というものである。
親戦団の不屈の強靭さを受け継ぎつつも柔軟な思考を持つ団員が多く在籍しており、〈戦いの聖典〉を抵抗なく受け入れている。
リィンズ・ワールドはかつてオルクの大規模な〈グァーグ!〉に曝され、防衛戦の末戦団は甚大な損害を被った。
このためオルクへの深い憎悪と怨恨を持ち、また豊富な戦闘経験からオルクとの戦闘を得手とする。
第40千年紀の終わりにロブート・グィリマンが発動した〈揺るがざる征戦〉の折、もっとも初期にプライマリス・スペースマリーンが編入された戦団の一つでもある
〈ブラックテンプラー〉
インペリアルフィストの後継戦団。
拠点惑星は持たず、艦隊を拠点として銀河を巡っている。
クリムゾンフィストとは逆に保守的な思考を持つ団員が多く、〈戦いの聖典〉とは異なる独自の戦術や部隊編成を執っている。
ほとんどのスペースマリーンと異なり、〈皇帝〉を神と讃える宗教的な側面が非常に強い。
そのため異種族や大逆者はもちろんサイカーのような遺伝子変異者にも強硬的であり、司書官が在籍していない。
例外として、宇宙航行に欠かせないサイカーである〈感応通信官(アストロパス)〉達には逆に大きな敬意を払っている。これは〈感応通信官〉が〈皇帝〉の神聖なサイキックを感じ取る尊い存在と受け止めているからである。
その理念思想ゆえ、〈帝国正教会〉や〈異端審問庁〉との関わりも深く、行動を共にすることが多い。
〈フレッシュティアラー〉
ブラッドエンジェルの後継戦団。
拠点惑星は恐竜の如き巨大爬虫類が闊歩する密林惑星クレタキア。
親戦団でも問題視されていた〈傷〉の症状は一層顕著となっており、実際に帝国防衛軍の連隊やスペースマリーン戦団をも巻き添えにしてしまった事がある。
この事から異端審問庁より戦団解体を迫られる危機に陥ったものの、戦団長ガブリエル・セスの必死の説得と新たな戦術……即ち、巻き添えにする味方の存在しない敵の真っ只中へ戦団のスペースマリーンを投入する戦術によって多大な戦果を揚げたことで、その名誉は回復された。
親戦団と異なり、〈傷〉をサングィニウスからの贈り物として好意的に捉えている。
〈ブラッドレイヴン〉
「知識は力なり、よく守らしめよ」
分化前の親戦団は不明。
サイカーとしての能力を発現する兵団員が多く、強力な司書官が多数所属している。
この特徴から、大逆兵団〈サウザンド・サン〉の後継戦団と見る向きもあるが、そのルーツに関しては異端審問庁〈鉄槌の団〉によって厳重に秘匿されており、事実は明らかでない。
RTSゲーム「Dawn of War」シリーズにて主役を務める戦団。
当代の戦団長、ガブリエル・アンジェロス。
〈エンペラーズシャドウ〉
「死ぬには良い日だ」
分化前の親戦団は不明。多くの戦団同様その起源や情報の多くが謎に包まれている。……と、言うだけならば特筆すべきものではないが、この戦団は盆栽と漢字、日の丸を戦団章に取り入れた和風のデザインであることが話題であり、ファンの間での知名度がそれなりにある。
〈マリーンマレヴォラント〉
「憎悪に勝る武器はなし!」
分化前の親戦団は不明。
忠誠派スペースマリーン戦団でありながら最も悪名高い戦団の一つであり、味方から物資を強奪、(自分達と比べて)弱い味方や戦えない味方を平然と見捨てたり、穀潰し扱いする、襲撃を受けた難民ごとオルクを殲滅し共闘していたサラマンダー戦団を激怒させあわや同士討ちの挙げ句全滅しかける、挙げ句の果てにはブラックテンプラー戦団のスペースマリーンと決闘に及び、勝利の末武器を戦利品として持ち去るなどといった、手段を選ばない見境の無さを持ち、スペースマリーンやインペリアルガードといった殆どの味方から侮蔑と恐怖の目を向けられている。
更には新兵が歴戦の古参兵を「老いぼれ」と見下し、バカにする、同胞同士の殺し合いが日常茶飯事など団員同士の繋がりや協調性も無く戦団内部も問題だらけである。
その一方で戦団の実力は高く、帝国への忠誠心も失っていない。
〈アストラル・クロウ〉
分化前の親戦団は不明。〈渦(メイルシュトローム)〉と呼ばれる歪みの裂け目に面した〈バダブ星系〉と呼ばれる宙域を守護していたスペースマリーン戦団の一つ。
戦団長ルフグト・ヒューロンは〈渦〉における〈帝国〉領域の安定を図り幾度となく同宙域における敵対勢力の制圧を主張していたが、陳情の無視や戦力の引き抜きなどを受けて〈帝国〉への不信感を募らせていった。
最終的には同盟関係にある複数の戦団とともに〈帝国〉へ反旗を翻し、バダブ星系一帯の分離独立を図る〈分離派〉として〈バダブ戦争〉を引き起こしたが敗北、戦団長ヒューロンもまた瀕死の重症を負う。
〈分離派〉に属したほとんどの戦団が懲罰と引き換えに存続と〈帝国〉への帰参を許される中、アストラル・クロウは投降した全ての団員が処刑され、また星系より脱出した団員は復活したルフグト・ヒューロン改め〈ヒューロン・ブラックハート〉率いるケイオススペースマリーン〈レッドコルセア〉として今尚〈帝国〉に牙を剥き続けている。
〈バダブ戦争〉におけるアストラル・クロウの反逆は、〈第二期創設〉以降のスペースマリーン戦団が大逆派となった著名な事例の一つである。
〈リトリビューター〉
分化前の親戦団は不明。元々は二次創作ファンムービー「Astartes」に登場するオリジナルの戦団であったが、同作がゲームズワークショップ公式から高い評価を受け作品ともども公式の存在となった。
劇中では突入艇を用いて敵艦に殴り込みを仕掛け、不審な球状の物体を確保する様子が描かれている。
特殊なスペースマリーン戦団
〈グレイナイト〉
「我ら鉄槌なり!!」
戦団番号666を与えられし、謎多きスペースマリーン戦団。
拠点惑星は土星の衛星タイタン。
その指揮系統は異端審問庁〈鉄槌の団〉の直轄部隊となっている。
一般臣民に存在を知られてはならないケイオスディーモンの討伐を任務とするディーモンハンターである立場上、スペースマリーンを含む殆どの人類から秘匿されている。
詳細は個別記事を参照。
〈デスウォッチ〉
「異種族に苦痛と死を!」
各戦団から選りすぐりのスペースマリーンを招集し構成される、〈異端審問庁(インクイジション)〉の対異種族部署〈純血の団(オルド・ゼノス)〉の特殊部隊として活動するスペースマリーン戦団。
その戦術思想はアエルダリやオルク、タウ・エンパイアやネクロンといった異種族との戦いに特化している。
所属するマリーンたちは出身戦団の紋章の描かれた右肩を除き、そのパワーアーマーを黒に染め少数精鋭によるキルチームと呼ばれる分隊を構成する。
様々な戦団から兵員を集めるため、隊員たちのお互いの思想や教条に基づく対立や軋轢も珍しくないものの、過酷な戦場において絆を深めていく。その実力は全スペースマリーンの中でもトップクラスである。
〈帝国〉では珍しく、敵対する異種族の武器を始め技術を回収、研究解析し有用なものは自らも使用するなど、ある程度の技術発展が許容されている。
この行為は異端審問庁の急進派や帝国技術局の改革派からも支持を受けているが、一方で保守派は強い難色を示している為に時には回収した技術を勝手に破壊・抹消される事も少なくない。
また、所属戦団からの追放や壊滅した戦団の生き残り、大逆兵団の所属であったが帝国と皇帝陛下への忠誠を捨てずに戦団を離反してまで帝国側に付いた者など、出自を明らかに出来ないスペースマリーンが〈ブラックシールド〉と呼ばれ配属される事もある。
〈レギオン・オヴ・ダムド〉
「我ら、業火を以って敵を清めん」
全身に炎を纏い髑髏の意匠のアーマーを装備したスペースマリーン戦団。
その肉体は半ば超常の存在に変容しており、実体が存在しないかのようにあらゆる攻撃がすり抜けてしまうほか、使用する武器も通常では考えられないほどの高威力を発揮する。
戦場への出現も唐突にして予測不可能であり、テレポート移動などの痕跡もなくいきなり姿を現し帝国の危機を救っては僅かな遺留品を残して消えてしまう。
その正体は〈ホルスの大逆〉時に死んだスペースマリーン達の魂が、古からの仇敵を殲滅する為に死の帳を乗り越えて姿を現したもの、人類の正しき信仰心が生み出したサイキック的な存在ともされている。
更に当戦団が現れた際の遺留品などから、かつて〈歪み〉を航行中に消息を絶った〈ファイアホーク〉戦団の成れの果てではないかと推測されており、実際ファイアホークが行方不明になった翌年からこの謎のスペースマリーン戦団による救援の報告が相次いで寄せられるようになった。
しかし時系列の矛盾なども見られ正確な出自は未だ謎に包まれている。
関連動画
彼らは我が最精鋭たる戦士となるべし。
彼らこぞりて、その身を以て我に仕えん。
我、粘土をこねるがごとく彼らを形作り、
戦争の炉にて彼らを鍛えん。
彼らは鉄の意志と鋼の肉体の持ち主なり。
我、大いなる鎧を彼らにまとわせ、
強大なる聖銃にて武装させん。
いかなる病毒、悪疫、疾患も、
彼らを蝕むこと能わず。
戦術、戦略、そして戦争の
祭具を備えたる彼らに、
いかなる敵とても太刀打ちすること能わず。
彼らは、恐怖を退けんがために置きたる
我が防壁にして人類の守護者。
彼らはスペースマリーン。
恐怖を知らざる者なり。
-人類の皇帝
かつてない暗黒の時代が到来している。
我らの帝国は崩壊のただ中にあり。
古より蘇りし恐怖が、皇帝陛下の版図と威光を奪わんとしている。
されどなお、希望は潰えず。
我らの総主長は帰還した。
総主長の手により我らは生まれ変わる。
その祝福は我らに強さと忍耐、
終わりなき勝利をもたらす。
我らはウルトラマリーン。
我らは王を屠る者。
我らが憤怒、留まることなし。
関連項目
Spacemarine表記揺れ