キホール
きほーる
NEXONが運営するオンラインゲーム、マビノギに登場するキャラクター。
マビノギの世界(エリン)に存在する神の一人であり、
ポウォール(魔族)を守護する残虐で狡猾な神とされ、「魔神キホール」と呼ばれる。
黒いローブを纏い、背中に白い翼を持つ。フードの下の素顔は窺い知ることができない。
開発インタビューによると男神である。
元ネタは同作の下敷きであるケルト神話に登場する、大洪水時代以降の
キッホルは手も足もない怪物であるとされるが、キホールには普通に手も足もある。
(この元ネタのためか、キホールは歩くのではなく地面を滑るように移動する)
作中では女神モリアンと徹底的に対立しており、ポウォールを率いて人間を滅ぼそうとしたり、
様々な奸計を用いて人間の英雄を陣営に引きこむ、その生命を奪うなど典型的な悪役である。
しかし、その行動がどのような理念に基づくものなのかは一連のストーリーになったクエスト、
メインストリームで語られることとなる。
また日本におけるサーバーの一つの名前に採用されており、「キモ鯖 肝鯖」などと呼ばれることもある。
モリアンが人間に加担し、ミレシアンを手駒として使うようにキホールはポウォールを守護する。
人間のモリアン、ポウォールのキホールという対立構造が保たれていたことにより
人間とポウォールの戦いは長い間続き、キホールは人間からは残虐なポウォールの主神として
語られるようになった。
モリアン救出へ向かうミレシアン(プレイヤー)を徹底的に妨害する敵役としての登場であはあるが、
その実彼自身もモリアンが人間を守護しようとするのと同じくポウォールを守護するためであり、
後述される彼自身の目的のためでもあったことが明かされる。
女神モリアンがエリンでの肉体を失ったのを好機と捉え、自らモリアンの姿をとって
モリアンの支持者をたぶらかすという手段で人間側の英雄らを自らの陣営に引き込む工作を行う。
また、同時にかつてセンマイ平原での戦いでパルホロン族を絶滅させた伝説の生物兵器である
「グラスギブネン」を復活させることに成功する。
モリアンに導かれたミレシアンはグラスギブネンとの死闘の末、これなんとか撃破するが
完全体ではないグラスギブネンの召喚は布石にすぎず、本来の彼の目的は
グラスギブネンが起こす闇のマナの爆発で次元に大穴を開け、その大穴を使って
ポウォールの軍勢を送り込むことであった。
更に人間の英雄である大魔導師マウラスを死の魔法、「ダルカセリムメデルダウサビ」で殺す事にも
成功し、モリアンを前述の大穴を塞ぐためにその場に縛り付けることにも成功した。
その後、イメンマハをめぐる内紛に乗じて出現し、伝説の三戦士の一人であるルエリを
たぶらかし、ダークナイトとして手元に置くことにも成功するが、
目の前で同じく三戦士の一人であるタルラークを始末しようとしたことにより、
ルエリの反逆にあってしまう。
ルエリをアッサリと返り討ちにした後、モリアンが過去にしたことを糾弾しつつ
神よりも強いドラゴン、クロウクルアフを召喚したことによりモリアンは慌てて
結界の中にクロウクルアフとミレシアンを封印し、結界の中でクロウクルアフと
ミレシアンは死闘を繰り広げることなる。
(このクロウクルアフは実際には似せて作られた石像であった。)
この時点では味方であったはずの女神モリアンが過去にエリン崩壊の危機に瀕して、
独断ですべての住民をティルナノイへ移動させてしまっていた、つまり今のエリンが
ティルナノイであるという衝撃の事実がモリアンではなくキホールの口から告げられることや
上述の「結界の中に置き去り」等の仕打ちから女神に不審を抱いたパラディンがなるのが
ポウォールの鎧を身につけた暗黒と混沌の存在、ダークナイトである。
(続けてモリアンを支持してパラディンのままでいるのも可能だが、一度でも
ダークナイトになると二度とパラディンに戻ることはできない。)
Chapter1は真相が明かされた所で終わってしまうが、次のChapter2はほとんど無関係の内容であり、
続編を望むプレイヤー達はChapter3まで実に3年間待たされる事となった。
(Chapter2は神をも上回る力を持つドラゴン一族の覇権争いの話で
キホールやモリアンは一切登場しない。)
影世界と呼ばれる平行世界へポウォールが侵攻を開始するのと同時に、
人間側の指導者であるファロンの絶望につけ込み、生物兵器クラウ・ソラスの錬成に着手させる。
不完全とは言え復活したクラウ・ソラスはミレシアンとドラゴンの力により倒されるが、
死に際の自爆を防いだ錬金術師レイモアが死亡し、同僚のケイが命と引き換えの蘇生術を用いてレイモアを救う。
(実際にケイは死んでおらず禁術を使った事でカリバーンに取り込まれた。)
その後、モリアンの妹であるネヴァンを利用するために裏方に回ったキホールは
ネヴァンの息子エラサをも利用し、ネヴァンをポウォールの側につけることに成功する。
キホールの目論見はカリバーンとクルクレの心臓を融合させ、その圧倒的な力で
エリンを徹底的に浄化し、新たなる楽園を築くことであり、そのためにも
ソウルストリームの破壊は必須というのがキホールの主張であった。
キホールはネヴァンの息子であるエラサの持つ力を利用し、カリバーンに融合させることで
カリバーンに更なる力を与えることに成功するが、利用されていた上に息子である
エラサを失ったネヴァンは怒り、キホールと戦おうとする。
しかし、モリアンはここで神々が争えば甚大な被害が出ることを懸念し、
キホールの目論むソウルストリーム破壊を阻止するためにミレシアンをソウルストリームへと送り込んだ。
結果として、錬金術の力によりカリバーンの圧倒的な力をその身に取り込んでしまった
ミレシアンは半神とも言える存在なる…という敵に塩を送った格好になるだけでなく、
利用したネヴァンが失意と憎しみから暴走することにより彼自身も足元をすくわれることとなる。
「崩壊する世界を救いたい」という目的で行動していることが明かされ、
その手段としてポウォールを動かしていたことが明らかになったキホール。
キホールの目的はあくまでそのことだけであり、このことが自らの守護していたはずの
ポウォールからの反逆を招くこととなる。
ポウォールの勝利だけを追い求めるポウォールの指導者マタらの思想と
キホールの思想は合致せず、ポウォールから不信任をつきつけられ、キホールは完全に孤立する。
しかし、同時にポウォールもキホールの守護を失うということであり、
後ろ盾を失ったポウォールたちは指導者であるマタがあっさりとパイソンナイトに討ち取られ、
その未来が閉ざされることとなってしまった。
(ちなみに、パイソンナイト初登場と同時に瞬殺されたマタのかませっぷりは中々の物。
前後の台詞も合わさって様式美を感じるほどである。)
孤立したキホールが大胆にも利用する相手として選んだのがミレシアンであり、
そのためにミレシアンの前にネヴァンの暴走を教えるために現れることとなる。
暴走するネヴァンが伝説の武器ブリューナクを手に入れ、世界が崩壊するのを防ごうとするが
ネヴァンが利用していた女戦士ジェナにブリューナクを奪取され、返り討ちにあい
最後の力をミレシアンに託して消滅してしまう。
その後、ブリューナクを手に入れ神々に勝つことを目論むパルホロン族の末裔である
パイソンナイトとの戦いにおいてミレシアンが命の危機に陥った際、
彼が託した最後の力である「シャドウオブスピリット」が目覚め、パイソンナイトを討ち取ることとなる。
(前述の通り、パルホロンを滅ぼしたグラスギブネンはキホールの差し金であり、
パイソンナイトは執念で現世に留まったその最後の王子であった。)
ここまででソウルストリームの破壊を目論見、多くの人々を殺し、エリンへ
ポウォールを侵攻させようとしていたなど、モリアン側についたミレシアンからすれば
数々の悪行を行った邪神のように描かれていたが、ここまでのストーリーで
・人間だけを現在のエリンに身勝手に移住させたモリアン
・エルフとジャイアントに過ぎた力を与えて争いの種を撒いたネヴァン
・人間を愛したあまり神を捨てたマハ
・ポウォールをエリンに移住させ、ソウルストリームからの流入を防ごうとするキホール
というそれぞれの立場が明らかにされた。
このことに関して、多少強引な手段ながら世界のバランスを取ろうとするキホールが
最も真剣に世界の存続について考えという向きもある。
このように行動理念が明かされ、消滅したように思われたキホールであったが
ミレシアンとモリアンが共闘し、ヌアザを倒した後、ファリアス内部にて
そのヌアザに単独でダメージを与えてみせるなど衝撃的な復活を果たすこととなる。
徹底的に序盤から対立してきたモリアンとキホール。
Chapter4になってやっとモリアンとの過去が語られることとなる。
元々、モリアンとキホールは人間の少年と少女であり、いつも一緒に遊んでいた。
ある日二人は空に大穴が開いているのを見つけ、キホールはすぐにそれを皆に知らせ、
どこかの世界につながる大穴を塞ぐことを提案する。
しかし、少女モリアンは頑としてそれを受け入れず、空に開いた大穴は
二人だけの秘密にしておこうと提案した。
二人の案の間をとって作られたのが他の世界からの流入を防ぐ門であるソウルストリームである。
このソウルストリームは漂う魂からミレシアンをエリンに呼び出すことができるが、
代償としてミレシアンを呼び出せば呼び出すほど、そしてそのミレシアンが力を持てば持つほど
エリンを崩壊させてしまうという致命的な副作用が存在していた。
キホールはその事を危惧し、自らがソウルストリームを作ってしまったという事に
責任を感じ、一刻も早くソウルストリームを自らの手で破壊することでエリンの崩壊を防ごうとする。
ポウォールを動かしていたのは楽園に住まうにもかかわらず無益な争いを繰り返す
人間たちを粛清して楽園エリンを永久に維持するためであり、本質的には
モリアンと目的は同じ「エリンを守りたい」というものであった。
しかし、目的は同じながらモリアンは身勝手にかつて人間をエリンに移住させた上に手駒として
世界を崩壊させる元凶のミレシアンを使うという非常に矛盾した行動をとっているため、
これに賛成できないキホールとモリアンの対立は決定的なものとなってしまう。
また、最終的にミレシアンを皆殺しにし、
ベラの破壊の欠片の力でソウルストリームを封印するというモリアンに対しては
本来敵の手駒であるはずのミレシアンであるシェイクスピアの元に現れ、
彼が真実の兜を手に入れる手引きをするなどして協力することとなる。
最終的にモリアンと対峙したキホールは、モリアンに対して自分が大幅に譲歩したことをして
「君は私の頼みを一度も聞いてくれはしないのだな」と失望を露わにする。
(モリアンはこれに対し、一方的にポウォールを率いて戦争を起こさせたことをして
「先に約束を破ったのはあなた」と言い返している)
結局はそのさなか、人間たちの争いによりベラが命を落としたことでモリアンの目論見は潰え、
ベラが死の間際に憎しみと死のエネルギーを体内に吸収し、自らの体内で相殺させたことで
方法は違えどモリアンとキホールの目的であったエリン崩壊の阻止は達成された。
これによりそもそも争う種が消えたモリアンとキホールはストーリー序盤から続いた
対決を終え、和解を遂げて人間を見守るためにエリンを去って隠居することとなった。
(しかし、モリアンが「エリンの危機がこない限り」と条件をつけているため、
エリンに危機が迫りモリアンが動けばまた動き出す可能性が示唆されている)
以上のように、悪役サイドの「魔神」ではあるが、彼は彼なりにエリンのことを考え、
エリンが崩壊しないように必死に行動していたことや、モリアンの身勝手とも取れる行動に
度々振り回されてきたことをして苦労人ながら一番マトモな神であるという声もある。
実際、手段こそ強引なものの「ソウルストリームがエリンを壊す→ソウルストリームを壊す」という
考え方は登場する神々の中でもトップクラスにスジが通っており、
モリアンが強引にベラの持つ強大な力でソウルストリームを封印するに際しても
その力がエリンに災厄をもたらすことを危惧して阻止しようとするなど常識的である。
正体不明のフードをかぶった神であることや、度々魔法を使おうとして妨害される、
今ひとつツメが甘くて失敗する等の点から一部のプレイヤーには「ドジっ娘のょぅι゙ょ」が
その正体であるという説が囁かれている。
開発インタビューで男神と言われようがキホールの過去が「少年」とゲーム中で明言されようが
素顔が明かされていないためにこのキホール幼女説はプレイヤー間で諦めずに提唱されており、
キホールを語る際には度々ネタにされている。
ミレシアンが半神化したときに限り、その力の一部をスキルとして使用することができる。
ただし、モリアンやネヴァンとは異なり別にキホールを支持する必要はない。
(これはあくまでもキホールがポウォールの王であり、ミレシアンの敵対者であることが
原因と思われ、「敵であるミレシアンの支持など受けない」という意志の現れとみられる)
使用可能スキルは「シャドウオブスピリット」。
モンスターの死体から死のエネルギーを抽出し、別の対象に攻撃するスキルで
発動すると黒い靄のようなものが相手にまとわりつき、防御やパッシブスキルを無視して
断続的に固定ダメージを与え続けるというもの。
一度靄に捉えられたら効果時間が終了するまではたとえ逃げようが、死のうが
この靄がまとわりつき続ける。
既に死んでいるアンデッドモンスターからも力を抽出可能なうえ、それらを
倒すことも可能という万能スキルである。
前述のように、パルホロン族の最後の王子であるパイソンナイトはミレシアンが使った
このスキルで倒れており、ケルト神話に登場する「フォモールの疫病」がモチーフであることがわかる。