解説
肉体の損傷が著しい瀕死のスペースマリーンが生まれ変わる歩行兵器。脳などの中枢部をロボットのようなボディへ移植したサイボーグであり、堅牢な装甲と絶大な火力を有する。
スペースマリーンにとって、ドレッドノートとなることは最高クラスの栄誉であり、同胞からの多大な尊敬を集める存在である。
但し、ドレッドノートとなったスペースマリーンは時を経るにつれて次第に正気を失っていくという逃れられない運命が待っている。
生前にどれ程の強靭な精神の持ち主であろうとも、機械の身体となって何百年、何千年という月日を戦いに費やして過ごすには定命の精神では到底耐えられないのだ。
ドレッドノートの種類
〈カスタフェラム型〉
第41千年紀における最も一般的なタイプのドレッドノート。
他のドレッドノートと比べると体高が低く、薄いボディが特徴である。
あらゆる場所や戦闘に対応する事ができるように設計された汎用型であり、殆どの戦団で採用されている。
〈アイアンクラッド型〉
近距離での白兵戦に特化したドレッドノート。
カスタフェラム型をベースに重装甲化と対防壁用の熱線銃メルタガン、両腕のドリルアーム等、要塞攻略や近距離戦闘を主眼に置かれた調整を施されている。
セラマイトの分厚い装甲の前では並みの重火器では足止めにすらならず、メルタガンとアームの一撃はどんな防壁だろうと大穴を空けて味方の進路を作り出す。
〈シージ・ドレッドノート〉
アイアンクラッド型から更に攻城戦、対要塞戦に特化させたような強襲型ドレッドノート。
2つの腕にそれぞれ「ヘヴィフレイマー」という対ソフトターゲット用火炎放射器と「アサルトドリル」という3つの球型グラインダーを装備し、更にそのアサルトドリルの中央には城壁すら容易く溶解させる超大型火炎放射器「インフェルノキャノン」を搭載している。
これらの武器を以て敵陣を正面突破し、本拠地を守る壁を中身ごと徹底的に破壊し尽くす事こそがこのドレッドノートの役目である。
〈ヘルファイア型〉
遠距離支援に特化したドレッドノート。
両腕に様々な武器を装備することができ、ミサイルランチャーやオートキャノン等の武器で火力支援を行う。
〈デレデオ型〉
コンテンプター型をベースに大征戦時代に開発されたドレッドノート。
ヘルファイア型よりも更に火力・後方支援特化型としており、ヘヴィ・ラスキャノンを始めとした強力な火器で身を固め、嵐の様な凄まじい砲撃を以て戦端を切り開かんとする同胞らの進軍を強力にサポートするのが役割である。
〈コンテンプター型〉
大征戦前期に開発されたドレッドノート。
見た目は他のドレッドノートと比べるとスペースマリーンのパワーアーマーのような人型に近く、ヘルメット型の頭部ユニットが付いており、全長も他のドレッドノートに比べて大きい。
旧式で現存する数は少なく製造技術も〈ホルスの大逆〉時に失われてしまったが、性能は現行型のものを遥かに上回る高性能を誇る。
バリエーションとしては皇帝直属の親衛隊「帝国近衛団(アデプトゥス・カストーデス)」が運用する「コンデンプター・アキルス」「コンデンプター・ギャラトゥス」というモデルも存在し、そちらは皇帝の守護という大役の為に贅の極みを尽くしたカスタマイズが施され、只でさえ超常的なコンデンプター型の中どころか名実共に全ドレッドノート中でも最強クラスの戦闘力を誇ると言われている。
〈リヴァイアサン型〉
大征戦後期に開発されたドレッドノート。
火星の機械教団に対して開発の事実は秘匿されている。
〈技術の暗黒時代〉由来の失われた技術や皇帝が開発した技術が融合しており、包囲戦に特化した性能を持つ。
限られた数しか製造されておらず、現在はコンテンプター型同様、現存数が少ない。
加えて納められたスペースマリーンはそうした技術の悪影響で常に狂気の淵に精神を晒され、半永久的にもがき苦しみ続けているといういわく付き。
また、製造自体もインペリアルナイトが一騎作れるぐらいの量が必要になるほどの高コストである。
〈ヴェネラブル型〉
コンテンプター型に並ぶとされる長い歴史を持つドレッドノート。「尊き者」を意味する名称の通り搭乗する操縦者も戦団創設時またはその直後から戦い続けている最古参の英雄であり、他のスペースマリーンから崇拝にも近い尊敬を受けている。
戦闘力のみならず膨大な経験と知識は戦団でも重宝されており、作戦立案や重要な評議に参加し助言を行う事もある。
〈チャプレイン・ドレッドノート〉
〈ライブラリアン・ドレッドノート〉
その名の通りチャプレイン(教戒官)、司書官(ライブラリアン)が納められたドレッドノート達。
彼らは肉体を機械に変えようともスペースマリーンの同胞らの精神的支柱として、また知識の導き手として生前と変わらぬ働きを見せ、帝国の敵に恐怖を齎す。
〈グレイナイト・ドレッドノート〉
帝国の最高機密戦団グレイナイトで運用されるドレッドノート。
納められた人物はかつてグレイナイトの中でも高位にあった真の英雄達であり、故にこのドレッドノートは堅牢さと火力に加えて同胞らのサイキック能力をブーストさせる特殊なパワーを持ち、その力を駆使して混沌の悪魔共に鉄槌を下す。
しかし彼らはあくまで一度戦場で斃れ、死んだ者達であり、如何に優れた戦力であろうとそうした古の強き英雄らに頼るばかりでは彼らの命を捧げた奉仕によって築かれてきた戦団の歴史を汚してしまうという騎士団長らを始めとしたグレイナイト全体での考えから、余程の非常事態でも起きない限りはこのドレッドノート達はグレイナイトの本拠地、その中枢たる〈英雄の間〉にて静かに眠りについている。
〈リデンプター型〉
〈揺るがざる征戦〉の折に、技術発展の一部解禁に伴い設計された新型のドレッドノート。
在来機種に倍する程の巨体に加え、強力な火器と装甲を有した最新鋭機。
また駆動系には人工線維組織が用いられ、納められた戦闘者との神経リンクと動力源たる超高密度反応炉により想像も付かない程の驚異的な速力までも兼ね備える。
ただしその代償として生体機関として内蔵された戦闘者への負担が非常に高くすぐに死んでしまう為、他のドレッドノートより交換の頻度が高いという欠点がある。
当然この同胞を使い捨ての部品扱いする仕様は多くのスペースマリーン達から苦情が来たものの、高性能故に背に腹は代えられないものであり、現状はこの仕様を究極の自己犠牲として、受け入れざるを得ない状態となっている。
バリエーションとして両腕にクローを装備した接近戦特化型の「ブルータリス・ドレッドノート」や、逆に両腕に重火器を装備した射撃戦仕様の「バリストゥス・ドレッドノート」等がある。
〈インヴィクター・タクティカルウォースーツ〉
リデンプター型ドレッドノートの派生兵器で、機体フレームを流用し一般のスペースマリーンが搭乗して操縦できるロボット兵器。
上述のリデンプター型への苦情に対してその折衷案として開発された。
〈テレモン・ヘビードレッドノート〉
スペースマリーンではなく、地球にて帝殿を守護する近衛兵団アデプトゥス・カストーデスで運用されるドレッドノート。
納棺されるカストーデスが希少かつスペースマリーンよりも高度な技術が用いられているため極めて高コストだが、その分通常よりも遥かに強力な存在となっている。
〈ヘルブルート〉
ケイオススペースマリーン版ドレッドノートとでも言うべき「魔導兵器(ディーモン・エンジン)」の一種。
スペースマリーンにとってドレッドノートとなる事が大変な名誉とされるのに対して、こちらは渾沌四大神からのケイオススペースマリーンへの最大限の拷問と懲罰とさえ言われ恐れられる兵器であり、哀れこの兵器の搭乗者とされたケイオススペースマリーンは〈生体棺(アムニオティック・サルコファガス)〉と呼ばれる中枢に身も心も永遠に幽閉され完全に死ぬ事も叶わなくなり、その精神が狂気と絶望によって食い尽くされ見境無く猛威を振るう機械の狂獣と化してしまう。
ドレッドノートと違って通常は操縦者を収めた棺と機体は切り離された状態で保管されているが、それでも発狂した操縦者の残留思念が機体に染み付いてしまっている事があり、故に時々無人の機体が勝手に動いて暴走を始める事もある為、呪いを施した鎖で厳重に封じられている。
ヘルブルートを載せたケイオススペースマリーンの強襲艦が戦場へ、獲物の元へと接近する時になって初めて封は解かれ、武装が取り付けられ、弾薬が装填され、そして全身には混沌の呪文の詠唱と共に生き血が丹念に塗られ擦り込まれる。
最後に哀れな操縦者の納められた棺が挿入され、目覚める度に束の間の眠りから覚まされた操縦者の狂気は増し、そうして戦場へ解き放たれたヘルブルートは目に映る何もかもに対してその悪魔的な火力とパワーを叩き付けるのだ。