灰仭巫覡
かいじんふげき
敵は天災。抗うは少年少女。
始まりはいつだって燃え上がる。
いつか必ず灰になるとわかっていたとしても。
日本のある田舎里に暮らす二人の少年、仭とガオが真夏の暑さにうんざりとしているところ、御陵姉妹ら地元の少女達から水遊びに誘われる。
べたつく熱から解放され、みんなで楽しく遊んでいたその時、警報が里中に鳴り響いた。
“夜”が来たのだ。
“夜”。かつては自然現象と思われていた天災。ソレはある日突然、暗闇と共に人々の目に映る形を成して顕れるようになった。
仭達の里に顕れたのも、その天災の一種“ヤロカの夜”と呼ばれるモノ。巨大な水の塊の濁流となって襲いくるソレから少女の一人を庇い、しかし一緒に呑み込まれてしまうガオ。
息ができず、意識が暗闇に落ちていく最中、ガオは走馬灯のように10ヶ月前の記憶を遡る。
自身の故郷だった大英帝国。多くの民が暮らす大きな国が、突如顕れた異常気性“颱の夜・キャサリン”によって滅ぼされた事を。
そのあまりにも大きすぎる“夜”を喰い止めるため、たった一人で立ち向かった母の事を。
彼女のお陰で生き延びたガオは日本に渡り、そして出会った。
“夜”を鎮めるためにその身に神を降ろす巫覡であり、信頼すべき少年───仭に。
蛙の姿をした河の神を食らい、その身に宿した仭によって少女と一緒に助け出されたガオは、彼と共に神楽を舞う。時を同じくして、御陵姉妹は巨大な日本刀“祟り刀”に祈りと唄を捧げる。
そうして顕れたのは、八本の腕を持ち、翼の生えたいくつもの蛙を従え、“祟り刀”を携えた顔が蛙の巨人だった。
少女達を、里を、何より日常を守るため。
“夜”という災害に、少年少女は立ち向かう!
- 仭(ジン)
本作の主人公の一人。
その身に神を降ろす巫覡の少年。
- ガオ・グレイシューマン2世
本作の主人公の一人。
降神師団の現師団長で、仭と共にその身に神を降ろす男。
- 御陵フユ / ナツ
同じ体を共有する姉妹。
ガオや地元の者からは、御陵様と呼ばれている。
- トト
ガオと共に日本に来た猫。
- ミカイェ
ガオと共に日本に来た、降神師団少佐の女性。