対象a
たいしょうあー
どうして「罪」があるのだろう。
どうして「罰」があるのだろう。
罪があるのは「諦めている」から。
罰があるのは「求めすぎる」から。
———————『対象a』より
ピアノとベースによる演奏にジャズ風のしっとりとした曲調、Annabelの澄んだ歌声が魅力の佳曲。
曲名は、哲学者で精神科医のジャック・ラカンが提唱した「欲望※の原因としての対象」の概念を意味する単語「対象a」が由来。
歌詞には、ギリシャ神話の『アンティゴネー(アンティゴネ)』を思わせる部分がある(ラカンは『対象a』の例として、アンティゴネーを引用している。)。
静かながらも豊かな情感を含んだ、揺らめく炎を思わせる歌声と、深く重みのある文学のような歌詞が、聞くものに不安と安らぎを同時に与える。
非常に哲学的且つ『ひぐらしのなく頃に』の世界観・ストーリーを象徴した内容になっていおり、特に、古手梨花のイメージ、視点、境遇を意識した部分が多い。
本編からエンディングへと移る過程があまりに自然で、ファンからの人気も高い。
読み方は、由来の関係から「たいしょうエー」ではなく「たいしょうアー」である。
※この「欲望」という言葉の意味合いは通常日本語でイメージされるものとは異なり、根源的なものからくる衝動的な願望、刹那に溢れる抑えきれない思いといったものに近い。愛する人(対象a)を見たとき、守ってあげたい、幸せでいてほしいという思いが意識するよりも早く沸き起こる、という心理をイメージすると解りやすいだろうか。
ボーカルのAnnabelは、原作を全てプレイしており、一期ED曲「why,or why not」の雰囲気を意識して作ったと語っている。
曲を作ったanNinaは、「ひぐらしのなく頃に」の世界観を保てるように、少しでもストーリーに合うように、非常に苦心したらしい。
楽曲を歌うanNinaは、Annabel(ボーカル)とbermei.inazawa(作曲者)のユニットで、二人の名前がその由来である。(Annabel + inazawa)
『ひぐらしのなく頃に解』の最終話では、それまでは編集されて短くなっていたイントロ部分が全て流れた。