概要
「呪いのデコイ人形」とは、東方Projectに登場するアイテムである。
『東方輝針城』における経緯から、その異変後に多数の幻想郷住民からの追跡を受けた鬼人正邪がその逃亡の際に使用した「 反則アイテム 」、「 不思議道具 」の一つ。
正邪の逃亡の物語が正邪の視点から語られる『弾幕アマノジャク』に登場する。
「デコイ」とは
「デコイ」とは主に「囮」の意味であり、狩猟、漁などの際にターゲットの何らかの興味をひきつける目的で用いるものである。目的に合わせてターゲットがよりよく意識を向け得る形状や様式に合わせて多様な姿形(あるいは方法)があり、例えば本物と見紛うほどに成功に姿形を模した「デコイ」もあれば、「囮」として最低限必要な情報のみによって造形されるものもある。
また近年では猟・漁のためだけでなく特定の種の絶滅回避のために使用される場合もある。
例えば日本では絶滅危惧種の一種であるアホウドリの絶滅回避のために使用されていた。
実際の試みとしては、一定区画に多数のアホウドリの姿を精巧に模したデコイを配置し、さらに視覚的デコイだけでなく繁殖の際の泣き声などの録音物を再生する音声(聴覚)的デコイを併用することで安全な繁殖地のフィールドがその地にあると認識させてアホウドリを誘致し、繁殖行動を促すというものであった。この際に使用された多数の精巧なアホウドリの模型も、目的に合わせて造形された「デコイ」の一つである。
さらに「デコイ」の語は猟・漁で使用するような「囮」の意味ではなく同時に室内に置く装飾品、インテリアを指して用いられる事もある。
例えば精巧に造形された鳥の「デコイ」などはそのまま置物としても用いられている。
この他軍事的な語としてのニュアンスもあり、上記の「デコイ」同様に「囮」としての意味は変わらないが、そのターゲットが主に人間(及び人間が主体となって構成される大なり小なりの社会ないしは集団単位)である事に違いがある。
デザイン・性能
デザインは、アイテムアイコンとしては紅に近い赤色の着物を着た黒髪のおかっぱの女の子の人形で、頭の右側にリボンをつけている様子が描かれている。
着物の着合わせは右前。腰にはこげ茶色にも近い濃い赤色の帯と濃い橙色に近い帯締めとを結んでいる。
ゲーム中ではシーン(各ステージ、面にあたるもの)選択時の準備段階でこれを選択することで使用可能。
その後のシーン中では場面内の任意の場所でアイテムボタンを押すことでその場に人形が登場する。こちらでは正面からとらえた足元までの全身像が描かれている。
配置直後から紫色の炎のようなものを全身から発して揺らめかせ、臍部分周辺に当たる箇所を軸に、デコイとして相手の注意を惹きつけるがごとく体の上下を静かに揺らす。
アイテムとしては先述の「デコイ」の名の通り敵弾を自身の方に引き寄せるというものである。自機狙いの弾や一部の特殊な弾幕も人形に引き寄せる事が出来る。
デコイとしての機能は時間制限制のもので、ゲーム画面中はその頭上に効果時間のリミットが表示される。このカウントはその配置する位置が画面上部過ぎたり、あるいは画面側面に接しすぎているとカウントの全部または一部(例えば左右いずれか半分ほどまで)が画面外に隠れてしまい、カウントを目視できなくなることもある。
また使用可能数が増加しても二体以上を同時に配置する事は出来ない。
加えて、一度配置したものはキャンセルする事は出来ない。
さらに、デコイとしての機能は正邪を狙う弾を引き寄せるというものであり、例えばばらまき弾をはじめとした全方位的な弾幕は人形に引き寄せられない。
同作では各アイテムは使用回数(当該のアイテムを使用してのシーンクリア数※)に応じてレベルアップして性能が向上するという特徴をもち、「呪いのデコイ人形」はレベルアップによって一シーン中の使用可能数(「 人形の数 」)が増加する。
また物語の進行に合わせ、正邪がとある人物からのアドバイスの元「サブスキル」としてのアイテムの使用方法(サブアイテム)を見出すが、「呪いのデコイ人形」もサブアイテム欄にそれを選択することでサブスキルを発揮する。
サブアイテム時の「呪いのデコイ人形」は「 ショットの範囲が広くなる 」というもの。効果はサブスキルに装備していれば常時発揮される。
ただしこれは単純に従来の射線軸が広角化するというものではなく射撃の軸そのものが増加することで総合的に広角化するというものである。
例えば射撃の軸が広角化することで射線が散逸して従来の効果範囲に死角が増えるという事はない。
同時に高速時と低速時の射線の広狭の差異が極めて小さくなるという効果もある。
命中に安定感が増すとともに射軸という手数が増えたことで火力の底上げともなる。
※:アイテム一切使用しないでシーンをクリアした場合は「全てのアイテムでクリア」した扱いとなるため一切のアイテムを使用せずにクリアした場合もレベルアップに必要なシーンクリア数にカウントされる。
本アイテムは作中の地の文(アドバイス)などでは「 一見可愛いようだが、実は凄い 」アイテムとも語られる。その一方で「 一応敵弾も受け止めるが殆ど頼りにならない 」ともされているなどその運用におけるピーキーさもまた語られている。
この他の要素としては『弾幕アマノジャク』に特有のものとしてプレイ実績に応じて与えられる称号またはトロフィーのようなものとして「異名」があり、「呪いのデコイ人形」に関連したものも存在する。
関連イラスト
- 鬼人正邪と「呪いのデコイ人形」