「そうでしょうか。ふしだらな所を見せているような気がします」
CV:杉本るみ
概要
穏やかな人格者であり、ノヴィス・ノアのクルー達にも直子おばあちゃんとして慕われている。
一方、穏やかな性質故に主体的な行動を取ることがあまりない人物でもあり、彼女が状況に流された結果、本人には悪意がなくても周りにそのしわ寄せがいくという困った性質の持ち主とも言える。
彼女も若い頃はオーガニック・エナジーの研究者で、夫の勇(イサム)とはその時からの同僚であるのだが、娘の翠が生まれてからすぐに彼は事故で死亡し、未亡人の身となっている。
この出来事は彼女の心に暗い影を落とす事になっており、その事が実は伊佐未ファミリーの歪みに僅かな影響を与えてしまった部分もある。
司令のゲイブリッジとは学生時代からの縁であり、ゲイブリッジとはその頃恋人同士であった。早くに夫を亡くした事もあってか、現在は彼と寄りを戻す形で老いらくの恋を楽しむ関係となっているが、孫である勇の存在もあってか、後ろめたさも感じている。
数十年前、アメリカに帰国するゲイブの誘いを「アメリカには馴染めない」という理由で断り離別。これを好機と見てアプローチしたのが、同じ研究室勤務で元々直子に好意を寄せていたと思わしき伊佐未勇(イサム)であり、二人はやがて結婚する。
しかし(少なくとも当初)直子はイサムに対して特別愛情を感じておらず、イサムの「幸せにするから」という言葉に押し切られての結婚であったが、その後娘の翠が生まれた事もあって、次第に夫にも愛情を感じ始める様になっていた。
だが、その矢先にイサムは事故で他界。この事故はイサムの仕事の都合によって起きた物である為か、遺骨の前で夫として愛するのに時間が掛かった事を詫びるのと同時に、事故とは言え自分を幸せにするという約束を破って勝手に死んでいった彼に裏切られた想いを吐露する等、結果的にイサムへの想いは非常に複雑な物となってしまう事になった。
この結果、女手一つで翠を育てながらも、自分を置いていった事への蟠りから夫への愛情をうまく伝える事が出来なかったのか、翠は自身の研究やエゴにのみ没頭し家庭を顧みない我侭な娘に育ってしまう(無論、直子が全て悪いというのも間違いで、オルファンへの研究に対し異常なまでに拘泥していく翠自身の方にも非常に問題があったと言えるが)。
さらに翠は研究の邪魔だとして依衣子と勇を一方的に直子に預け、また研究に必要という理由で一方的に引き取りにくるが、いずれの時も娘に押し切られる形で子供達を守れておらず、不満は言いながらも娘の身勝手をちゃんと叱るという事が出来なかった。
作中後半ではゲイブリッジと行動を共にした結果、気がつけばオルファンの中枢部にまで付いていくこととなるが、「大量虐殺の汚名を着せられても受けるつもり」というゲイブの強硬姿勢すら最初は軽蔑しながらも最終的には受け入れており、良くも悪くも他人にノーという事の出来ない人である事が分かる。
そんな直子が唯一声を荒げたのは最終話。依衣子がオルファンに取り込まれてなお娘を研究対象としてしか見ない翠に対して「あなた達のやっていることは怨念返しにしてもひどい」と翠を平手打ちし、両親の愛情をきちんと伝えなかったことについて謝罪、和解した。
ブレンパワードに登場する母親は家庭に問題のある人物ばかりであるが、いいおばあちゃんに見える直子もよくよく見ていくと翠を育てるのに失敗して、本人は昔の恋人とよりを戻しているという何ともオーガニックなキャラであることがわかる。
とは言え、半ば育児放棄に近い形で孫の勇と依衣子を押し付けた身勝手な緑に代わり二人を愛情深く育てており、共に暮らしていた時期には二人から「おばあちゃん大好き」と慕われ、依衣子が強引に連れていかれた回想でも、母の翠の元へ戻るより自身の元へいる事を必死に叫ぶ程であった。
現在においても、行く宛の無かった勇が帰る場所として上の村にある自身の実家へと戻って畑の世話をしたり、一時ノヴィス・ノアに身を寄せヒメ・ブレンを奪って脱走した依衣子の意を汲んだヒメ・ブレンが上の村へと向かった事からも、二人にとって直子の存在が実の両親よりもずっと大きい物である事を証明している。