概要
釣り用糸巻き機であるリールの一種。
現存する最古のスピニングリールは1905年のイギリスで発明された「イリングワースNo,1」とされており(発売は翌年の1906年)、リールとしての地位を得たのは第二次世界大戦後とされている。
後述する「ベールアーム」を手で開閉することで、釣り糸の解放や巻き上げができるようになる。
構造上、特殊な操作をしなくても糸がリール周りで絡むようなトラブルが少ないため、入門向けとして紹介されることが多い。
ほぼ全ての釣りで使用され、小さいものでは渓流のルアー釣りから大きいもので投げ釣りまで、幅広く使用されている。
構造・機構
大まかにはハンドルを回すと「ローター」と呼ばれる部分が上下に動き、その上にある「スプール」と呼ばれるボビン状の部分へ糸を巻き取る機構をしている。
他にもスプールへ糸を巻けるようにするために糸を引っ掛けておく「ラインローラー」や、ラインローラー部分を開け閉めしやすくし、糸をラインローラーへ掛かりやすくするための「ベール(またはベイル)アーム」という部分等、色々あるがここでは割愛。
魚が不意に強く引っ張った際に糸切れを防ぐ機構である「ドラグ」については、通常はスプールの上にフタのように付いており、これを回して締めたり緩めたりして調節する。
ただし、これがお尻の部分についているものやレバーブレーキと呼ばれる別のドラグも付いた磯釣りなどに使用するもの、そもそもドラグが無い投げ釣り用のものもある。
特性
片軸受けリールや両軸リール、ベイトリールと比較すると、上述したようにそこまで特殊な操作も必要なければ釣り糸のトラブルも少ない。
また、放出される際に糸へかかる抵抗が少ないため飛距離が出やすく、軽い仕掛けやルアーを投げるのも得意。
ドラグ性能も優秀で、細い糸を使う時や急に突っ走るような魚を相手にした時、魚の引きを楽しむ釣りに向いている。
弱点としては下記が挙げられる。
- 構造上、太い糸を使いにくい(巻きつける際に圧が足りずにちゃんと巻きつけられないため、放出時にドバっと大量に糸が出てしまい絡まる)
- 巻き上げ力では両軸リールやベイトリールに劣る
- 重い仕掛けを使う釣りでのキャスティング(仕掛けやルアーを投げる動作のこと)時に、人差し指へかかる負担が大きい(失敗すると最悪指が飛ぶ)。
余談
そのちょっと複雑な外観から、イラストレーターや漫画家、アニメーター泣かせなことで有名。
普段から釣りを嗜む描き手や描き込みに熱心な描き手でもなければ、十中八九正しく描けないか珍妙な見た目になってしまいがちである(ラインローラーがなくて糸が巻けない、ドラグから糸が出ている…等)。
そのため(特に釣り人からは)発見されるとしょっちゅうネタにされる。