概要
スンダル・ボロンとはインドネシアにて伝承される悪魔であり、その性質はアンデッドと淫魔の中間に相当する。
名前は『穴のあいた女』『抉れ女』『雌犬の穴』等(後述を参照)を意味する。
『長い黒髪を蓄えた白いドレスを纏った(“全裸である”とも伝わる)見目麗しい女性』の姿をしている。
だが、その背中には大きな穴が存在し、その穴には腐敗した内臓が露出している上に、蛆やミミズが無数に集っている。また、背中の穴によって食べ物がこぼれ落ちてしまい、常に空腹であるともされる。
上記の黒髪は背中の穴を隠すためのモノらしいが、穴が大きいせいで隠し切れない。
由来
名前の由来は背中の穴ではあるが、それ以上にスンダル・ボロンの発生経緯とインドネシアの地域性が大きい。
スンダル・ボロンと化した者たちの共通項は、 “レイプによって望まぬ妊娠の末に自殺した被害者女性” であるのだ。
普通であればレイプ被害者は保護されるべき存在なのだが、インドネシアでは「“妊娠”は女性が性行為で快楽を感じなければ起きない」との迷信がまことしやかに信じられており(コーランの記述の曲解による)、それに妄信する余り「本当にレイプであれば、被害者は快楽を感じるはずはないのだから、妊娠するはずがない、妊娠したのは女性側から誘った結果である証拠」だとして、妊娠した被害者に対するバッシングが起き易い文化的土壌があった(事実、スンダル・ボロンは上記の意味以外には『非処女』『淫売』『娼婦』等、女性に対する性的侮辱でしかないモノも含まれている)。
その為スンダル・ボロンと化した女性は、自らを不遇に追いやった加害者に復讐すべく蘇り、加害者を性行為の前後に殺害するか、その代わりに男性器をもぎり取るかを行う。
余談
その悲劇的な経緯からか、インドネシア本国ではアンチヒーローやダークヒーローとして見られており、映画の題材に用いられている。