概要
ケルト神話(アルスター・サイクル)の一エピソード「クーリーの牛争い」に登場する英雄の名称。コノート側最強の騎士であり、女王メイヴの切り札。最強無双の英雄クー・フーリンに致命傷を与え、あと一歩のところまで追い詰めるもゲイボルグを使われ敗北する。
スカイ島の女王であるスカアハに師事し、クー・フーリンの兄弟子に当たる人物で彼とは非常に仲が良かったという。
彼との絆の高さを窺わせるエピソードとして、ある戦いの後にスカアハの給仕係の元で泊まることになった際に、フェルディアに対して給仕係が「お前の部屋はない」とばかりに無礼を働いた為に、激怒したクー・フーリンが給仕係を殺してしまったという逸話が残されている。
戦いではルビーに彩られた兜、黄金の剣、50ものトゲを生やした青銅の盾を武装する。戦場に向かう際に戦車に搭乗している場面もある。
鎧の中に平らな石を入れてゲイボルグ対策をしたというものと、皮膚を硬化させることが出来るという2つのパターンが存在する。
クーリーの牛争いでは父がコナハト王だった事もあり、コナハト側に付いた事が仇となり、弟弟子であるクー・フーリンと戦う羽目になってしまう。メイヴに「娘をくれてやる」など言われても頑なに拒否し続けたのだが、酒に酔わされ一度承諾してしまう。酔いから覚めてから再び拒否するもメイヴに激怒され、「クー・フーリンがお前を侮辱していたぞ」と嘘を刷り込まれたり、「吟遊詩人にお前を臆病者として語らせるぞ」と脅迫されたりした末にクー・フーリンと戦うことを決意する(ケルトの戦士にとって『臆病者』とされるのは最大の屈辱)。
戦闘は1日毎に武器を指定し、お互い同じ武器で戦うというもの。クー・フーリンと同様スカアハのもとで修行していたフェルディアも様々な武器を使いこなすことができ、全ての武器でクー・フーリンと互角であった。その戦いは中々決着がつかず四日間(または三日間)も続く。
しかし、四日目の戦いでフェルディアはクー・フーリンに致命傷を与えたことで、戦いはフェルディアの優勢となる。追い詰められたクー・フーリンは捻れの発作を意図的に発症させるなどして応戦した。最期はゲイボルグを使用され死亡する。
勝利したクー・フーリンは「フェルディアとの決闘に比べたら、今までの戦いはお遊びでしかない」と語る。
ゲイボルグでの倒され方は複数存在し、鎧を貫通し胸を貫かれて死ぬパターンと硬化出来ない肛門を貫かれて死ぬパターンがある。
また、捻れの発作を起こしたクー・フーリンに投げ飛ばされ絶命する資料もある。
クー・フーリンとフェルディアが戦った浅瀬は、彼の名から「アート・イル・ディア」と名付けられる。