贋作の世界のゴルゴ13と言われる男。ゴルゴ13と同様に全てにおいて完璧である。本名、榊零。名前をスイス銀行の口座番号に使っているのだろう。一流の贋作者は、モネのスペシャリスト、ルコントなど何人かいるのだろうが、ゼロの場合は、超一流としての次元の異なるこだわりが彼らと一線を画し、その作品を贋作と証明できる者はいない。顔料などの材料はいかなる努力も払っても制作者と同じものを工面する。
例えば、今日では存在しないフェルメールの顔料のアフガニスタン産のラピスラズリを簡単に調達してしまう。ゴヤの息子の血液(ゴヤが使った顔料)などどうやって工面したのだろうか?また、制作者の精神状態、環境、背景まで考慮する姿勢は他の一流の贋作者のおよぶところではなく、ルコントの一流の贋作もゼロに看破されてしまった。
美術品などの復興・復元が彼の本望なのだろう。金儲けが目的の依頼者の依頼は受けるものの、厳しい結末を迎えることがわかっていても、あえて教示しない。ゆえにゼロを憎んでいる者も数多くいるらしい。また、復讐など悪意が感じられる依頼者には、依頼を受けることがあっても厳しい態度で臨む。逆に命がけで自己犠牲を厭わずに美術界などの復興を望む依頼者には、報酬なしでも依頼を受けることがある。ゼロは筋が通らない人間が嫌いで、律儀な男なのだ。