説明
熱帯・亜熱帯の海上で発生する低気圧の総称。略称は熱低。強風、大雨、波浪、高潮などを伴い、気象災害をもたらしやすい。英語では「Tropical cyclone」という。
台風のエネルギー源は海上の水蒸気が凝結して液体の水滴になる際に放出する潜熱で、これが温帯低気圧との大きな違いである。このため水蒸気が乏しい陸上や冷たい海面上ではエネルギー不足で衰えやすいが、構造が温帯低気圧へ変化して引き続き存在する場合もある。
発生には地球のコリオリ力も必要なので、赤道に近すぎても発生しない。また熱低のまま赤道を越えることはない。
呼称
台風 - 北半球のうち東南アジア~経度180度(正確には北西太平洋または南シナ海)に存在し、低気圧域内の最大風速が34ノット(約17.2m/s)以上にまで発達した熱帯低気圧。
ハリケーン - 北半球のうち経度180度~大西洋東岸+南大西洋(正確には太平洋北中部(180度~西経140度の北太平洋)太平洋北東部(西経140度より東の北太平洋)、大西洋北部(カリブ海・メキシコ湾を含む北大西洋)、大西洋南部 (ただし、ほとんど発生しない))に存在し、低気圧域内の最大風速が64ノット(約33m/s)以上にまで発達した熱帯低気圧。
サイクロン - 上記以外の海域(正確にはインド洋北部・インド洋南部・太平洋南部)に存在し、低気圧域内の最大風速が34ノット以上にまで発達した熱帯低気圧。ただし、英語の「Cyclone」は、低気圧、暴風全般を指す語でもある。
このように、熱帯低気圧は、発生域や強さなどに応じて異なる呼び方をされるが、本質的には同じ気象現象とみなして良い。熱帯低気圧が呼称が違う海域へ移動するとその呼称も変わる。特に台風と呼ばれる海域へ移動してきたハリケーンやサイクロンは越境台風と呼ばれる。