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余命10年

よめいじゅうねん

「余命10年」とは、文芸社より2007年6月刊行された単行本及び、2017年5月文芸社文庫NEOより刊行された文庫本である。著者は小坂流加。本記事では文庫版について解説する。
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死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ。

概要

SNSでも大反響の恋愛小説25万部突破!

著者小坂流加
カバーイラストloundraw
文庫文芸社文庫NEO
発行株式会社 文芸社
ISBNISBN978-4-286-18492-0
定価620円+税
ページ数358p

あらすじ(カバー裏より)

死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にたおれ、余命は10年であることを知る。
笑顔でいなければ、周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから、死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
衝撃のタイトル。衝撃の結末。涙よりせつないラブストーリー。

章末太字まとめ

各章末に太字で記されている文章は、特に感情描写がはっきりと現れるものとなっています。
ネタバレになるかとは思いますが、ここに纏めておきます。

  • 1 (P9)
あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。
長いと思い悠然と構えられますか。短いと思い駆け出しますか。
あと10年しか生きられないと宣告されたのならば、あなたは次の瞬間、何をしますか。

  • 2 (P15)
お父さん、ごめんなさい。
成人式の振袖着られなくて。
お母さん、ごめんなさい。
何一つ期待に添えないことばかりで。
桔梗ちゃん、ごめんなさい。
優しくしないでって、時々思う情けない妹で。
ごめんなさい。
誰より遅く生まれたのに、誰より早く死んでしまって。
残りはあと、8年。

  • 3 (P40-41)
楽しいってこういうこと。したいことしてる感覚。誰にも流されない感触。
単純で笑っちゃう。でも笑うことって大事。笑えることって必須。楽しいって人生の基盤。
人生楽しんだ者勝ちだもの!

  • 4 (P57)
誰かと同じじゃイヤダなんていつか言っていたけれど、今はみんなと同じじゃなきゃ不安でたまらない。違うならば強くなりたい。みんなと違う道を堂々と歩ける人になりたい。
強くなりたい。
強くなりたい。
心が固まっちゃうくらい、強くなりたい。

  • 5 (P65-66)
病気になる前の自分がやたらと輝いて見える。思い出の中にいるわたしは、何でもできる子だったみたい。
本当はただの弱虫だったくせに。桔梗ちゃんと比べられるのが怖くて、違うキャラを演じているうちにウケがよかったものを選ぶようになっていた。だからわたしは祭り。おしとやかな桔梗ちゃんと正反対の賑わい。悲しくても笑った。悔しくても笑った。余命10年だって笑い飛ばしてやった。
神さまにはあらがえないとわかってる。
羨むなんてバカみたい。
そしたらやっぱり笑うしかないのかな。

  • 6 (P76)
死ぬことは怖くなかった。だって何が起きても確実にわたしは死に至る。
わたしは死ぬ。
それだけは決まっているんだから、安心して。

  • 7 (P86-87)
わたしは何のために生きて、何のために死ぬのだろう。
どうしてわたしだったんだろう。逃げ道のないここは狭い檻の中みたいだ。どこへ行っても結局壁にぶつかる。
過去は変えられない。でも未来さえ変えられない。
死ぬことは怖い。
でも生きることも怖い。
人生を選ぶこともできない。

  • 8 (P106)

美幸ちゃんはわたしの地雷を知らない。だから素直になれた。なりきってしまえば心まで飾れる。

楽だった。病気じゃないわたしは。
このまま嘘が真実になってしまえばいいのにと、少しだけ祈った。

  • 9 (P128-129)
好きだよって、時には誰かに言って欲しい。
それだけで生きている実感が持てる。女の子からでもいいや。
好きだよ。
なんていい言葉だろう。
それだけで優しくなれる。
わたしも誰かに言おうかな。

  • 10 (P161)
カズくんとはもう会わない。会わない方がよかった。
だってわたしは、誰かを好きになったりしない。
目を閉じるとすぐに浮かぶ。そういうのが今は居心地悪い。工作室の思い出だけでもう何も要らないのに。
出逢わなければよかった。
だけどもう、出逢ってしまった。

  • 11 (P173)
今一瞬ですべてが叶うことをいつも願ってる。
すべては自分で選んで自分で進まなきゃいけないって、いっぱいいっぱい痛い思いをして、その傷で知ったはずなのに、心はいつも晴れない。全部手に入れた人って何が見えるんだろう。
わたしは何が欲しい?
ああ、時間か。一番いらないものだったはずなのに浮かんだ選択肢。同時に浮かぶあの人の笑顔。
命に執着を持っちゃダメよ。
死ぬことが怖くなったら、わたしはもう笑えなくなるんだから。

  • 12 (P187)
楽しかった一日の終わりに、どうしてわたしは泣くんだろう。
楽しんだ者勝ちの人生のはずなのに、カズくんといると楽しい後は必ずつらい。楽しい分だけつらい。
つらいのに、もう会いたい。
恋愛感情なんて、一番最初に殺したはずだったのに。
どうかわたしに、死にたくないと思わせないで。

  • 13 (P203)
いったい幾夜誰かの声に袋叩きにされるのだろう。
会いたくてたまらなかった。わたしがもっと強くて健康で、ずっと傍にいられる人だったら今すぐ傍にいって、負けそうなあなたを抱きしめて、守ってあげるのに。
わたしの両手はあまりにも頼りなくて不安定で、あなたを抱きしめることもできない。
わたしじゃ足りない。
あなたには足りなすぎる。

  • 14 (P221-222)
ごめん
ごめん
ごめん
みんなごめん
誰か背負ってと投げやりになったこともあったけれど、やっぱり誰にも背負えないのがそれぞれの人生だから。
カズくんに出逢ってそれがよくわかった。
だからごめん。
美弥の手、すごく荒れてたね。働く人の手をしてた。頑張れ美弥。あの店が繁盛することを今は素直に願える。
奈緒の幸せを、サオリの幸せを、今は素直に願える。
傷つけてはじめてわかった。
みんなのこと大好きだったって。
みんなは何にも悪くなかったって。
ごめん
ごめん
ごめん

  • 15 (P233-234)
命が恋しくて、時間がいとおしくてたまらない。
愛する人と別れることが死だと思った。
けれど、いとおしいと思えた自分と別れることも死なんだよね。こんなことならもっと自分を大切にすればよかった。わたしを一番大切にできるのは、わたししかいないんだから。
もっと早く、いろんなことに気付けたらよかったな。

  • 16 (P250)
カズくんが好き。でもそれだけじゃ、終わらない。終わらせることはできるけれど。
今始まったばかりなのにな。

  • 17 (P262-263)
愛してるって、むせ返るほど苦しい。重くて深くて溺れてしまう。
溺れる時は一人で沈まないと。和人に手を伸ばさない覚悟を決めないと。
さあそろそろ。
死ぬ準備を始めなくては。

  • 18 (P272)
わたしの願いに『二人』はない。
どうか和人が幸せでありますように。七夕の朝、商店街にあった笹に短冊を結んだ。
それがわたしのたったひとつの願い。
祈ることしかできないわたしの、願い。

  • 19 (P290)
限界だった。嘘をつくのは疲れた。だからもう眠りたかった。
それは諦めじゃなくて、走り終えた疲労感。だからとても疲れていたけど、満足はしていたの。
あとは大好きな人たちにありがとうを告げて、どうかもう、眠らせて。

  • 20 (P303)
死ぬことだけが安息だったわたしをあなたが生きさせてくれた。
だからわたしは死ぬことが怖くなったの。
死んでしまうことが怖い。
だからこそわたしは、自分が今生きていることを実感できたんだよ。
和人――ありがとう

  • 21 (P312-313)
死ぬ準備はできた。
あとは心を全部綴ってきたこのノートを捨てるだけ。
あと3年、やってみるよ。和人に教えてもらったから。
生きてるのがこんなに愛おしいことだって。
死ぬ準備はできた。
だからあとは精一杯、生きてみるよ。

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