概要
ヴィクトリカ・ド・ブロワの腹違いの兄でソヴュール警察の警部。
容姿、服装、立ち居振る舞いなど、どれをとっても見事な好青年なのだが、前髪だけをドリルのように鋭く尖らせた奇抜なヘアスタイルをしている。
ヴィクトリカの力を借りて難事件を解決しては、手柄を独り占めにしているが、その一方で「灰色狼の血」を持つと言われる妹の事を過剰に恐れてもいる。
ヴィクトリカいわく「ブロワ家(父)の傀儡であり自分の監視役」であり、その言葉の通り何らかの疑問を持っていても親の意向には逆らえず従順。
髪型の秘密
特有の前髪になっているが、これは代償としての象徴でもある。
彼にはジャクリーヌという、とても仲の良かった異性の幼馴染がいるが、ペットの主治医が殺害された事件でジャクリーヌが殺人犯と疑われてしまう。
幼馴染の無実を晴らすため、事件解決をヴィクトリカに依頼。
結果的に無実を晴らすことができたものの、その代償がドリル状の奇抜な髪型に変えられたことである。
ちなみに、そのジャクリーヌは自身の上司(ソヴュール警察のトップ)と結婚しており(もともと家格として釣り合っておらず、さらにはジャクリーヌとその夫にとっては生まれる前から決められていた事で「そうある事」が当たり前の事だった)自身は涙を隠して、その結婚を心より祝った。そして彼女はグレヴィールの髪型の裏事情など知らないため「幼馴染が変人になった」と思い込み眉を潜めて彼を笑っている(そしてグレヴィールも彼女に笑われる事を望んで滑稽にふるまっている)。
また彼の周囲には自身の部下をはじめ(他国からの留学生である久城一弥の視点から見た場合には特に)奇行を行っている者が多いが、それらはほとんどがグレヴィールがヴィクトリカの力を借りた代償として(表向きにはグレヴィールが自身の立場とブロワ家の権力を振りかざして)強制されたものだったりする。
ゆえにヴィクトリカが極東の留学生にホイホイ力を貸している様を「まるでガメツイ高利貸しから利息無し期限無しで金を引き出しているよう」と例えて(あとでとんでもない理不尽なしっぺ返しが来るのではないかと)不気味がっており、何も知らない一弥に忠告もしている。
もちろん強制されたものだからして、彼本人としてはそれらは決して本意というわけでもない。しかし同時にそれらは自らが選択をして貫いた信念の象徴でもあるため、そうした奇抜な姿や奇行に関しては自身の個性として受け入れ決して自ら卑下するような事をせず、むしろそれを揶揄されれば自らの誇りのもとに怒る事すらある。
一方で、そのような事をせねば心を慰められない腹違いの妹の歪みっぷりに関しては薄々感付いており憐れんでもいる。そのため上述したジャクリーヌの件ではヴィクトリカに「自分は自分の愛と誇りを貫き、この姿を選んだのだから後悔はない。むしろ人にとって最も大事なそれらの大事さを知る事のできない(ゆえにそれらを行きずりのオモチャのように扱って嗤う)お前が哀れでならない」とも返している。
アニメ版最終回では逃亡中のヴィクトリカを途中で発見するが、わざと見逃し「逃げると決めたのならどこまでも逃げ延びてみせろ。そのモンストル・シャルマンの頭脳を使って、と」と遠回しにヴィクトリカへの激励とも言える台詞と共に彼女の逃亡を手助けした。この時ばかりはヴィクトリカも「ありがとう」と素直にグレヴィールに感謝の気持ちを口にした。
その後、ラストシーンでは髪をほどいた姿でジャクリーヌとルイジに会いに来ていた。
なんだかんだと外道な父親には似なかった人格者であることは確かと言える。
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GOSICK ヴィクトリカ・ド・ブロワ 警官 ドリル 残念なイケメン ツンデレ
※以下、ネタバレ
第2部(NY編/グレイウルフ探偵社編)では「世界を覆う2度目の嵐」の最中あるいは直後、なんと自らの立場を棄ててソヴュールを出奔していた事が明らかになった。しかも戦後、ローマ近郊にある某映画都市にて欧州の超人気映画俳優に転身していた事も明らかになっている。
自身も生きるや否やの状態であったため、妹ヴィクトリカの消息は知らず死んだものと諦めていたが、偶然にアメリカ発の海外報に写り混んだ妹の姿を見つけて生存を知り「たったひとりの血縁が生きていた」と(自身の立場を忘れて)泣くほどフィーバー。直後に自身に舞い込んできたハリウッドからのオファーを二つ返事で受けてしまった。