「もしも…もしもの話だけど、扁額を作ってあなたの部屋に飾って欲しいって言ったらどんな文字がいい? 『公明正大』…『為善最楽』…どれも少し違うかな。いっそのこと『ヴェルティは良いぞ』なんてどう?」
プロフィール
英語名 | Jiu Niangzi |
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簡体字名 | 曲娘 |
分類 | 混血種神秘学家 |
展示年数 | 不明 |
展示開始日 | 不明(早春) |
展示場所 | 中国の沛県 → 中央アジアの野原 → 聖パブロフ財団 |
ミディアム | 玉山崩る |
本源 | 砂利の頑然[岩] 酒造りの職人 |
香調 | オリエンタルノート チューリップ 酒醸 はじかみ |
サイズ | 62 13/64 × 25 25/64 × 7 3/32 in.(高さ:158.00cm 幅:64.49cm 奥行き:18.02cm) |
ユーディモ | 縞模様の馬 |
CV | 富田美憂 |
人物
翠緑の漢服ドレスに柄杓の簪がアクセントに映える、あどけない顔立ちの女主人。
東方の町・沛県(ハイケン)の金市で酒屋を切り盛りしており、酒造りに関して原料の仕入れから販売に至るまで、全工程を一人だけでこなしている。そんな多忙の中で人助けをする余裕すら見せている。
人々の願いを叶えると言われる神獣「祥瑞(しょうずい)」に憧れにも似た強い関心を向けており、自らも祥瑞のような存在になるべく、町の人達の困りごとを解決することに積極的だ。
文字の読み書きは苦手で、書面の内容は絵解きで把握する。
本名・出身・家族の詳細については不明で、周囲から「曲娘」或いは「九ちゃん」と呼ばれている以上の素性は誰も知らない。
「曲(チー)」は酒を意味する単語で、そこに「娘(ニャン)」を続けた意味合いとしては、そのまま「酒屋/酒造りの娘」となる。
彼女の側に付いてまわる木製の人形「ウッデンドール」は、幼少時から行動を共にする腐れ縁のような話し相手にして、酒造仕事のお手伝いでもある。
ちょうちんを掲げ、絹で飾る。ウッデンドールたちのお祭りを彼女は静かに見守っていた。(公式Xより)
バトルでの性能
「走った方がいい?」
レアリティ | ✦6 |
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本源 | 岩 |
ダメージタイプ | リアル |
ポジション | アタッカー 瞬間火力 追撃 |
伝承 | 存思 |
Ver.1.6イベント『朔日手記』にて実装される期間限定キャラクター。
独自のバフを元手に追撃込みのダメージをガンガン叩き込む、アタッカーの最高峰。
- 期間限定と言ったのは今後バージョンが進んでも恒常では排出しないことが予め通告されているため。イベント期限の終了した後は再びピックアップの機会が設けられるまで入手手段のないことが確定している、いわゆる「フェス限」キャラである。
- アタックスペル「更に尽くす一杯の酒」
「そこよ!」
柄杓を振り抜いて酒を敵に浴びせ、加えてウッデンドールも攻撃を仕掛ける。
追撃効果のある単体攻撃。自身に「満杯」のスタックが溜まっているときにそれを消費して追撃を発生させる。
「みいつけた!」
- チャネルスペル「酌中のほろ酔い水」
「千載一遇よ!」
柄杓の酒を自身に振り撒く。
チャネル(霊媒)とは新規に追加された神秘術(アルカナム)のジャンルであり、バフにも似ているがスペルを発動した時点でそのターン中の自身の行動は不可能になる。そして敵のターンを凌いだ後、チャネル状態が維持されていれば自ターンのスペル選択前に自動でアタックスペルが発動する仕組みとなっている。
ただし自動攻撃でMPは貯まらない。またチャネル状態は敵のアルティメット攻撃で解除されてしまうため、そういう時はスペル使用を控えるか味方の封印やMP削りで対処しよう。
「はやく終わらせましょ。」
- アルティメット「酒とその他の物語」
「今行く!」
盃に酌んだ酒をうっかり零してしまい、凝集した酒をめがけてロバが突撃する。
敵全体をターゲットにした範囲ダメージを与えるのだが、そのフェーズの敵の数が減ると更にダメージが上乗せされる仕様になっており、その場合単体ダメージ系アルティメットと遜色ない数値すら拝める。
「注いであげ――うわぁ!」
余談
その強力な性能故、日本語版で実装される以前から曲娘の存在はネット上に轟いており、主に大陸版を先行するプレイヤーによる彼女に触れた書き込みは一定数見受けられた。
呼び方に関しては英語名を発音した「ジウニャンジー」(ちなみにこれは彼女の別名「九娘子」のピンイン読みである)や、そのまま訓読みの「まがりむすめ」、はたまた重箱読みの「きょくむすめ」など、多岐に渡っていた。(日本語キーボードで漢字を表記したい際はそのように入力せざるを得ないため。)
5月20日配信の生放送「ストーム情報局#5」にて正規の名称が「チーニャン」と判明したが、同時に公開されたギフトコードの一つが「きょくむすめではなくちーにゃんです」であり、まさかの公式ネタと化した。
なおその放送内のチャットでは「まげっこ(まげこ)」という愛称も広まった。
※上記ギフトコードは5月21日20時を以て有効期限切れ。
関連動画
関連タグ
リバース:1999 重返未来1999 REVERSE1999
※以下、『朔日手記』本編のネタバレを含みます。イベントを一通り終えてからの各自閲覧を推奨します。 |
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犯人
突如縞模様の馬に変化したクロリクらエニセイの仲間たち、沛県市内の祠堂にやたらと増えた縞模様の馬たち、多発していた人間の失踪事件……。
エニセイとベスミエルは事件を追い、羽人こと葛天の協力を得たことで、その元凶が曲娘の“無自覚な”神秘術「存思」であることを突き止める。
曲娘が造った酒にウッデンドールが浸り、それを人間が飲むことで縞模様の馬――「鹿蜀(ろくしょく)」に変化するようになること、酒屋の傍を流れる沛霖川の支流でウッデンドールが遊んで浸ることで下流にも「存思」の影響が出ていたこと、そして曲娘自身に神秘術が制御しきれておらず、酒を飲まずに浴びるだけでも神秘学家が変化するほどまでに影響力が悪化していたこと……。
葛天は彼女の骨相を読むことで既に事態を把握していたが、なまじ誤解を招くような行動を繰り返していたために彼の進言は周囲に聞き入れられず、ようやく真意が理解された時には旧年の除夜も終わりを迎えようとしていた。
事の真相に曲娘は全く身に覚えがなく、増えた鹿蜀は自分の“同族”だと感じて世話をしただけで、自分の酒で変化した人間たちだとは露ほども思っていなかったらしい。
曲娘に目を掛けていた里正が今までの経緯を問いただすと、祠堂の前任の執礼者を遠く離れた故郷に帰すために鹿蜀に変えたことを白状し、沛県市民を鹿蜀にしていたのも自由に行きたい所に行かせるためだったと主張した。
エニセイと葛天に諭され、人々を元に戻す方法をウッデンドールに訊き詰めるも、「方法はない」と断言し、詰問した周囲の人を悪者と判定したウッデンドールは大量に集まり、曲娘を取り込んで巨大な一対の「杻陽の獣」へと変貌を遂げてしまう。
(実戦はともかくストーリー上は)居合わせた人たちの協力で「杻陽の獣」が破壊された後、葛天は曲娘の骨相を読み「存思」の力が封印されていたことを告げる。
過去(『倉廩実ちて』より)
曲娘の母親は九代目の鹿蜀だったが、別れ際以外の記憶はない。
幼い彼女を連れだした白髪の「道士」は彼女を沛県の城門に置き、私情を捨て「祥瑞」になることで母親を理解できるはず――と言い残し去っていった。
牛車の荷台に紛れ込み、食物を盗み食いする乞児として沛県の金市を荒らしまわっていた彼女は法曹に捕まるが、彼女を見かねた里正の判断によりある酒屋を紹介される。
酒屋の女将「お許(きょ)」の下で住み込むことになった「九ちゃん」はそのお転婆さで周囲を賑やかすことも多々あったが、次第に素直で人当たりの良い人柄を持った女性へと成長し、いつしか「曲娘」の愛称で周囲から呼ばれるようになった。
当時の沛県には「禁酒令」が発布されており、月の半分が飲酒・酒の売買不可の休酒日に設定されていた。しかしそれでも酒を飲みたい人達の“抜け道”として、お許は醪(もろみ)を利用した「五穀焼き」を販売することで生計を立てていた。
酒場を開き、休酒日も五穀焼きを提供して飲兵衛を満足させるお許は、まさしく彼らにとっての「祥瑞」のような存在となっていた。
その年の朔日祭で行われた「合同競技大会」にて、曲娘は自慢の駿足を発揮して見事一位に輝く。一番手となった者には祠堂が願いを一つ聞き届けるのだが、曲娘は迷うことなく「禁酒令」の廃止を願った。実は禁酒令の廃止自体は裏で決まっていたとはいえ、その瞬間の彼女は紛れもない「祥瑞」であったことだろう。
そして朔日の前の日、願掛けをし壊れた橋に来たお許は曲娘に、酒屋を離れ沛県の外の土地を旅して周りたいことを語る。子供の頃から世界を旅する商人に憧れていたお許は、禁酒令が廃止されたことをきっかけとしてその夢をもう一度叶えようと決意したのだ。
母親、道士に続きまたも別れを経験することになった曲娘は、ウッデンドールに囲まれながら気晴らしの酒を飲んだ。お許の送別にも立ち会わずいずこかに去り、酒屋は他人が引き継いだ。
それから一年後、飲兵衛たちが未だにお許の酒を惜しむ中、曲娘は沛県に戻ってきた。
お許が営んでいた酒屋の現店主はとても杜撰な仕事をしており、提供する酒の品質も酷く閑古鳥が鳴きっぱなしだった。店主が店を畳みたい旨をぼやくと、曲娘は彼の憂いを晴らすためにお許が残していた酒壷を開封する。
その時、ウッデンドール達が酒壷に飛び込んだ。曲娘はあわてて彼らを回収するも一匹だけどうしても見つからず、その酒を店主が飲んでしまった。曲娘が自分の盃を取りに戻った時には店主の姿はなく、一頭の縞模様の馬だけが店内に残されていた。店主がいなくなったのを認識すると曲娘は「彼の願いを叶えた、彼の役に立った」と合点し、そのままお許の酒屋を受け継いだのだった。
曲娘は町の中で祥瑞の噂を、画集を、伝説を集めることで、必死に母親に追いつこうと努力した。
しかし結局はどこまでいっても猿真似でしかなく、「存思」の独り歩きを境に善意は空回りし始め、真の「祥瑞」への理解には遠く及ばなかった。
贖罪
朔日と立春が重なる百年に一度の「歳朝春(さいちょうしゅん)」を迎えた翌朝、偶然の事情により酒を飲まなかったため、唯一鹿蜀になることを避けられた法曹に見送られる形で、曲娘はある決意を固める。
それは洪水で壊れた橋を自力で跳び越えて淵寺(えんじ)のある向こう岸に辿り着き、願掛けを果たすこと。
ベスミエルとエニセイ、そして鹿蜀にされた人々がエニセイの神秘術を頼りに願掛けの内容を記入する中、曲娘は走った。
巻物を口に咥えながら、脚を踏み締め、一息に橋を跳び越えた。
その姿は、まさに伝説に知られた「祥瑞」の通り――
「心願成就」は成功し、鹿蜀にされた人々は元の姿に戻り、涸れかけた沛霖川の水位も増水し元の水位に落ち着いた。
曲娘はその後沛県に戻ることなく、草原を駆け抜け、聖パブロフ財団と接触することになる。
余談:ラスボス同士
Ver.1.2のイベントストーリー『レイクミドロの悪夢』に登場したジェシカとはかなり似通った点が多い。
- 曲娘は人と鹿蜀のハーフ、ジェシカは下半身が鹿。
- 広範囲に及ぶ神秘術で人間に被害を出していた。
- 価値観・判断基準が人外のそれであり、人間のために良かれと思って行動するが、その実人間の機微を全く理解できていない。
- ジェシカは人間社会から疎外されることを恐れていたが、曲娘は町の人から親しまれており、その点は対比的。
実際に曲娘の収録ボイスにはジェシカに言及した内容のものがあり、仲睦まじく接している様子がうかがえる。