概要
“ハンザキ”とはオオサンショウウオの事で、「例え体を半裂きにされても生きている程の強い生命力を持っている」ことからこう呼ばれるとされる。
岡山県に伝わる言い伝えによれば昔、旭川に「龍頭の淵」と呼ばれる深い淵に巨大なハンザキが棲み付いており、これが近くを通る牛や馬、或いは人が近づくと姿を現して尾を使って掻き飲み込んでしまうので、村人は恐れて決して近付こうとはしなかった。
この事態を憂いた向湯原村の三井彦四郎という名の若者が、ある年、この大ハンザキを退治しようと腰に紐を結んで短刀を口に咥えると龍頭の淵に飛び込み、見事に大ハンザキを討ち取った。
引き上げられた大ハンザキは体長が体長三丈六尺(約10m余り)、胴回りが一丈八尺(5m余り)というとてつもなく巨大だった為、人々は大いに驚くのと同時に、これを見事に退治した彦四郎を大いに褒め称え敬った。
しかしそれ以来、毎夜彦四郎に家の戸を叩き泣き叫ぶものが現れ、外に出ても誰もいないという不可解な出来事が続き、暫くすると大ハンザキの祟りによって彦四郎は高熱を出して命を落とし、彼だけではなくその一族も次々に死に絶え、更には村内にも祟りが及ぶようになってしまう。
村人たちは大いに恐れ、これ以上の災いが及ばない様にハンザキの霊を鎮める為に国司神社の境内に祠を建てて祀ったのが、このハンザキ大明神だといわれている。