概要
『大韓航空ナッツリターン事件』あるいは『大韓航空ナッツ回航事件(英:Nut Rage Incident)』とも呼ばれる。「ナッツ姫」で有名な事件である。
2014年12月5日未明、ジョン・F・ケネディ国際空港から仁川に向け離陸のため滑走路に向かい始めた大韓航空86便(エアバスA380型機)の機内で、乗客として乗っていた大韓航空の趙顕娥副社長(当時40歳)が、乗務員に対してクレームをつけ、旅客機を無理矢理に搭乗ゲートまで引き返させ、機内サービスの責任者を86便から降ろし、運行を遅延させた事件である。
ナッツをきっかけにして暴言を吐き引き返し(ランプリターン)をしたため、しばしば短く『ナッツリターン』ともよく呼ばれている。
そもそも大韓航空は1997年から1999年にかけて大韓航空8509便墜落事故等の事故を頻発させており、その原因のひとつとして儒教を重んじる余り上司の危険な行動を部下が抑止する事が困難である企業体質にあるとして改善を迫られていた。今回の事件はそれまでの安全への改革を疑わせしめ、また無にしかねないものであり、再び大韓航空の企業体質に厳しい目が向けられることとなった。
12月9日に趙顕娥は副社長を辞任、12月30日に航空保安法違反と強要などの疑いで逮捕され、裁判では実刑判決を受けたが控訴した。2015年5月に高裁は業務妨害罪や強要罪で有罪、航空保安法上の航路変更罪については無罪とする判決を下し、韓国の検察が控訴した。これにより趙顕娥は釈放。2017年12月21日に最高裁は高裁で下された懲役10カ月、執行猶予2年の判決を支持。これにより判決が確定した。