概要
となりのヤングジャンプで連載されているWEBコミック。作者はさかめがね氏。氏がtwitter上で掲載している短編マンガが下敷きになっている。
ブラック企業で性欲が全く無くなってしまうほどのうつ病になってしまった主人公の元に現れたサキュバスが精を吸うためにうつ病を治そうと奮闘する物語。
うつ病の闇に関する描写はあるものの、ほのぼのとした日常系のゆるいコメディと言う側面を持っている。しかし、フィクションで多いうつ病を茶化す様なものではなく、憂の社畜時代の回想、うつ病の描写はリアリティと生々しさに溢れ、闇が深い。
2018年1月から連載が中断されているが打ち切りなどではなく、さかめがね氏の創作状況の悪化を考慮して不定期連載の形式に切り替わっているため。氏もコンディションとネタのストックが戻ったら更新する意志はあるため暖かく見守ってほしい、という旨の報告をfanboxで行っている。
登場人物
憂
うつ病で性欲が無くなってしまった男。さくまさんにより(強引に)仕事を退職させられ、これまでの不払い残業代と退職金のたくわえと、さくまさんの稼ぎで生活している。
性欲に限らず典型的なうつ病、かつ重度の症状で、基本的に床に倒れている。放っておくと植物より動かない。また基本的に無口で、一ヶ月間一切声を出さなかったこともある。
しかし根は心優しい青年で、自分のために世話をしてくれているさくまさんへの恩義や自分の社会的立場、その他もろもろに対して何かと責任感が強くかつ心配性で、いざなにか行動に起こすとすぐ過剰に努力してしまい症状を悪化させる。
昔は読書が趣味だが、現在は長文に目が滑り、積んでいた本もまともに読めない。その一方で、様々な雑学を持って意外なところで話題を広げてくれるが、うつ病のせいかネガティブな方向に話題が流れたり、知識が偏る事がある。
余談だが、作中で彼のみ心情の描写が一切されてない。そのため彼が本当は何を考えているのかは分からず、あくまでさくまさんの推測や行動や言動からその心情を読み取るしかない。
但し、働いていた当時について語る際の彼の言葉の闇は非常に深く、「優しい上司」と言う存在自体認識出来ず幻想と捉えていたり、風邪を引いた時は病欠すること自体に疑問を抱いていた。
さくま(偽名であり、本名は不明)さん
サキュバス族。貧乳(というより常に肋骨が見えるほど全体的に脂肪の少ない体型)でコテコテの関西人。悪魔らしく欲求が第一であり、三大欲求は当然ながら、知識欲も強く勉強家で好奇心が強い。
憂の精を吸いに憂にとり憑くが、まったく性欲が無く常に苦しんでいる憂を見かねて、強引に彼を仕事から引き離し、憂の性欲を復活させるために居候しはじめ、彼の症状に対して時に叱咤しつつ時に優しく寄り添い理解し共感しながらともに生活していく。憂の仕事をやめさせた責任感と憂の金銭的・精神的負担をカバーするために「揉んだり捏ねたり、人の三大欲求を満たしていくような、男たちがよだれを垂らして群がる店」(パン屋)でバイト中。
弱点は純愛。サキュバス族にとって食事とは無関係の腹も膨れないような純愛はきわめて変態的な異常性癖として認識されている。というより淫魔界の倫理観としては性的なことが健全で、純愛行動が人間社会で言うエロや性行為のように人前で話すには恥ずべきことという逆転現象が起きている(老夫婦は性行為が一切ないある意味純愛の塊のため放送禁止用語レベル、等)。
…が、彼女自身は弱点と言いつつも実は純愛に興味津々であり、純愛小説をエロ本のように隠れて読んでいるなど、サキュバスとしては変態であると自覚するほど。憂の素直な好意的な行動や、性行為を伴わないハグなどに対しての反応は、恥ずかしさとまんざらでもなさが混ざりあい、さながらウブなネンネのそれである。
逆に下ネタや性的な発言は人目を憚らず大声で言うなど、人間界の倫理観や風習には疎い。
その一方で、憂の苦しみを我が事の様に悲しみ、絵本やアニメのキャラに感情移入するなど感受性は強い。心が摩耗した憂にとって、時に自分の代わりに反応するさくまさんの姿に救われている場面もある。
ツグナエル
爆乳天使。プラス思考でポジティブ、明るく元気で品行方正、絵に描いたような「常識的で立派な価値観」の持ち主で、努力すれば必ず報われると信じて、憂に勤労の素晴らしさを説き社会復帰を促す。
つまるところ、「うつ病に一切共感ができず理解ができない人」の代表格であり、憂の心情に一切寄せない「やればできる」を基本とした実感も伴わない薄っぺらな言葉の数々は憂にとっては毒にしかなっていない。しかしそれも理解できてない上に天使としての使命感は無駄に強くしつこく悪意もないためたちの悪さは作中トップクラス。当然、悪魔という立場としても行動理念としてもさくまさんとは真逆で犬猿の仲。
なぜか天界に帰ることはなくホームレスのような生活を送っており、見かねたさくまさんから食べ物を恵んでもらっている。その上まるきり遠慮がなく大食家なため、憂達の家計を圧迫している。
さくまさんとは対照的に一切学ぶことがなく、読んだ本も都合の良い所だけ解釈する作中屈指の頭の悪さを見せる。弱点は性的な話題。
実は大抵の悪魔を一撃でKOできるほどの力を持っているが、悪魔祓いの儀式すら性的に解釈して自分の力にしてしまう淫魔族に対してだけは一切の有効打を与えられないという、戦う相手さえ選べば(選ぶ頭があれば)大成していたであろう残念天使。
天使の翼を出すためか腰までのスカートと完全に分離した丈の短い上着を着ており、豊満な身体にぶら下がるそれはおっぱいスカートと称されている。下はノーブラ。
店長
さくまさんの努めているパン屋「パンデミック」の店長。
体目当てで働く気も無いヒモ男をそれでも献身的に支えている(と思いこんでいる)さくまさんをいつも気にかけている優しい人。
基本的に心優しく穏やかで常識人だが、遅刻にはちょっと厳しく、遅刻したさくまさんには美味しいパンとオイシイ(芸人的な意味で)パンの二択を迫ったりする。またすべての情報はパン屋に流れ込むと言うほどの情報通だったりフェア内容が一風変わってたり客からの唐突な直接脳内へのツッコミに警戒したりと、底の見えない部分が多い。
伝達情報の不備で憂の事をさくまさんを働かせているヒモ男と勘違いしている。
糸目。
メタ助
男を選ばずガンガンやりまくってる正統派サキュバス。さくまさんが憂にこだわって精を吸いかねている事を知らず、さくまさんを学校の先輩として尊敬している。サキュバスの基本技能である変身が得意で、しょっちゅう変身して姿を変えているためかするつもりがなくても変身してしまうらしく、普段の姿も変身後の姿。
憂のことはウォーターサーバー的な食料か何かとしか思っておらず、うっかり手を出そうとしてはさくまさんに死守されている。
意外にも憂が徹底した聞き役として共通の話題=さくまさんで花を開かせており、仲が良い。
アレ
球体に触手や巨大な口や目が生えている不気味な見た目の謎の怪生物。全編を通してコマのすみにちらりといたりする。
憂も「アレするためにアレをするアレ」と日常的に接しているが、アレとしか表現されないため何なのかは全くわからない。
実は作者が連載以前からずっと使っていたマスコットキャラクター。
チョコボール向井
喘ぎ声が特徴的なAV男優。
笑い袋ならぬ向井袋を作られたり蝉の鳴き声だったりテレビでは水素水のようなものを浴びたり催眠術をかけていたりと、何かと(喘ぎ声の)出番が多い。