作品解説
『スライム聖女』とはWeb漫画サイトとなりのヤングジャンプで隔週連載中の漫画。
ニコニコ静画では分割して毎週連載している。
原作:八緒あいら 漫画:午子
あらすじ
人間に憧れた最弱魔物(スライム)が転生した先は、 聖女だけど性格最悪な極悪令嬢…!? 恨まれ嫌われている最底辺ステータスから、 正体がバレたら即終了のスライムが 安心安全に暮らすために愛され聖女に成り上がる…!
(「となりのヤングジャンプ」作品紹介ページより)
『聖女 ー それは闇をはらい世界に光をもたらす者
聖女が奇跡をおこすたび神は祝福し魔物はおののく
傷を癒せば人々は祈りを捧げ 飢餓を救えば吟遊詩人は歌を歌った
けれども この聖女は大きな秘密が・・・
なんと聖女はスライムだったのです』
(第1話プロローグより)
登場人物
※CVはボイスコミックでのキャスト。
※ジェリィに関して、本記事では便宜上極悪令嬢時代を「ジェリィ〈生前〉」、スライム同化後を「ジェリィ〈スライム〉」としております。また、周辺の人物は「今のジェリィはスライムである」事実は一切知らない状態だと覚えておいてください。
主人公
ジェリィ・アスピック〈スライム〉
CV:雨宮天
一人称は「ボク」。スライムの為か明白の性別は不明で中性的な男性(少年)口調で語尾が「~ぞ(ゾ)」になる場面が多い。他人のいない状況でのモノローグではこの口調だが、聖女ジェリィとして振る舞う際はジェリィ〈生前〉と同じ口調と一人称を使う。詳しい情報は下記の生前共々別の記事で参照。
ジェリィ・アスピック〈生前〉
CV:雨宮天
国内に3人しかいない聖女の1人。
本作の主人公の依り代。肉体を乗っ取られた関係上、基本的にジェリィ〈スライム〉と全く同じ容姿をしている。しかしジェリィ〈スライム〉とは違って、目は暗い赤色であり瞳のハイライトも極端に小さく、瞳孔の開いた所謂「据わった目」をしている。普段は澄ましているが、他人を痛めつける際には悦楽の笑みを讃えながら拷問を行う。その姿から使用人たちに付けられた二つ名は「極悪令嬢」。
主な屋敷関係者
エリン
CV:加隈亜衣
アスピック家のメイドの1人で、平民出身。
第4話時点ではジェリィ〈生前〉を直接担当しておらず(Web版の第3話では起こしに行く様子が描かれていたが、第4話での描写と齟齬があるためか、単行本化の際に別のメイドに変更されている。)、第1話でベテランの執事がお仕置き部屋に連行される場面に遭遇していたこともあってか、生前のイメージを保ったまま接していた。しかしジェリィ〈スライム〉の優しさに触れて号泣し、「ずっとお側でお仕えしたい」と思うようになった。
それと同時に、ジェリィ〈生前〉をよく知る先輩メイド達からは、臆さずにジェリィ〈スライム〉と接する姿に「すごい子なんじゃ…!?」と思われるようにもなったある意味強運の持ち主。
ウィル
CV:石川界人
アスピック家の執事の1人で、眼鏡を着用している。
病気の妹がおり、ジェリィ〈生前〉に助けを求めるが毒薬を渡されて絶望する(なお、妹を救う条件として「お仕置き」で瀕死になったメイドの「始末」を命ぜられており、命令に反して逃がしたところを見られていた。毒薬を渡されたのはその意趣返しでもあった模様)。その後「黒いフードの男」に依頼されてジェリィ〈生前〉を毒殺した。
…が、何故か生きて屋敷に帰ってきたため再び殺害しようとするも失敗、犯行の動機を聞いたジェリィ〈スライム〉から今回の件を不問にされると共に、妹を救ってもらった恩義から「ジェリィ〈スライム〉にすべてを捧げる」と誓った。
尚、この件を受けてジェリィ〈生前〉の言動は「悪魔か何かが取り憑いていた」と思い込んでいる様子。
その後はジェリィ〈スライム〉との関係も良好になったが、彼女の身を案ずるあまりお目付け役的存在になっている。
料理人
CV:岩中睦樹
本名不明。妻子持ち。
第3話でジェリィ〈スライム〉へ恐る恐る料理を出したところ「おいしい」と評された。それに続く「イモ虫よりずっとイイ!」をジェリィ〈生前〉のイメージで「イモ虫よりはまだ使えるわね」の意味だと勘違いしたものの、その後の第5話ではメイド達曰く「ふざけた料理(公爵家の旗付きのピックを刺した3段重ねのステーキ)」を出して絶賛されるなど自信がついた模様。
聖女たち
セレストリア
国内に3人しかいない聖女の1人で、ジェリィ〈生前〉の友達(本人は否定)兼ライバル。一人称は「僕」(ジェリィ〈スライム〉は「ボク」セレストリアは「僕」と明確に使い分けられている)。
涼しげな目つきをした美少女。癖毛のショートカットで髪色は淡い金色。子供のような見た目だが、頭を撫でるなどの子供扱いをされると怒る。
国内で3人しかいない聖女の中でも最年少であるが、少なくともジェリィよりは聖女としての経歴が長いらしい。
真面目かつ心優しい性格であり、聖女としての活動にも精力的であるため教会からの信頼も厚い。
ジェリィ〈生前〉に対し「聖女らしくしろ」と苦言を呈していたが、鼻で笑われてしまっていた。
「ジェリィが改心した」と聞き、真相を確かめるべくジェリィ〈スライム〉を茶会に誘い問答をする過程で、彼女の「女神に色々と教わった」との返答を、セレストリアは「天啓を受けた」と勘違いしてしまう(ジェリィ〈スライム〉はルミルの話をしたつもりだった)。自身の聖女としての活動に誇りを持っていたこともあってかジェリィ〈スライム〉が天啓を受けたことを受け入れられず「自分を騙そうとしている」と思い至り、ジェリィの本性を暴こうとするも失敗。むしろジェリィ〈スライム〉の優しさと聖女としての心持ちに触れることとなり改心を認めざるを得なくなった。聖女の抹殺を狙う黒いフードの男の差金で魔物に襲われるがジェリィ〈スライム〉が駆け付けたことにより命を救われる。それ以降はますますジェリィ〈スライム〉と友情を深める一方で緊急招集を受けてもお菓子を食べるジェリィ〈スライム〉を教会に連行したり会議中にクッキーを食べ始めた彼女を嗜めるなど「ジェリィ〈スライム〉様係」になりつつある。セレストリアの台詞や修行シーンの回想から聖女の力とは、肉体の適性だけでなく、聖女に相応しい精神こそ重要であると思われる。そのためかジェリィ〈生前〉は治療術が苦手であったようだ。またセレストリアがジェリィ〈スライム〉の改心を認める際に、治療術が使えている事実を大きな判断基準としていたのもこれを裏付けている。
アンジュ
国内に3人しかいない聖女の1人。
おっとりした垂れ目と長身が特徴の美少女。髪型は黒髪前髪パッツンのミディアムボブ。実は腰まで届く長い髪を首の両脇で括っており、髪留めを解くと黒髪ロングに変貌するという非常に珍しい髪型をしている。
やはりジェリィ〈生前〉には良い印象を持っておらずジェリィ〈スライム〉が笑顔で会釈をしても無視している。一見すると清楚かつ従順な印象とそれに見合った態度を見せる一方で、予定外の仕事を依頼されそうになるや一旦は多忙であることを理由に断った上で改めて受領する(誰も受けない仕事を仕方なく受けることで自身の評価を上げるため)、想定通りに事が運ばなれけば(もちろん囁き程度の声量でだが)TPOを無視して愚痴を漏らす等々の姿から、外面と内面の乖離が激しい本性が散見される。
承認欲求の強い目立ちたがり屋で、自分の印象を悪化させる存在を許さず、一方的に敵愾心を抱くなどの自己中心的な側面も合わせ持つ。
ただし教会の神官が彼女の多忙であるとの意見を疑っていなかったことや、セレストリアがジェリィを心配してアンジュと協力するよう進言していたことから、聖女としての仕事ぶりや周囲からの評価は良好であるものと思われる。(一方でジェリィ〈生前〉は教会の神官から結界の魔力充填の仕事を任せた場合、故意に結界を破壊して国家を崩壊させる可能性のある危険人物と認識されていた。)
セレストリアに悪態をつき小声で愚痴を漏らすなど腹黒い性格ではあるものの、その言動を見る限りでは年頃の少女によくある承認欲求の発露の範疇であり「極悪令嬢ジェリィ〈生前〉の悪辣さと比べれば可愛らしさすら感じてしまう」という謎の逆転現象が起きてしまった。
その他
ルミル(死体を乗っ取ったスライムとして紹介)
CV:古木のぞみ
ルミルの死体を乗っ取り人間になったスライム。
後のジェリィ〈スライム〉に「新鮮な死体の血液に擬態する」方法で、人間に転生できると教えた(その際に「一度同化したら元には戻れない」欠点も教えている)。
エマ
ウィルの妹。
病気の少女で生死を彷徨っていたが、ジェリィ〈スライム〉によって完治した(この時はまだ聖女の能力が使えなかったので、スライムの能力で治療した)。
黒いフードの男
本作のストーリーの裏で暗躍する謎の人物(ジェリィ〈スライム〉曰く「謎男」)。
ウィルに依頼してジェリィ〈生前〉を殺害させており、間接的にジェリィ〈スライム〉誕生のきっかけを作っている。
ジェリィ〈スライム〉と初対面した際には「ジェリィへの復讐が目的か」という問いには「そんなくだらない理由ではありませんよ」と返し、ジェリィ〈生前〉の記憶を破壊して去っていった(その際にジェリィ〈スライム〉の中で「何か」が砕けており、それ以降は記憶を再生できなくなってしまった)。
当初はジェリィ〈生前〉の殺害が目的かと思われたが、第15~16話で魔物をけしかけてセレストリアを殺害しようとした(ジェリィ〈スライム〉の介入により失敗)等の描写から実際には聖女そのものを排除しようとしている模様。
ウィルを信じ込ませるために目の前で死んだ小鳥を生き返らせる(ただしウィル曰く「稚拙な手品だったのかもしれない」とのこと。当時彼は妹が衰弱していたため、冷静さにも欠けていた)、魔物を使役して人間を襲わせるなどの能力を持っている。
「あのお方」なる存在の望むままに計画を進めており、一連の事件の黒幕は別にいることが示唆されている。
関連イラスト
現時点では何故か本作品のタグが付いた作品は、作画担当の午子氏のSDタッチを模倣して描かれた、別作品のイラストが多いので、幾分か注意が必要。