概要
ボルチモア(英語: Baltimore)は、アメリカ合衆国のメリーランド州に属する都市。同州最大の都市で、1729年7月に成立した。どの郡にも属さない独立都市で、ボルティモアとも表記する。古くから天然の良港として知られ、南部産タバコの輸出港として開かれて発展した。
人口は約58万、都市圏人口は約270万人であり、ワシントン.D.C.らとともに巨大な大都市圏を形成しており、D.C.の外港的な役割も果たしている。
ボルチモアに本社を置く有名な企業に食品大手のマコーミック、スポーツウェア大手のアンダーアーマーなどがある。
歴史
1729年7月に成立したアメリカで最も古い都市の1つである。1861年4月に始まった南北戦争の舞台になり、国歌・星条旗はこの地で誕生した。1830年5月にボルチモア・オハイオ鉄道が開通し、これは全米で初めてであった。魚種の豊富な優れた漁港として知られたが、ペンシルベニア炭田の開発により工業が発展し、後に造船・鉄鋼などで財政を潤した他にも貿易港として発展した。
全盛期には90万の人口を数えたが、産業停滞や治安悪化などが起因して、人口は減少を続け、現在は58万人である。ドナルド・トランプが名指しで全米一治安の悪い都市と罵るほど、昨今ではデトロイトなどを凌ぐ犯罪率を誇り、凶悪犯罪発生件数のワースト10常連となっている。
ちなみにボルチモア港の一角にインナーハーバーというウォーターフロント再開発地区があり、ここの一定の成功が、世界でベイエリア再開発の狼煙となった(日本でも神戸市が視察に訪れ、ポートアイランドなどが作られるようになった)。
スポーツ
MLBのボルチモア・オリオールズ、NFLのボルチモア・レイブンズがある。また、伝統的に競馬が盛んな都市としても知られ、ピムリコ競馬場ではアメリカ三冠馬レースの一つ、プリークネスステークスが開催される。NFLのインディアナポリス・コルツのコルツ(コルトは軽種馬のこと)も元はボルチモアにあったことに因んでいる。
市名の由来
1632年6月に建設されたメリーランド植民地の立役者で、アイルランド貴族院議員の第2代ボルティモア男爵のシラス・カルバートに由来する。「ボルティモア」はアイルランドの南部にあるコーク県ボルティモアに由来し、これはアイルランド語で「大きな家の町」を意味する「バイレ・アン・ティー・モーイル(Baile an Tí Mhóir)」が英語風に変わったものである。