概要
ケルト神話の大英雄クー・フーリンとスカサハの姉妹に当たるオイフェとの間に生まれた息子。
スカイ島での修行を終えてアイルランドに戻らねばならなかったクー・フーリンはまだ身重であったオイフェにこれから生まれてくる子供に「進路を変えてはならない」、「誰にも名乗ってはいけない」、「いかなる挑戦にも応じる」の3つのゲッシュを課す事、金の指輪が嵌る年頃になったらアイルランドを訪れる事を約束させるよう伝言を残していった。
父の顔も知らない少年はコンラと名付けられてスカサハの元で厳しく育てられ、大方の武術を修めたが、父が修めたゲイボルグの技は継承することはなかった。特に彼はスリングショットの技術に優れていたとされる。その威力たるや雷鳴や突風が巻き起こるほど。
実はスリングショットは祖父であるルー神の得意戦術だったとされ、技術は祖父譲りだったとも解釈できる。
7歳に成長したコンラは大量の小石を積んだ青銅の船に乗ってアイルランドの沿岸に近づいた頃に、集まってきた人々の前でスリングショットを構えて海鳥を次々に撃ち落として見せた。撃ち落とした鳥は全く死んでおらず、すぐに息を吹き替えしてはコンラに撃ち落とされの繰り返しがしばらく続いたという。素性を全く明かさないコンラの武芸に恐れをなしたアルスター王コンホヴァルはコンラの上陸を禁止し、なんとか追い出そうと口が達者な者や偉丈夫を次々と送り込んだが、ゲッシュによってスカイ島に戻る事も、王が送り込む使者の挑戦を断る事を許されなかったので何としてでもアイルランドに上陸しようと彼らを悉く返り討ちにしてしまった。
最後に父であるクー・フーリンと戦う事になったが、彼の本妻であるエメルからはクー・フーリンの実子である事を見抜かれており、戦いを辞めるようにクー・フーリンに進言したが、クー・フーリンはアルスターの名誉の為には仕方のない事だとして結局は戦う事になってしまった。剣や素手での戦いでも全く決着が付かなかった彼はゲイボルグで騙し討ちをする形で決着を付けた。
戦いの後、クー・フーリンがこの少年こそ自分の息子であるコンラであったと確信し、もし彼が生きていれば自分を凌ぐ戦士になっていただろうと強く後悔した。