概要(スライム)
CV:雨宮天
一人称は「ボク」。スライムの為か明白の性別は不明で中性的な男性(少年)口調で語尾が「~ぞ(ゾ)」になる場面が多い。他人のいない状況でのモノローグではこの口調だが、聖女ジェリィとして振る舞う際はジェリィ〈生前〉と同じ口調と一人称を使う。
国内に3人しかいない聖女の1人。
絶世の美少女であり、流れるような桃色のロングヘアに頭髪と同じ桃色の花飾りを着けている。肉体を乗っ取った関係上、基本的にジェリィ〈生前〉と全く同じ容姿をしている。彼女との相違点は、コロコロと変わる愛らしい表情、優しげに煌めく桃色の瞳と髪色が肩あたりから毛先にかけて桃色と水色のグラデーションになっていることである。
元々は名もなき1匹のスライムだったが、ルミル(の死体を乗っ取ったスライム)から「スライムも人間になれる(=新鮮な死体の血液に擬態する)」方法を聞き、見つけた死体を乗っ取るも、その肉体が周囲の人間から多くの恨みを買っている極悪令嬢ジェリィだったことを知り1度は絶望する。(その際、「大ハズレ」とまで言っている)
しかし、「ジェリィ〈生前〉の真似をせず、真逆に改善していけば安全確保と理想の生活を確保できるはず」と考え、それを実現するべく奮闘していくことになる。これは「もしもスライムだとバレたら殺されるかもしれない」という懸念にも基づいている。そのためジェリィ〈スライム〉が善行を重ねるのは、あくまで身の安全と快適な生活のためだが、身を挺して他人を庇う、人間の喜ぶ行動を積極的に真似る、スラムの住人の排斥に本気で涙を流すなど、その言動からは隠しきれない善性が見て取れる。
森で細々と暮らしていた頃から人間に強い憧れを持っていたため、基本的には人間が大好き。特に人間の作り出す文化や利器にはたびたび感銘を受けており、特に趣向を凝らした食文化に関しては完全に虜になってしまっている。一番の好物であるステーキなどの肉料理は、目の前に運ばれてくるだけで恋する乙女の表情になってしまうほど。人間になった目的のほとんどが美味しい食事と断言しても過言ではないほどの食いしん坊である。
人間になってからは何事にも快活で意欲に溢れており、感銘を受けた人や物の良い所は素直に褒めるため、持ち前の明るさと相まってどんな人間ともすぐに仲良くなってしまう。一度関わった人間のことはしっかりと覚えておりアスピック家に仕える数多くの使用人たちの顔と名前も一通り把握しているため、エリンが挨拶に来た際は新人であるとすぐに気付いた。スライム時代に様々な苦労をした経験からなのか、他人の不幸や苦難に対する共感性が強く、困っている人間は放っておけない心優しい性格。
極悪令嬢ジェリィ〈生前〉とは真逆の性格であるため、その豹変ぶりに警戒される場面も多く、その度に苦し紛れの様々な言い訳で乗り切っているが、意外にも口が達者な上に本人の天真爛漫な性格との相乗効果で毎回事なきを得ている。それどころか「極悪ジェリィ〈生前〉は悪魔憑きで、今のジェリィ〈スライム〉こそ本来の人格である」と解釈する者まで現れてしまうほど。
聖女の力を根源とする治療術にも天性の適性があるようで、セレストリアの治療を一度受けただけで習得してしまった。一方ジェリィ〈生前〉は治療術が苦手であった様子や、セレストリアが「治療術を使えている=本当に改心した」と判断している辺り、その精神性は正真正銘「聖女」と呼んで差し支えないものと思われる。
血液がスライムであるため、ジェリィ〈生前〉の殺害に使われたものを含め毒全般(人間にはとても耐えられないほど強くても)が効かず、体液を分離させ小さな分体を作り出して使役したり、乗っ取る過程で人体の構造も把握しているので、不調の箇所の特定及び治療も可能(さすがに分体だと厳しかったので本体で治したが)。
乗っ取った人物の記憶も再生できるが、初めて行った際にはジェリィ〈生前〉の残酷かつ凄惨な悪行のせいで魔物なのに吐き気を催してしまうほど(しかし第15話で「黒いフードの男」に何かをされて以降はジェリィ〈生前〉の記憶を再生できなくなってしまった)。
なお、ジェリィへの同化後は分体との意思疎通が口頭でないとできなくなっている。また、本来のジェリィがそうであったり「スライムだとバレたら……」という懸念に基づき、聖女の力についても勉強中。
スライムの核部分はジェリィの心臓と溶け合い融合しているようで、最近では馴染んできたのか肉体も機敏に動き、表情もより豊かになっている。その影響か第15~16話でセレストリアを襲った狼の魔物との戦闘時の言動や表情がジェリィ〈生前〉を彷彿とさせるものとなっている。(「なるほど…なるほどなるほど」「お仕置きの時間よ」「んんー…?」などいずれもジェリィ〈生前〉の口癖。)肉体との適合が進むにつれジェリィ〈生前〉の残滓がジェリィ〈スライム〉の心優しい精神性に悪影響を与えないかが懸念されるが今の所はその兆候は見られていない。前述の通り同化が進んだ影響で体の扱い方は完全に把握したらしくジェリィ〈スライム〉曰く「相手が誰でも負ける気がしない」とのこと。その言葉通り狼の魔物たちを素手で全滅させた。当初は湖に投げ落とすだけで済ませるつもりであったが、湖に投げた1頭目の魔物が巨大魚の魔物に喰われるのを見て方針を変え、大切な友達であるセレストリアを傷つけたお仕置きも兼ねて残り4頭すべてを巨大魚の魔物の餌にした。普段は優しく天真爛漫な彼女であるが「倒すべき相手の命を奪うことには躊躇がない」という自然界で生きてきた元魔物らしい一面も描かれた。
生前のジェリィ
国内に3人しかいない聖女の1人。
本作の主人公の依り代。肉体を乗っ取られた関係上、基本的にジェリィ〈スライム〉と全く同じ容姿をしている。しかしジェリィ〈スライム〉とは違って、目は暗い赤色であり瞳のハイライトも極端に小さく、瞳孔の開いた所謂「据わった目」をしている。普段は澄ましているが、他人を痛めつける際には悦楽の笑みを讃えながら拷問を行う。その姿から使用人たちに付けられた二つ名は「極悪令嬢」。
聖女ではあるものの、事あるごとに使用人に対して言い掛かりや無理難題を押し付け、できなければ「お仕置き」と称して拷問にかけるなど聖女とはかけ離れた真性の悪女。時にはお仕置きをしたいがために使用人の失態を捏造することもある。加えて治療目的で集めた病人や弱者を「ネズミ」と呼び治療するフリをして毒を投与するなどの「実験」も行っており、使用人達は疎か、町の住民からも「目撃→即撤収」レベルで恐れられていた。
第1話の途中で毒殺され、死体はスライムの里の森の中へと遺棄されるという自業自得な最期を迎えた。
町の子供や使用人のセリフなどから絶世の美少女であったようだが、その容姿とは対照的に、彼女の記憶を読み取った主人公のスライムからは「殺されても仕方の無い人物」と吐き捨てられるほどの外道であった。
彼女の記憶の中の被害者たちは全て顔が黒塗りの顔無しであるが、その割に苦しみや絶望の表情だけははっきりと描写されており、自身を殺害した執事ウィルの顔すら朧げであった。このことから本当の意味で「人間の絶望し苦しむ姿」に享楽を感じる人間性であったことや他人を自身の欲望を満たす玩具としか見ていないことが示されている。
生前の悪行は回想シーンなどで語られ、いかに残酷だったかが描かれている。