概要
バナスパティ(Banaspati)とは、古くからインドネシアで目撃されている、炎に包まれる赤い肌に頭に角が生えている、まるで西洋の悪魔やイスラム教のイフリートのような姿の超自然的存在。
炎に包まれた髑髏のような姿の場合はケママン(Kemamang)と呼ばれている。
森や野原に暗くなると現われると言われており、そのような時間に外を出歩いていると襲われてしまう。
出会ってしまった場合、周囲を燃やし尽くそうと炎を噴き出してくるので、すぐさまモスクに逃れなければならないと信じられている。
大気の力を持つ者はバナスパティジェニと呼ばれ、風を使って犠牲者の身体をくすぐってくるが、恐怖を感じるほど激しくなるために、意志を強く持たないとくすぐり殺されてしまう。
森に隠れている者はバナスパティクレイと呼ばれ、犠牲者の踵から血を吸って殺してしまうので、出会ってしまったら裸足になって大地の力と繋がることで防がなければならない。
なおヒンドゥー教で用いられる言語「サンスクリット」におけるヴァナスパティという語は「森の主」や「植物の王」という意味であり、元々は森などの自然の精霊や神という意味であった。
しかし、インドネシアに伝わった際に、この存在を指し示すのに用いられたものであると考えられる。