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概要編集

釣りをする際に用いられる棒状の漁具。

英語ではRod(ロッド)と呼ばれる。


古来よりヒトが魚を獲るために作成してきた漁具で、釣り糸と釣り針だけでは届かない場所を攻めたり、対処できない獲物をいなしたり抜き上げたりするために使用する。

一般的には振れば撓るような弾力性に富むものが多いが、マグロやカツオの一本釣りで使われる竿のように振った程度では殆ど撓らない「物干し竿」さながらのようなものもある。


かつては弾力性・靭性に富んだ木の枝や竹を主材料としたものが一般的だったが、21世紀ではグラスファイバー製やカーボンファイバー製が主流。


材質と特性編集

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もっとも歴史の古い材質。

特にかつての西洋では竹やバンブーは入手が困難だったこともあり、こちらの歴史のほうが長い。


ある程度の撓りこそあるものの、弾力性も靭性も低いため、竹やバンブーの進出とともに姿を消していった。


・バンブー編集

一般的に「釣り竿」と言われて思い浮かべる人が多いであろう材質。

東アジアでは上述の木より歴史があるかもしれない。


弾力性・靭性・加工性全てにおいて優秀で、そのまま使って良し加工しても良しと、天然素材としてはこれ以上の物はないとまで言われることも。

なかでも日本産の竹は特に評価が高かったとされる。


後述するグラスファイバーやカーボンファイバーが登場するまでは世界各国で使われ、現代でも愛用する釣り人も多い。


ちなみにバンブーは竹のように丸のまま使われることは少なく、割った後に貼り合わせてから整形することが多い。


グラスファイバー(ガラス繊維)編集

第二次世界大戦終結後、日本産の竹が入手困難に陥ったアメリカで発明された新素材。


弾力性・靭性・製造コストにおいて竹材を凌駕し、竹材を駆逐して一気に業界を席巻した。

衝撃吸収能力が高いため魚に折られるリスクがほぼ無い特性により、竹材や鋼材では対応できなかった魚種を相手にでき、釣りの幅を大きく広げた立役者ともいえる。

欠点としては自重で撓ってしまうほどの柔らかさ(シャッキリ感が出せない)、衝撃吸収能力の高さ由来の感度の悪さ、材質由来の重量故の持ち重りがある。


こうして世界の釣り竿業界を席巻したものの、後述するカーボンファイバーの登場によって急速に需要が減ってしまった。

 ※絶滅目前とまではいっておらず、その「折られない」特性から大物釣りや船釣りでの

  需要が今もなお高い。


カーボンファイバー(炭素繊維編集

上述のグラスファイバーが世界を席巻して30年もしないうちに颯爽と現れ、瞬く間に釣り竿業界で不動のナンバーワンの座を手にした新素材。


一般的には弾力性・靭性・重量で竹材を凌駕し、感度でも他の追随を許さないという優等生。

また、かつてはしなやかさでグラスファイバーに劣るとされてきたが、平成年代以降では技術の進歩もあって使用するカーボンの種類を変えたり巻き方を変えたりすることで、グラスファイバーに迫る柔軟性を持たせることが可能になった。


欠点としては衝撃や摩耗に弱く、硬いものにぶつけたり傷が入ったりするとアッサリ折れてしまいがち。

また通電性も高く、他の材質に比べて落雷や電線への接触時の感電リスクやダメージが大きいという点もある。



他に一本のスチール棒からできているものや、ボロン(ホウ素繊維)を織り込んだものなどもあるほか、ワカサギ釣りではプラスティック下敷きを細く切って竿にすることもある。


形態編集

延べ竿(のべざお)編集

1本の棒そのままを最低限キレイにしただけの、リールを使わない釣竿。

ニジマスの釣り堀に行って餌釣りを選ぶと、高確率で干しただけの竹に糸と針を付けたコレを渡されるのではないだろうか。


極めて原始的な形状だが、一切の無駄がない構造から現代に至るまで第一線で活躍している。

欠点としては長~い棒であるため携帯性が悪く、保管場所を選ぶということ。


継ぎ竿編集

上述した延べ竿の携帯性を高めるべく、分割と組み上げを可能としたもの。

世の大半がこれか、後述する振り出し竿のいずれかに該当する。


延べ竿に比べて若干強度が低く、継ぎ目の部分がどうしても撓らないために魚とのやりとりで若干のデメリットがある。

ただし、近年ではこれを改善すべく竿の部分と握る部分のみを継ぐような構造になっているものも販売されている。

また、部品が多くなるので嵩張るほか、様々な要因で継ぎ目が抜けなくなる「固着」が発生することもデメリットではある。


振り出し竿編集

継ぎ竿よりもさらに携帯性を高めたもの。

世の大半がこれか継ぎ竿である。


名前の通り振り出すことで伸縮する構造のため、沢登りや藪こぎを伴う渓流釣りにおいて重宝される。

欠点は固着があることくらい。


リール竿編集

リールの発明・発展により誕生した釣り竿。

リールを設置する「リールシート」やリールから伸ばした糸を通す「ガイド」と呼ばれるリング状のパーツを備える。

ガイドは通常、竿の外に付く(アウターラインとも)。


基本的には継ぎ竿や振り出し竿と組み合わせて作成され、フライロッドやルアーロッドも広義ではこれに含まれる。

欠点は冬場にガイドが凍り付く(糸が水を汲み上げる→ガイドで雫になる→凍結する)ことで糸切れの原因になること。


中通し竿編集

インターラインとも。竿の中を糸が通って竿先から出入りするように制作されたもの。


雨風によって糸が不必要に動いたり、竿に張り付いたり絡まって折れてしまうのを防いだりするために生み出された。

欠点としては手入れの大変さや飛距離が出ないことが挙げられる。


フライロッド編集

イギリス発祥の釣り竿。

鳥の羽や獣の毛を釣り針に巻いた「フライ」を用いるフライ・フィッシング用で、竿のお尻のほうにリールを取り付けるタイプが一般的。

2~3本を組み上げる継ぎ竿タイプが多いが、ラインを操ってその重さでフライを飛ばすというキャスティング方法から、非常に柔軟性がある。


ルアーロッド編集

アメリカ発祥の釣り竿。

木やプラスチック樹脂から作られ生物を模した「プラグ」や、シリコン樹脂などを用いてミミズや本物の小魚そっくりに作られた柔らかい素材の「ワーム」といったルアーを投げ、操作することも主眼に置かれている。

継ぎ竿か継ぎ目のない作りが一般的で、餌釣り専用の竿に比べて短めの長さをしたものが多い。


和竿(わかん,わざお)編集

日本独自の発展を遂げた竹製の釣り竿群の総称。

西洋では竹やバンブーを一度割ってから貼り合わせて竿を作る製法が主流だったが、日本では竹を殆ど丸のまま使って作る製法が主流だったため、区別されてこう呼ばれている。


豊富な水場と水産資源に加えて良質な竹が豊富に自生していただけでなく、太平の世にあって仕事の減った武士や農家の冬場の内職としても行われ、各地で様々な特色ある竹竿が発明されていた。

なかでも江戸和竿の泰地屋東作が特に有名。


専用竿の先駆けのようなものでもあり、タナゴからクエまで、様々な和竿が存在する。

グラスファイバーが登場するまでは世界的にも随一の性能を誇っていたが、現在は江戸和竿を除いて生業として和竿職人をされている方は少ない。


江戸和竿編集

かつての江戸周辺で作られていた和竿の総称。

東洋のヴェネツィアと呼ばれたほどの水郷だった江戸ならではの、多種多様な専用竿が魅力。

継ぎ竿が多いほか、一度割った竹を貼り合わせてから削って整形することで、捩じれに強い穂先を作るといった特色もある。

近年生業として和竿職人をされている方や和竿教室を開いている先生方は、この系譜が多い。


川口竿編集

現在の埼玉県川口市周辺で作られていた和竿の総称。

位置的にかつては江戸のすぐ近くだったことともあり、江戸和竿の流れを受けているとされる。


仙台竿編集

江戸初期から仙台藩で作られていた和竿の総称。

伊達政宗も鮎釣りに愛用していたとされる。

美術品としても名高い。


加賀竿編集

加賀藩で作られていた和竿の総称。

主にドブ釣りと呼ばれるアユの毛鉤釣りに用いられる専用竿を指す。

江戸幕府から警戒されていた加賀藩は武士が表立って鍛練をすることができず、体を鍛えるために作られていたという。

そのため7m強の長さで1kgもあるという、堅牢で非常に重たい釣竿となっている。


庄内竿編集

江戸後期に庄内藩近郊で大成した和竿の総称。

主にクロダイ専用の竿を指す。

継ぎ竿が一般的な和竿にあっては珍しく、1本の竹を切らずに作る延べ竿が殆ど(継ぎ竿にすると本来の良さが損なわれるとされる)。

1830年頃に庄内藩が釣りを武門の嗜みとして奨励し、特に磯釣りを「釣道」と呼ぶほどの隆盛ぶりで、武士の多くは自分用の竿を手作りしていたという。


紀州竿編集

明治になって大阪で発明された和竿の総称。

現代ではヘラブナ釣り専用の竿を指す。

釣り具としてはもちろん、装飾の美しさでも評価されている。


郡上竿編集

大正の頃に岐阜県郡上市で発明された、比較的若い世代の和竿。

アユの友釣り用とアマゴの餌釣り・和式毛鉤を扱うテンカラ釣り用の竿を指す。

伊豆の職漁師が出稼ぎに郡上を訪れた際に持っていた鮎竿が元となっており、継ぎ目を真鍮の管で補強した作りが特徴。

また、他の和竿が遊漁向けなのに対して完全に漁業者向けの漁具として発明されたため、堅牢性が重視された作りになっている(装飾に関しては完全に施されていないわけではない)。


種別編集

 ※一部のみ抜粋。

  • 万能竿…川から海まで使える竿の総称。リール不要の振り出し竿が多い。
  • 渓流竿…川釣り全般で使われる竿の総称。沢登りや藪漕ぎを伴いがちなため、こちらもリール不要の振り出し竿が多い。
  • テンカラ竿…和式毛鉤を用いるテンカラ釣り専用の竿。
  • ヘラ竿…ヘラブナ釣り専用の竿。
  • 鮎竿…一般的には友釣り専用の竿を指す。10m程度か、それ以上の長さを持つ。
  • 磯竿…名前とは裏腹に、防波堤でも池でも使えるリール竿。吹きすさぶ磯風で糸がバタつかないように、小口径で足の低いガイドがいくつも付いている。
  • 投げ竿…主に砂浜からキスを狙うために使うリール竿。100mもの遠投を可能にすべく、持ち手の部分が長い。
  • 船竿…船釣りで使う竿の総称。魚種ごとの特性に合わせた専用竿が最も多いジャンルでもある。

釣竿を使うキャラクター編集


※正確には釣竿型のスタンド


関連タグ編集

釣り 魚釣り 竿 ロッド

釣り糸 釣り針 釣り具


釣り竿(表記揺れ)

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