ヨルハ10号H型
よるはじゅうごうえいちがた
ヨルハ10号H型とは、スマホアプリ『NieR Re[in]carnation』および『ニーアオートマタ攻略設定資料集』『小説NieR Automata 短イ話』に掲載された短編小説、『静カスギル海』に登場するキャラクター。
通称「10H」。H型はヒーラー(Healer)を意味し、主にヨルハ機体のメンテナンスを担当する。
cv | 若山詩音 |
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出演作品 | NieR_Reincarnation |
性別 | 女性型アンドロイド |
身長 | 不明 |
体重 | 不明 |
ポッド006より閲覧者へ。警告:これより先は、小説の内容および「NieR:Automata」ゲーム本編のネタバレが一部含まれているわ。
それでもいい子だけ、先に進んでね。
10Hはポッド006と共に、水深1万メートルの超深海層にあるという、人類会議サーバーとヨルハ部隊のデータを格納するバックアップサーバーの管理を任されていた。
いつものように006と楽しく過ごしつつ仕事に励んでいた矢先、手指に不調をきたしている事に気づきセルフチェックを行う。その際、記憶領域の空白部分に暗号化された座標データを発見する。
施設内には数百機の006と10H以外は誰も居ない。ポッドが記憶領域に侵入したなら何らかの痕跡が残る事から、このデータを残したのは自分自身と推測する10Hだが、彼女にはその記憶が無かった。
訝しみつつも座標データが示す場所に向かう10H。その場所は施設内と外を繋ぐハッチルームであった。
いつの間にかそばに来ていた006の制止も意に介さずハッチルームの第二区画へと侵入し、そこにあった黒い引っ掻き傷のような跡を確認しようと近づいたその時、006が10Hを攻撃した。その容赦のない攻撃で重傷を負ってしまう10H。
逃げ続けるのは限界に近く、さらに施設内の無数の006は全て同じ自我を持つ為ハッチルームからの逃走も無意味と悟った10Hは、傷を負いながらも第二区画にある「外」への扉を開こうとする。どうせ死ぬのなら、ポッド達が隠す真実だけでも知りたい。そんな願いから。
扉の取っ手に手を伸ばしたその瞬間、高圧電流が彼女を襲った。敵などいないはずの扉の内側にこのような仕掛けがある事に、ますます疑念を強める彼女。電撃に耐えながら、何度も何度も扉に手をかける。そしてレバーが全開になり、扉のロックが外れたその時………扉にあった黒い跡は、かつて何者かが扉を開こうと試みた痕跡だった事に、彼女は気がついた。
既にボロボロの身体に鞭打ち、ついに扉を開く事に成功した10H。その先に見えた景色は、深海などでは無かった。
真っ黒い空と、そこに光る星たち。そして彼女の正面に見えた青色の球体…………地球。その光景からここが月面である事がすぐに解った。
ほどなくして、ここで管理されているのは人類会議のサーバーそのものである事、人類は既に滅びているという真実に、彼女は辿り着いた。
それから、なぜH型の自分がこのような任務を任されたのかも。
B型のような戦闘能力はなく、D型のような耐久性もなく、S型のように簡単に真相を見抜く心配もない、誰かと組むことで真価を発揮する回復特化のH型……真実を隠し続ける為には、10Hは実に都合の良い駒だったのである。
記憶領域にあった座標データは、それでも長い時間をかけ真実に辿り着いた10H自身が、記憶を消される前に遺したものであった。
満身創痍の10Hを無数のポッドが取り囲む。彼女はそれに身を任せ、目を閉じた。真実を知った衝撃と悲しみは間もなく記憶から消去され、退屈な日常に巻き戻る……彼女が意識を失うその直前、006が呟いた。
「かわいそうに。もうこれで46回目よ」
以下、シナリオおよび”小説の内容”の重大なネタバレを含みます。
まずはご自身の目で確かめてみることをオススメいたします。
”泡沫の現実、籠中の鳥”
その目的も知らされぬまま、
長きにわたり月面サーバーを守り続けたアンドロイド。
めんどくさがり屋で、やや大雑把な性格だが、
その裏に、非常に冷静な思考も覗かせる。
(公式HPより)
「序ノ肆:琥珀の章」終盤で名前と姿が明かされる。この際は月面に倒れ伏しており、誰かの助けを求めていた。
「二ノ幕:回帰の章」で本格登場。
月面サーバーにも「敵」の手が伸びたことで義体が汚染され、身動きの取れない状態にあった。
かつては真実を知った10Hを何度も殺害していたポッド006だが、もはや真実を隠す必要が無い事、そして「敵」の攻撃によって『檻』の面々、すなわち過去の人類のデータが危険に晒されている事から、データの保護及び地球の奪還を試みるにあたり、彼女を頼る事となった。
006の除染により復活した10Hは、サーバーと地球を結ぶ回線にハッキング。006たちが地球へと向かう道を開いていく。
その際垣間見えた知らない歴史に疑問を投げかける陽那に、今見えたものは陽那の世界とは異なる歴史を辿った世界の記録である事、『檻』が壊されれば陽那の世界の記録もまた消滅してしまう事を伝えた。
その後バンカーの隔離部位のサーバーに独りアクセスした10Hは、データの中でバンカーの陥落を初めて知り、さらに「敵」によって再現された2Bと相対する。辛くも2Bのデータを撃退するも「敵」の攻撃は続き、「仲間」に焦がれる思いを利用されて再びデータを汚染されてしまう。
しかし、かつて006に黙って10Hが接触し、絆を育んでいた佑月と陽那がデータ内に現れ、彼女を救う。誰かと共に戦うことを知らぬ彼女にとって、それは感じたことのない感情であった。
「誰かに助けてもらえるのって……こんなに暖かいんだ。」
地球へと続くルートの汚染を取り除くべく、10Hは佑月と陽那をサーバー内部へと送り出す。
「あなたたちは対立を生むだけじゃない…私をこの世界に繋ぎ止めてくれた。きっと…信じてるよ…!」
道を阻む「敵」を蹴散らし、最後の扉を開こうとする二人。しかし、その扉を開く為には二人の「家族の思い出」が必要だった。
その大切な記憶を代償に経路を開く二人だが、そこに10Hが合流。彼女の保護により、二人の記憶の消去は免れた。
しかし、度重なる汚染により彼女の自我データは限界に達し、もはや維持する事すら困難になっていた。
それを悟った10Hは、一同の地球への到達を阻止する為押し寄せる「敵」を食い止めるべくデータ世界に独り残る事を決断。ずっと共に過ごしてきたポッド、そして孤独から救ってくれた初めての「友達」を見送り……その命を散らした。
「少しの間だけど楽しかった。檻を…地球を…よろしくね。」
本編に登場するヨルハ部隊員のキャラクターとしては、NieR_Automataから実に約5年ぶりの新キャラクターである。
またビジュアルが判明するのも小説から約5年の歳月を要した。
リィンカネのサービスにおいて最後に実装されたプレイアブルキャラであり、ガチャにおける新規キャラも彼女の星4衣装「形而上の救機」が最後。彼女の登場をきっかけにストーリーが一気に最終局面に入る事もあり、様々な意味でリィンカネの「完結」を象徴するキャラと言えるだろう。