概要
東方Projectに登場する多々良小傘の傘を含めた衣装やデザイン、または小傘本人の存在性に関連する二次創作的アプローチの一つ。
小傘は付喪神である。その存在性は「傘」を大本とする「から傘お化け」(「 忘れ傘 」)であり、小傘と共にある傘などにも紙による質感と思われる描写がある。
一方で今日の「傘」は多様な発展を遂げており、その中には傘としての基本構造・コンセプトは「唐傘」と同一としつつも殆どの構成素材が「唐傘」とは異なるものもある。例えば竹や紙、撥水用の油を素材とする「唐傘」とは異なり、アルミ等金属素材と撥水性質に長けるビニール素材などを使用したビニール傘などはその一例である。
このビニール傘の素材構成が何らかの形で小傘に重なったものが、「ビニール小傘」である。
イメージとしては唐傘だった小傘の付喪神としての存在性が何らかの理由でビニール傘を取り込み、そのスタイルが表出している状態とも言えるだろう。デザインとしては、小傘の傘や衣装がビニール傘的な質感に変化したり、あるいはビニール傘ならではの性質として製品によってはシースルーも可能であるという点から小傘の服装もまたシースルーに変化する、といったアプローチが見られている。これは小傘がその存在性とデザインの双方に「傘」をベースとしているキャラクターであればこそのアプローチとも言えるものである。
pixivではカラクリ氏によるビニール小傘の漫画も発表されている。
実際の「傘」自体もまた一つのファッションであり、それぞれのファッション性を表現するものとしてオーダーメイドをしたり、あるいは既製品であっても装飾をしたりアクセサリを飾ったりなどのアレンジが可能である。ビニール小傘もまた、ビニール素材の質感だけではなくビニール素材に加えられるアレンジならではのファッションデザインで描かれることもある。例えば雨の日でも映える蛍光色の黄色のカラーリングやカラーでありながらシースルーも並行できるようなデザインなどがその一例である。
傘と付喪神
「唐傘」が張り替える紙を一つ変えるだけ、デザインを加味するだけでもそれまでのものとは気分が変わったりもするが、これはビニール傘でもいえる。ビニール素材ならではのプリントやデコレーションも可能であり、例えば使い捨てを前提としたビニール傘でもワンポイントの工夫をするだけで愛着が沸いたりもするだろう。
東方Projectにおける付喪神への変異に至る思念には「まだ使えるのに使ってもらえなかった無念」というものがある。工夫によって愛着を抱くことができれば、壊れるまで大切に使うことも自然にできるようになるかもしれない。完全に壊れるまで大切に使ってもらえることは物品にとってこの上ない望みである様子である。
その場合付喪神としては発現せず「ビニール小傘」のような存在にも移行しないわけではあるが、そんな往生を遂げる無念に苛まれる事なく全うしたビニール小傘があっても良いのかもしれない。
関連イラスト
- カラクリ氏によるビニール小傘(第一話)