伝承~常世の国の成立~
かつて豊葦原には日(日向ひむか)と月(月読つくよみ)と星の名を持つ民が暮らしていました。しかし輝血の大蛇が去った後、中つ国の人々が始めた争いのため、日向の一族は西へ飛び去り、星の一族は姿を消してしまいます。そして少女を贄にしたことが許せなかった月読の一族は中つ国と戦うことに。しかし月読の一族は戦いに敗れ、豊葦原から逃げざるを得なくなります。彼らは海を渡り、長い航海の果てに遠い異界へとたどりつきました。そこで豊かで誰もいない土地を見つけた彼らは、常世の国を建国したのです。
月読の一族の末裔の彼らですが、月読の一族としての特殊能力(巫医の癒しの能力、妖という神霊と意思を通じ合わせるなど)は遥か昔に失っています。
気候・文化・服装
本来は豊かで温暖な土地ですが、禍日神まがつひのかみの存在のため、気温は低くなり、天候は安定していません。そのため衣服には羊毛やカシミア、綿(キャラコ)などの素材が使われ、厚手で重いものが主流です。
主食は小麦と牧畜による肉。文字はサンスクリットが使われており、貝多羅葉(ばいたらよう)と呼ばれるヤシの葉を乾かしたものを紙のように使っています。
常世の国の統治と軍
常世の国を治める王。今の王・スーリヤは、暴君だった兄(ナーサティヤの実父)から玉座を奪い取り、獅子王と呼ばれた仁君でした。しかし常世の国を荒廃させていく禍日神に戦いを挑んだ際に意識を乗っ取られ、その面影も今はなく、地方に所領を持つ王族や諸侯が勢力を伸ばしつつあり、地方の治安も悪化してきています。
王宮
根宮(ねのみや)と呼ばれています。岩の上に築かれた城砦で、規模は橿原宮を上回るほど。
軍事
かつては豊かな土地で、人口も多いため兵力は中つ国を大きく上回ります。一軍で千人程度の規模があり、『八雷(やのいかづち)』以外にも、ムドガラをはじめとする将軍たちが軍を率いています。いざ戦いとなれば、すぐに万単位の軍勢が動員可能です。
八雷
王族のみが任命される、常世の国の高位の武官。一軍の指揮者。
・大雷(おおいかずち):空席(皇が兼ねる場合もある)
・火雷(ほのいかずち):ナーサティヤ 東方の領主でもある
・黒雷(くろいかずち):アシュヴィン 北西の領主でもある
・折雷(さくいかずち):主人公たちのとの出雲の戦いで敗れた将軍
・土雷(つちいかずち):レヴァンタ 中つ国の高千穂の領主でもある
・鳴雷(なるいかずち):不明
・伏雷(ふすいかずち):ヤミー ナーサティアの妹でアシュヴィンの姉
※ムドガラは皇の従兄弟ですが、清廉な性格と国の安定を望む気持ちから八雷の位を拒み、特別な地位を持っていません。
敵対勢力~ビシュバカルマン
スーリヤの妃の父で、ナーサティアとアシュヴィンの祖父にあたる東方の領主。スーリヤに対してよい感情を持っておらず、皇の地位を狙っています。東方を侵略するだけでなく、ナーサティアの所領で賊に反乱を起こさせたり、レヴァンタを内通させるなど、様々な手を使って皇の権威を低下させようとしています。