概要
はやぶさが燃料流出により行方不明となった際、宇宙科学研究所はのぞみの教訓を元に何らかのトラブルによる錐もみ状態が発生した際に自然現象の力だけでセーフホールドモード状態になるように機体を設計していた。
その仕様を信じてはやぶさが居るであろう方角に向けて何億回も再起動させる為のコマンドを送り続りつづけた。
その結果、再起動に成功・1bit通信による通信回復によりサンプルを地球に持ち帰ることに成功した。
この成果により、例え電源が失われて機体が初期化されても電力が再供給されさえすれば、地上から動作に必要なプログラム類を再インストールさせれば再起動が可能であると証明された。
しかし、コマンド一つ送るのに30分以上掛かっている為、再度同じ方法での再起動は現実的ではない事から、最初から専用のコマンド一つで機体側に全自動で再起動させようという案がで考案されはやぶさ以降のJAXAの探査機や衛星に搭載されるようになる。
大まかな機能
- 内蔵電源の残量が一定以下になった際に自ら電源供給を停止しバッテリー保護及び休止状態(サスペンドモード)に移行する。
- ソーラーパネルからの電力供給のみで動作する(未発電時は不動作)省エネの発電量監視装置でバッテリーの残量をチェックし、規定量を超えた事が確認されると最低電力消費量である再起動コマンド受信体制で起動。
- 地上からの再起動コマンドを受信し機体内部のROMに記録されている再起動用プログラムを元に全自動再起動を実施し地上との1bit通信を元に機体機能完全回復を行う。
以上が大まかな流れとなっている。
なお、この機能が未搭載だとしても手動で同じことを行う事は可能となっている。なお派生的な物で、地球通信不可領域及び発電不可領域を通過中メインコンピュータを含めたありとあらゆる電子機器機の電源を停止させタイマーで自動再起動させるという運用をはやぶさ運用チームの助言を基に海外の探査衛星が実施し延命処置に成功している。
実際に運用で使用された事例
はやぶさ(探査機):小惑星サンプルリターンの実験・リハーサル機。地上からの再起動コマンドで再起動を遂げる。以後も省電力運転の為定期的に必要最低限の機器の停止などを行っている。
Ikaros:宇宙ヨットの実験機。全てのミッションを完遂した後内蔵している冬眠モードの実地テストが実施され冬眠モードの有効性が証明される。
小型月着陸実証機(SLIM):小型・最軽量・低コストでの実験機シリーズの1機。月面への精密着陸の技術検証を行う。着陸後想定外の姿勢となってしまった為ソーラーパネルが明後日の方向になってしまい内蔵電池の残量が減った事から遠隔でバッテリー保護を実施し、手動で冬眠モードに移行させる。太陽光が当たり自動再起動が実施された(冬眠明け)為観測が再開がされている。