あらすじ
人気のWEB小説「鉄血の騎士」の中の領主のボンクラ息子、ロイド・フロンテラに憑依した主人公が小説の知識、転生前の建築の知識を活かして老後のためお金を稼いでいく。
登場人物
主要人物
- ロイド・フロンテラ
本作の主人公。現実世界での名は山瀬大河(韓国版は김수호(キム・スホ))。WEB小説「鉄血の騎士」最終回を読みおえた後、目を覚ますと物語の中のボンクラ息子・ロイドに憑依していた。
「鉄血の騎士」のロイドは乱暴粗雑な人非人で誰からも嫌われており、両親を失ったあとは酒浸りになり吐血して死んでいる。
大河自身は真面目で責任感が強く勤勉な性格で、正反対のロイドを演じるのに最初は苦労した。大学では土木建築学専攻で、奨学金を得られるほど優秀な学生だったが、兵役(原作が韓国のため)後の就職は上手く行っていなかった模様。
大河の父は息子に借金を隠して無理をし、過労死している。また大河本人も金には苦労しており、この世界のロイドとして悠々自適の生活を送るため、「鉄血の騎士」の知識と建築の知識で領地の借金を返済しようと思い立つ。
ロイドとなってからは非常にがめつく、口八丁で搾り取れる所からはとことん搾り取る。しかし、一般人に対しては「金ヅル」と嘯きながらも適正賃金・安全・福利厚生を優先した施策をとる。何か良からぬことを思い付いたり優位に立つと凄まじいゲス顔になる。
- ハビエル・アスラハン
「鉄血の騎士」の主人公で美形の天才剣士。幼い頃両親を亡くし、ロイドの父アルコスに拾われフロンテラ家に尽くす騎士。生体エネルギー「マナ」の特殊な扱い方をする「アスラハン心法」を編み出す。
ロイドの事を嫌っていたが、急に変わってしまった彼に振り回されながらも徐々に信頼を深めていく。ロイドの中身が以前と別人であることを察しているが、その事は問わないことにしている。
マナを扱うための体質変化で酷い不眠症(ソードマスター症候群)であり、ロイドの子守唄(コンクリート工学の講義)がないと眠れない。
「鉄血の騎士」ではソードマスターとなり剣聖として人々を救いながらも、逆恨みされるなど忌み嫌われ、愛する人も失い孤独と苦難の旅路を歩む。
- メッセンジャー(正式名称不明)
ロイドにしか見えない青いメッセージウィンドウ。メッセージまたはメッセンジャーと呼ばれている。ロイドに助言したり、ステータス管理をする。かなりいい性格をしており、ロイドをおちょくりまくる。
- 幻獣たち
メッセージが案内する「ガチャ」で召喚した。支給される赤いヒマワリの種を食べると巨大化し、青い種で小さくなる。
・クルミ
ロイドが初めて召喚したハムスター型の幻獣。巨大化時は土掘りや地ならし、頬袋での運搬など建機のような役割をこなす。ロイドの考え方をよく理解しており、優秀な助手である。実は腕っぷしもかなり強い。
・モモ
ピンク色のヘビ型幻獣。紅一点。土を食べて鉄筋として排出することができる。トンネルを掘るシールドマシンのような役割を担う。ビバンに惚れられたがモモは何とも思っていないらしい。
・マンゴ
黄色いカバ型の幻獣。ヒマワリの種でなく、大量の水を飲むことで巨大化する。飲み込んだ水は吐き出すことも可能で、バキュームタンクの役割を担う。
・ビバン
カプア湖に住んでいたビーバー型の巨大な幻獣。人々からは「キングストマ」と呼ばれ恐れられていた。ロイドの挑発に怒り暴れ狂うが、モモに一目惚れしてロイドの配下になる。
・マシュマロ
白い小鳥型の幻獣。背負ったカバンから強靭なロープ状の「蜘蛛の糸」を射出し、土止め用の網を張ることができる。有用だが無気力な怠け者。
- アリシア・テルミナ・マゼンタノ
ロイド達が住むマゼンタノ国の女王。豪放で公明正大、貴賤の別なく相手の助言に耳を傾けることのできる聖君。最強のソードマスターでもある。ロイドの扱いをよく心得ており、何かと難題を課してロイドの悠々自適ライフの最大の障害となっている。
「鉄血の騎士」では物語開始から3年後に家臣の裏切りで左腕を失った後、黒化して荒れ狂い虐殺の君主と呼ばれるようになる。
フロンテラ領及び関係者
- アルコス・フロンテラ
男爵→伯爵。フロンテラ領の優しき領主でロイドの父親。優しさにつけこまれて詐欺にあい、莫大な借金を背負わされる。「鉄血の騎士」では借金を返しきれず、妻と心中する。
- マルベヤ・フロンテラ
アルコスの妻でロイドの母親。アルコスとは今でもラブラブである。優しげな女性だが、小型モンスター相手に戦ったり、モンスターバッタを迷わず味見してみたり意外に肝が座っている一面も。
- ジュリアン・フロンテラ
ロイドの弟。ハビエルと同い年だが、そうは見えないほど幼く貧弱な体つきをしている。母のマルベヤ似。王都マゼンタの王立アカデミーで勉強中で、成績はトップだが身分の低さから理不尽ないじめを受けていた。以前のロイドには酷い暴言暴力を受けていたらしく、悪態をつくが遥かにマトモな現在のロイドに初めは混乱し警戒していた。
「鉄血の騎士」では家が没落してアカデミーを追い出され、強盗に襲われて死ぬ。
- バイエルン
フロンテラ家の騎士。実直で忠誠心あついが、剣士としての実力は低い。しかし実務能力は非凡なものがあり、書類仕事と現場監督を任せられる程になる。
可愛いものが大好きなようで、モンスタードミノ騒動で親からはぐれた象型モンスターのマストドンの子供達を可愛がっている。
「鉄血の騎士」ではハビエルと二人で最後までフロンテラ家を支えた。
- バレラディ・ブランク
国王直属の精鋭部隊、白色槍騎兵隊の隊長。忠誠を誓った相手に魂を捧げるタイプ。
モンスタードミノ対策で国王からロイドに白色槍騎兵隊が貸し出され不満を隠せずにいたが、人的被害を出さずにモンスターを追い払ったロイドの手腕をみて考えを改めた。その後熱心なロイド信奉者になり、フロンテラにとどまっている。
「鉄血の騎士」では黒化した国王に逆らえず、命じられるままに無慈悲な粛清に加担し、人々を守ろうとするハビエルに倒された。
- オーク・「鋼鉄の砂」族
この世界のオークは人に近い姿をしており、美形揃いである。肌の色は緑色で下の犬歯が牙となっていて、語尾に「キィ」と付けてしゃべる。筋肉史上主義で、タンパク質摂取と筋力をなにより気にしている。
・アロッシュ
族長の息子。成人の儀である巨大アリ狩りに失敗して巣に囚われていた。ロイド達が彼を救出したことで鋼鉄の砂族と縁ができる。
・アクッシュ
鋼鉄の砂族族長。アロッシュの父。
・クーガ
オークの戦士の1人。グレッグ兵長とは何気にはりあっている。フロンテラ家の侍女エミリーが気になっている。
- エルフたち
エバーグローの森に住み、エレンシアの木を守護している。この世界のエルフは女が狩りを担い、みな非常に筋肉質でたくましい。植物をこよなく愛するため植物を盾にされると抵抗できない。
エルフ族は人間の欲深さに愛想がつき500年前から交流を断っており、「本当の友人」になれそうな人間のみ信用するよう言い伝えてきた。「鉄血の騎士」ではハビエルはエルフに気に入られている。
モンスタードミノのせいで主食である肉が枯渇し、一族は餓えていた。
・ミュイラ
族長。母から人間の欲深さによる悪行を聞かされたため、ロイドの提案を頑なに拒否するが、提供された極上焼肉の前に陥落する。
・メルリカ
逞しいエルフ達のなかでも特に巨体で怪力。対龍弓ドラゴンスナイパーという強弓を操る。
- ソリタス
東部山脈で暮らしていた若きドラゴン。ドラゴンのブレスで下水処理場の汚泥を焼却処理させるためにロイドに目をつけられてしまう。手先が不器用で、育児に必要な宝石の加工が出来ず結婚に影響するのが悩み。人間の姿になることもできる。
「鉄血の騎士」ではエルフと敵対関係にあり、ハビエルに傷を負わされる。小説では逃げ去った所までしか描写されていないが、メッセンジャーによればその傷が元で死亡したという。
- グレッグ兵長
当初はやる気のないモブ兵士Aとして登場したロイドの部下。フロンテラ領でのエピソードでは初期からモブ兵士のなかにいたが、61話でピックアップされネームドキャラとなった。ロイドの元で働くうちに責任感のある強い男へと成長している。女たらしでフロンテラ家の侍女エミリーとは仲が良い。オークのクーガとは何かと張り合っている。
- エミリー
フロンテラ家の侍女。グレッグ兵長と仲が良い。オーク一族のクーガのことが気になっている。
マゼンタノ宮廷関係者
- コギドゥス
王室御用達の職人ドワーフ。常に酒瓶を手放さないガンコ爺で、気に入った仕事でないと国王の頼みでも動かない。
ロイドの設計図と手管で職人魂をくすぐられ、この世界にはないトラス構造の橋桁を作り上げる。
- カエル
国王が信頼をおくソードマスター。実は謀反をたくらんでいる。
- ベントゥラ伯爵
アスパハンに送られた特使団の団長。馬車の中で「行きたくない」といつまでもぐずり続けるロイドに呆れ軽蔑する。ちなみにアリシアはロイドのこうした反応も予測済みだった。
- ノルト子爵
庭園設計の専門家。仕事をしたくないのにアリシアから庭園造成を依頼されたロイドは、彼をおだてて仕事を丸投げする。
ラコナ領
- ラコナ子爵
ロイドが開拓したマレズ湿地を奪いとろうとした隣の領主。格下のフロンテラをバカにしている。ロイドに追い返され、仕返しにフロンテラ領に通じる水源に特産の染色布の廃液を流して公害を発生させた。
しかしロイドの報復によってフロンテラの利水施設から染色用の水を条件付きで買わざるを得なくなり、今後永遠に搾り取られる予定。
息子のディェゴは首都の学校でジュリアンを虐めており、ロイドにボコボコにされる。
クレモ領
- クレモ伯爵
海沿いにある交易都市クレモを治める領主。港周辺にロブスター型モンスター・ギガチタンが現れるせいで寄港する船が減り、悩んでいた。ギガチタン避けのために、天敵である海の戦士・人魚(この世界の人魚はエルフと同じく女性でも筋骨隆々の戦闘種族である)の像を海に立てようと思っていた。
「鉄血の騎士」では復讐を遂げてお尋ね者になったハビエルを匿う。クレモが衰退し、伯爵の危機にハビエルが立ち上がるところで連載は終了する。
ナマラン領
- シルリア・ナマラン
ナマラン伯爵の娘。ロイドの活躍により伯爵となったフロンテラ家に縁談を申込みにきた令嬢たちの一人。ロイドの事もろくに知らず送りつけられてきた娘たちとは違い、ハビエルの美貌に惑わされる事もなく思慮深く聡明な会話ができる女性。
ナマラン領で事件が起きることを知っていたロイドは彼女を足掛かりにナマランへ向かう。
宮廷魔法使い並みの強力な魔法使いでもあり、「鉄血の騎士」ではナマラン事件でハビエルと心通わせ共闘する。読者にヒロインかと期待されるも、戦いの中で落命する。
- ナマラン伯爵
シルリアの父。ナマランの街は崖の上にあり、崖の崩落に悩んでいた。「鉄血の騎士」のエピソードである「ナマランの壁」を阻止するため、ロイドは土止め工事を提案しナマランに乗り込む。
- カンナバロ
ナマラン事件の実行者。表向きはモンスタードミノ騒動で難民になった400名を私費で保護し、率先して慈善活動を行っている商団主として慕われている。裏ではその人々を生け贄にして、黒魔導師達と地獄の騎士ヘルナイトの召喚を行おうとしていた。
アスパハン国
- サマルカン
東隣の国アスパハンの王。両国の間にある荒野に住んでいるモンスターをマゼンタノ側に追い出し、モンスタードミノを引き起こした。自国の干魃に積極的な支援を行わなかったため、国民の不満が高まっている。「鉄血の騎士」では国民の大規模反乱後に、不満をそらすためマゼンタノに戦争を仕掛ける。
特使としてやってきたロイド達には適当なもてなしだけして面会せず、特使としての誇りを踏みにじろうとするが、ロイドにはこれ幸いととんでもない豪遊をされてしまう。
- セラジャド
サマルカン王の末の姫君。剣の達人。王にロイドを誘惑するよう命じられるが、いまいち色仕掛けというものを理解しておらず、常に殺気が溢れ出ている。また気が短く、挑発に乗ってロイドをぶん殴る。
帰国したロイドを追ってフロンテラ家に押し掛けるが…