概要
香月日輪によるライトノベル作品。深山和香によって漫画化され、『月刊少年シリウス』にて2011年より連載中。
略称は『妖アパ』。
主人公・稲葉夕士が妖怪だらけのアパート『寿荘』で様々な出来事を通し、成長していく様を描いた物語。
登場人物
主人公。中学1年のときに両親を交通事故で亡くし、中学校3年間は伯父の家で過ごしたが、伯父一家とはあまり折り合いがよくなく、高校進学を機に学生寮で一人暮らしを決断。ところが、学生寮が火事で全焼してしまい、「前田不動産」で格安アパート「寿荘」を借りるが、それが「妖怪アパート」だった。アパートでは202号室に住んでいる。一度「普通の世界に戻る」という理由でアパートを去ったが、「普通とは何か」をよく考えた末に再び戻ってくる。
妖怪アパートの住人
102号室。有名な詩人で童話作家。夕士曰く「子供のラクガキのような顔」。性別は男性だが一人称は「アタシ」で、オネエ言葉で話す。よく語尾がカタカナ表記になる。「~ヨ」など。
その耽美でグロテスクな作風と文体から一部に偏執狂的なファンを持ち、熱狂的なファンの1人に刺されそうになった事がある。
- 久賀秋音
鷹ノ台の高校に通う女子高生。昼間は高校に通い夜は人間・妖怪両方を診る「月野木病院」で丁稚奉公として働く、除霊師の卵。
両親共に霊感を持つ家系で、小学生の時に「久賀流心錬術」という精神修行道場の門下生になり、裏で霊能力者の修行を積む。
ちなみに久賀秋音という名は本名ではない。文庫版にて本名が公開されている。
103号室。外見は暴走族の頭(ヘッド)にしか見えない、流離のヤンキー画家。
相当な場数を潜っている事を窺わせるほど喧嘩が強く、本人も好戦的。性格は頼れる兄貴分といった感じだが、第3巻では「救えないものは、救えない」とバッサリ切り捨てるリアリストな一面を覗かせた。パフォーマンスとしてたまに個展で暴れるらしく、それを楽しみにするファンもいる。「シガー」という名の愛犬を飼っている。
203号室。長身痩躯で長髪、黒ずくめの美男子という出で立ちだが、年齢不詳。
かなりの力を持った霊能力者で、彼がアパートにやってくると妖怪たちも襟を正すような存在感の持ち主。秋音にとっての憧れの君。普段は温厚だが、自分の力で困難を乗り越えようとしない人間には力を貸さないという、冷たい面も持つ。
骨董屋から「東洋の蒼い真珠、ペイルブルー」と呼ばれることもあるが、本人は嫌がっている模様。
この二つ名から、同著者の地獄堂霊界通信シリーズにも登場しているものと予測される。
妖怪アパートの住人だが、普段はトランク片手に世界各地を歩き回っているため、ほとんどアパートを留守にしている。だが時折妖怪アパートに帰ってきてはご飯を食べ、「日本人でよかった」と絶叫する。骨董屋と同じく怪しいものを扱っているらしく、一度ヴァチカンの「奇跡狩り~コングレッソ・ヴィエタート~」に連行されたことがある。茶髪の長髪に無精ひげ、軽い物言いの分かりやすい「ダメな大人」。「七賢人の書(セブンセイジ)」という魔道書を武器に世界中の奇書、珍本をハントしている。
同著者の『下町不思議町物語』にも登場する。
- 骨董屋
怪しげな商品を売る商人。オールバックで薄い口髭、黒いコートを纏い、左目には幅の広い眼帯。いつも大きな荷物を背負い、編み笠をかぶった従者を5人ほど従え、次元を超えて品を求め旅をする。怪しいものも扱っているらしくヴァチカンの「奇跡狩り~コングレッソ・ヴィエタート~」から追い回されている。他の妖怪アパート住民全員からうさんくさいと思われており、苦笑交じりにあしらわれることもしばしば。
実際はアパートの住人でないのだが、宴会などの際には、ちゃっかり混じっている。