概要
ノルマンディー号(SS Normandie)は、フランスのフレンチ・ライン所属の豪華客船である。1935年に建造された。豪奢な造りと、排水量83,423t 全長313.8mの大きな船体が話題となり「洋上の宮殿」と謳われたものの、不運にも第二次世界大戦の勃発によってアメリカ海軍に接収されてしまった。1942年2月9日、兵員輸送船に改装作業中の不手際で発生した火災の消火活動が原因で沈没した。
「クイーン・メリー」との関係
2023年現在も記念館兼ホテルとしてロングビーチにて保存されているイギリスの豪華客船「クイーン・メリー」とは建造年が近く(ノルマンディー:1935年竣工、クイーン・メリー:1936年竣工)、大西洋航路にてブルーリボン賞(大西洋最速横断記録)を競い合った。35年にノルマンディーが受賞したのを翌年クイーン・メリーが奪ったのを皮切りに、38年はノルマンディーが奪還、39年はクイーン・メリーが再び奪うと抜きつ抜かれつのライバル関係だった。しかし、39年の受賞が決まった直後の9月、フランスのドイツへの宣戦布告による中立国退避に伴い、ノルマンディーはニューヨークの桟橋に係留されることとなり、この競争は一時中断されることになる。そして二度と再戦することはなかった。
また、当時の大型客船の数少ない生き残りとして健在な「クイーン・メリー」に対し、ノルマンディーは数奇な運命とあまりにも短い船歴という点で対照的であり、それゆえかファンも多く、一部からは「伝説の船」として扱われることも。