白雪姫と七人の小人
しらゆきひめとしちにんのこびと
暗闇が広がる、深い森の中。道を進んでゆくと、七人のこびと、そして毒入りのリンゴを売る魔法使いのおばあさんが次々と…。
さて、白雪姫の運命は?無事に森の道を抜けられるのでしょうか?
東京ディズニーランドを始めとした世界各地のディズニーランドに存在する、名作"白雪姫"をテーマにしたライド型のアトラクション。ディズニープリンセスの元祖とも言える白雪姫が主役として登場するファンタジックな世界を楽しめそうな名前をしているが、実際には骸骨や顔のある樹木が待ち構える暗闇の中、白雪姫に毒入りのりんごを食べさせた魔女がゲストに迫り来るという、非常に恐ろしいものとなっている。
お化け屋敷のようなアトラクションとしては、幽霊屋敷の亡霊たちが登場する"ホーンテッドマンション"が他に存在している。しかし、時々亡霊たちがユーモラスな一面を見せたり、おぞましくもどこか楽しそうな名曲"グリム・グリニング・ゴースト"の大合唱が終盤を飾るのに対し、こちらには楽しそうな場所の雰囲気や名前との大きなギャップ、ガタガタ音を立てながら急カーブが続く不安を感じさせる乗り物、BGMや優しいこびとたちと白雪姫の出番が一瞬のみ、そして最後は悪い魔女に岩を頭上から落とされるという、子供どころか大人にとっても恐ろしい要素がたくさん込められたものとなっている。
(一応待ち列には「怖い魔女が登場します 小さいお子様はご注意ください」という注意書きの看板がある)
ここまで怖いと言われるようになってしまった原因として、以下のような理由がある。
その1:ゲスト自身が白雪姫となる
このアトラクションは当初、乗り物に乗ったゲスト自身が主人公になるというコンセプトの元で作られた。つまりゲストが白雪姫であるので、当初は白雪姫が登場しない形で作られたのである。その後、これを読み取ることができなかった体験者から「何故白雪姫が登場しないのか?」という疑問の声が多く出たため、後付けで白雪姫が登場するシーンが加えられた。
このため、白雪姫やこびとたちより悪い魔女などが現れる恐ろしい場面が多くなっているのである。
その2:日本版の名称が誤解を生んでいる
東京にあるものの元となったアメリカのディズニーランドでは、このアトラクションの名称は"Snow White's Scary Adventures"(白雪姫の恐ろしい冒険)となっていた。この名前なら、悪い魔女といった何かしら怖い場面が登場することが予想できるであろう。
※アメリカの元祖ディズニーランドにあるものは2021年に"Snow White's Enchanted Wish"(白雪姫の願い)に名称が変わり、内容も原作のハッピーエンドまでが描かれたものに変更された。
しかし、東京ディズニーランドの開園と同時に日本へ輸入された際には題名が"白雪姫と七人の小人"という原作の名前を直訳したもので銘打たれ、怖い場面が含まれていることが予想しづらいものとなった。これにより、「楽しそうな題名に惹かれて乗ったら甲高い笑い声をあげて迫る魔女の前に思わず泣いてしまった」という事態が起こるようになってしまったのである。
世界で最初に開業したアメリカ、アナハイムのディズニーランド版は前に述べた通りに名前と内容が恐ろしいものばかりではないものへとリニューアルした。日本版の元となったアメリカのもう一つのパークであるマジック・キングダムにあるものは、最初と最後に白雪姫が登場して王子様のキスで目を覚ます場面も加えられた後、2012年にクローズしている。パリのディズニーランドでも同様のリニューアルが行われた一方、東京ディズニーランド版は現在もなお、恐ろしい内容のままで営業を続けている。