概要
スラヴ民族の伝承に伝わる妖精。
ヴィーラ、ヴィラー、サモヴィラと呼ばれることもあるニンフで、白い服を身に付けた長い髪の美しい若い女性の姿をしているとされる。
基本的に人間に危害を加えることは無いが、自分たちの輪舞に中に無理に入ってこようとする者に対しては容赦せずに、矢を射て致命傷を負わせる事もあるとされる。
また母親が子供を叱りつける時に「ヴィラか悪魔が連れて行ってほしい」などと口走ると、本当に連れ去ってしまう事もあるほか、サクランボの木の下で陽気になって踊っていると、その輪の中に踏み込んで来る事もあるといわれている。
天で暴風雨を集めたり、英雄の死を予言する事もあるとされ、時には自分が気に入った男性を手助けして成功へと導く場合もあるとされる。
彼女たちは普段は虹で作った手綱が付けられた雄鹿に乗っており、時には恋する鹿の悲しみをなぐさめる事もあるといわれている。
神秘的な力は髪に宿っているため、それが一本でも失われると死を迎えるか、鳥に変わる。
特別なヴェールを持っているとされることもある。これは羽衣伝説の天女の羽衣のようにヴィラに飛ぶ力を与える道具であり、これがなければ普通の人間のようになってしまう。ヴェールを隠しヴィラを妻にする民話も存在し、その多くはヴェールを見つけだしたヴィラが人間との間にもうけた子供とともに、あるいは子供を置き去りにしてひとりで帰ってしまうという結末を迎える。
なお水魔ルサルカの別名として使われる事もあるが、性質が異なるため全くの別物であると思われるが詳細は不明である。