概要
その数は、数え方にもよるが約9000点といわれている。
その多くは奈良時代のものであり、保存状態が非常に良い。
唐風の文化である天平文化を代表する物だといわれているが、実際は宝物の9割以上が日本製だと推測されている。
すべての宝物は宮内庁が所持していて、国宝指定されていない。宮内庁がしっかりと管理することで、宝物の破損・汚損や流出を防ぐことができるとされるためであろう。
現在は、宝物のほとんどが昭和に正倉院の東西に造られた鉄筋コンクリート製の宝庫である「西宝庫」と「東宝庫」に納められている。
毎秋に奈良国立博物館にて「正倉院展」という展覧会が行われている。
主な宝物
螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)
槽(背面)に螺鈿細工が施された琵琶。槽は、現在でも高価な紫檀という素材で作られている。名前の通り絃(絃というのは和楽器などの弦のこと)が五つあるのだが、五絃琵琶はこれ以外に現存しない。そのため非常に価値の高いものとされている。
また、紫檀は日本に生えていないため、唐製の宝物だといわれている。
正倉院を代表する宝物であり、正倉院展でも最高の人気を誇る。
蘭奢待(らんじゃたい)
タグを参照
瑠璃坏(るりのつき)(タイトル画像)
瑠璃(ガラス)で作られたコップ。瑠璃色(青に近い色)で、丸形の飾りが20個近く貼り付けられている。下半分の金具の一部は後の時代に作られたものだが、そのあとに元来の金具が見つかってしまい、修理が難しい状態となっている。ガラス製品は西域(中東、ヨーロッパなど)で流行したため、西域製といわれている。
鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)
当時唐で流行した樹下美人図(木の下に立つ女が描かれた図)の6扇の屏風。
鳥毛の名の通り、昔は鳥の毛が貼付されていたと思われるが、そのほとんどが欠落してしまっている。唐の製品を模したと思われる跡があるため、日本製とされている。
白瑠璃碗(はくるりのわん)
瑠璃で作られたお碗。褐色がかった透明で、六角形がカットされており、亀甲文様のようになっている。日本では、類似品が大阪府の伝安閑天皇陵から出土している。西域からも多く出土しているため、西域製とされる。出土した品はガラスが劣化しており、輝きを失っているので、今もなお輝いている白瑠璃碗は非常に貴重である。
国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)(別名:東大寺献物帳)
天平勝宝8歳(756年)、光明皇后が正倉院に納めた聖武天皇の遺品の一覧。
上質な和紙でできており、「天皇御璽」の印が一面に押されている。
巻頭及び巻末には光明皇后の祈りが書かれている。
非常に保存状態が良く、書かれている宝物も少なからず残っているため、それ自体に価値があるだけでなく、ほかの宝物の価値を上げているともいえる。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
正倉院御物(戦前までの呼ばれ方。)
関連タグ
外部サイト
外部リンク(正倉院公式ホームページ。宝物の検索ができる。)