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作品解説

『失恋覚悟のラウンドアバウト』は、浅倉秋成による日本の小説。

2016年7月に講談社より刊行された。カバーイラストは中村ゆうひ(pixiv)。

2020年12月には『失恋の準備をお願いします』と改題され、文庫版が講談社タイガより刊行された。カバーイラストはusi。

全六話の構成になっており、いずれも舞台は共通の「日の下町」であるが、第一話から第五話ではそれぞれ別のカップルの恋模様が描かれ、最後の第六話でこれまでの登場人物が総出演するエピソードが繰り広げられる。

登場人物

東台高校

満作 千代子(まんさく ちよこ)

東台高校三年。18歳。部活は裁縫研究会所属。

別段筋肉質ではないが本名からつけられたニックネームは「まっちょ」。

高校を卒業したら東京で一人暮らしを始める予定だが、交際相手は地元の大学に行くらしく、遠距離恋愛をどうしようかと悩んでいる。

佳奈ぶん(かなぶん)

満作の友人。自称ぽっちゃり女子。恐らくは同じクラスと思われる。

梅木 鶴子(うめき つるこ)

東台高校三年。ぽっちゃりとした体形。実家は和菓子屋。

ニックネームは「梅子」(うめこ)。ヤコブソン器官が非常に発達している。

蕗 俊太郎(ふき しゅんたろう)

東台高校三年。二月に東京から転校してきた。

梅子とは同じクラス。満作および佳奈ぶんとは隣のクラス。

髪は長めでキザな話し方をする。運動能力も学力も「並」。

いつもカレーの香辛料のようなにおいを体から漂わせている。

フェロモンの亜種が一般男性の約120倍もの濃度で放出されている。

梅子からは「蕗太郎」と呼ばれる。

月下香 優里(げっかこう ゆり)

東台高校三年。梅子と蕗太郎の隣のクラス(満作と同じクラスか逆の隣かは不明)。

「日の下町二大ビッチ女子」の片割れで、「チューベローズ貴婦人」の異名を持つ。

異次元級の金持ちであるが故に好みの男性を金に物を言わせて買いつくすスタイルで、

複数の女子生徒やスーツ姿の屈強な男性を手下に率いている。

その他、梅子と蕗太郎のクラスには、クラス一の清純派美少女碓氷(うすい)、短距離走の女神ことスタイリッシュ美少女鈴木(すずき)、アニメ大好き元イラスト研部長小岩井(こいわい)、少しばかりギャルっとした派手なやつ西野(にしの)といった女子生徒がいる。

西ヶ谷高校

日輪 賢二(ひわ けんじ)

西ヶ谷高校三年A組。18歳。趣味は家庭菜園。梅子とは中学時代の同級生。

去年の夏祭りで変態扱いされていた漆原博士を助けたことをきっかけに、漆原博士と懇意な関係になる。

高校を卒業したら青森で大学で農業の勉強をする予定。

菊池 正(きくち ただし)

西ヶ谷高校三年。18歳。

千鳥翔子と交際しており(交際記念日は3月18日)、翔子から浮気を疑われているが……

千鳥 翔子(ちどり しょうこ)

西ヶ谷高校三年。菊池正と交際している。IQ100。ファミレスでアルバイトをしている。

おひつじ座AB型火星人-

アメリカのセレブたちが大好きで、マライア・キャリーが15時間の睡眠をとっているという情報を仕入れてからは必ず夜の10時には就寝するようにしているらしい。

鉄道好きで、自宅には鉄道関連のコレクションがたくさんある。

槿 紗也加(むくげ さやか)

西ヶ谷高校三年。日輪賢二と同じクラス(A組)。

常に瞳をうるうるさせているような、小柄な小動物系黒髪美少女だが、

「日の下町二大ビッチ女子」の片割れで、「娼婦むくげ」の異名を持つ。

家が貧乏であるがゆえに常習的に援助目当てで男をたらしこんでいるらしい。

携帯電話を持っておらず、ティッシュペーパーのことをハンカチと呼んでしまう。

日の下南小学校

折尾 乱歩(おりお らんぽ)

日の下南小学校四年。同じクラスの芙蓉富士子に恋をする。姉がいる。

芙蓉 富士子(ふよう ふじこ)

日の下南小学校四年。父は市松人形の職人(明言されていないが恐らくは「三代目芙蓉仁斎」)で、母はずっと昔に他界しており顔を覚えていない。

進藤 夏奈(しんどう なつな)

折尾と芙蓉のクラスメイト。折尾の視点では、いつも優しい笑みを浮かべていて顔も可愛いらしい。

五十嵐 直倫(いがらし なおみち)

折尾と芙蓉の担任教師。いつも無気力そうで、自己保身に必死な言動が続く。

その他、折尾と芙蓉のクラスには、ヨッシー、父から買ってもらったボールペンを大事にしている桐山(きりやま)くん、トン坊(ぼう)こと東浜(ひがしはま)、山崎(やまざき)、道重(みちしげ)さん、ハムスターの飼育係の瀬戸(せと)さん、周平(しゅうへい)、父が弁護士(しげる)、石ちゃん(いしちゃん、おまけ4コマに名前のみ出る「石山」と同一人物かは不明)、昔のアニメの知識などを仕入れてはクラスによく広めるらしい小宮山(こみやま)、劇団の教室に通っている佐々木(ささき)くん、喜多方(きたかた)さん、クラスで飼育していたハムスター(名前はパッション)のお世話を(折尾の視点では)一番していた尾崎(おざき)さん、といったクラスメイトがいる。

たなかマヨネーズ

薮田 真澄(やぶた ますみ)

たなかマヨネーズ社員。28歳男性。営業マンをやっており、仕事のハードさから退職を試みて色んな作戦を起こすが……

諏訪部 樹(すわべ いつき)

薮田の同期。プロポーズを間近に控えている。

その他、竹下(たけした)専務、少なくとも薮田の視点では仕事ができずに嫌味と自慢話が多く皆から嫌われているらしい鎌ヶ谷(かまがや)常務といった社員がいる。

日の下警察署

警察戦隊ヒノシタレンジャー

町おこし(とは名ばかりの警察の公費削減政策?)のために結成された、戦隊レンジャーをモチーフとした警察チーム。リーダーで残念系独身アラサー女性のヴァイオレット、「天才ネゴシエーター」イエロー、「武闘派の怪力格闘王」ブラック、「対サイバー犯罪の申し子」グリーンがいる(いずれも本名は不明)。あとはもう一人「ピンク」もいるようだが……

その他

リサちゃん

満作の隣に住んでいる山岡(やまおか)さんの宅の一人娘。幼稚園の友人「ななむー」から教わった手品を満作に披露する。

立川(たちかわ)

「日の下アクリルプロダクツ有限会社」の社員。満作の父が取引先として懇意にしている。

漆原 正嗣(うるしばら まさつぐ)

日の下町在住の科学者。「漆原博士」と呼ばれている。

日輪の推定では恐らく30そこそこの年齢だが、目元口元に深いしわが寄っているせいでそれなりの年齢に見える。

ロボット、嘘発見器、薬品、乗り物など多様な発明をしている。

奈々子(ななこ)

薮田が橋の上で休憩しているときに出会った女子大生風の清純派美少女。

困っている人を見ると助けずにはいられない性格。見た目からは想像もつかない怪力を持つが、その理由は……

カーネル・マクドナルド

アメリカの大手ホットドッグチェーン「ダックスフード社」の重役。たなかマヨネーズの商品のマヨネーズを採用しようと、視察に来ることになった。

作品舞台

日の下町(ひのしたちょう)

一部の工業製品、若者に人気のマスコットキャラクター『ひのぼん』、円形の交差点「ラウンドアバウト」などが名物。

「南関東なんだか北関東なんだか曖昧な地域」に位置する。

関連項目

浅倉秋成

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