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概要編集

りぼんにて2012年~2013年に連載。りぼんでは珍しい、現代を舞台としない作品である。


物語編集

1902年(明治35年)、埼玉県与野(現在のさいたま市)の村に住む13歳の少女・穂積きょうは、盲目の母の目を治すための薬が東京にある事を知り、そのお金を稼ぐために、次兄の柵太郎に送られて東京の三室堂に旅立つが、途中で兄と逸れてしまい、大弱り。そんな彼女の前に奉公先の養子の観月_慧一郎という青年と出会い、三室堂に到着して、無事に次兄と再会を果たすが、なんと奉公先の女将は男子を欲しがっていたのだ。更に穂積家に前金の300円の借金を抱えている事を知る。それでもきょうは懸命にここで雇ってくれるように頼み、特別に奉公を許してもらい、三室堂で働くのだった。

登場人物編集

主要人物編集

穂積《ほずみ》きょう

本作の主人公。与野の村の穂積家の第3子かつ1人娘。13歳。元は由緒ある家柄だったが、時代が明治に変わって家名が没落してしまい、父を病で亡くしてしまい、それからは盲目の母や2人の兄と貧しい暮らしをしている。そのため、ろくに教育を受けた事がなく、字を読む事も書くことも出来ず、最初のお使いでそれで失敗をしてしまうが、三室堂の養子の慧一郎の手習いで、徐々に上達する。性格は明るく前向きで、物語後半では、恋に悩む大宮家の令嬢・季由乃を励ました。

東京に盲目に聞く、薬があると知り、そのお金を稼ぐために東京の三室堂に奉公にいく。担当は家事全般で時には、慧一郎のお供もする。また絵を描くことが出来るので第4話ではそれで彼の学校の用事の手伝いをする。

物語で、圭一郎の幼馴染でおかかえ作家の佐助に想いを寄せられる。しかし彼女は圭一郎に好意を抱いている。

一度は女将に藪入りを貰い、大宮家から解雇された軍を家族に紹介するために与野に連れて帰るが、母は消息不明になり、兄達もそれぞれの炭鉱に奉公に行ってしまったことで離散してしまい、悲しみに崩れて折角の藪入りが無駄になってしまい、迎えに来た圭一朗によって店に引き返して、引き続き奉公することになってしまった。


観月《みつき》慧一郎《けいいちろう》

本作のヒーロー。17歳の名門一高の学生。三室堂の養子で、三室夫妻の友人の息子。幼少時に両親を亡くしてしまい、同じ頃子供を亡くしてしまった三室堂に引き取られる。頭がよく、ろくに教育を受けてもらえなかったきょうに手習いを教えている。運動神経も抜群で力も強く、序盤では引ったくり犯を投げ飛ばす活躍をみせる。その反面、好奇心旺盛で時折、近くの農家の市民の服を着て、子供達と遊んだり、冒険したりしている。時折、佐助やきょうもつれている事もある。天然ボケでいつも佐助に突っ込まれている。

大宮家の令嬢を上海に行かせてしまったことで、その償いとして軍に志願する。その時の士官学校の手続きに行った際に、きょうの次兄の柵太郎から家が離散してしまったことを聞いて、大慌てで与野まできょうと軍を店に連れて帰る。

その後きょうたちと外出を満喫して、戦争に出向く。そしてその4年後に店に生還する。


佐竹《さたけ》佐助《さすけ》

三室堂のおかかえ作家で、作家名は佐竹名月。17歳。三室堂の裏の長屋に住んでいるが、時々店に来る事がある。慧一郎とは幼馴染で、幼少時に親兄妹弟を流行り病で失い、三室堂に来て、その店主である京蔵に雇われる。

性格は少々荒っぽくガサツで、いつも慧一郎に突っ込みを入れるが、時には怒られることもある(お使いで長屋を訪ねたきょうを慧一郎と間違えて投げ飛ばした際には拳固をもらい、きょうを小僧呼ばわりした際には頬を抓られた)。また、近所からは佐竹の黒鬼に間違われてしまうほど、恐ろしいが、根は優しい。

たまに休みには慧一郎ときょうと花合わせをするが、花合わせは弱い方。また時折、外出されることもある。きょうに対しては最初はツンデレな態度を取っていたが、次第に好意を寄せるようになる。

その4年後も店に来ている。


軍《ぐん》

大宮家の幼い下男。五歳のときに、兄の陣と共に大宮家に奉公に出て、兄は季由乃の教育係として彼女に勉強を教え、軍は下男として働く。しかし、兄と季由乃が恋に落ちてしまった際に、当主によって兄は解雇されて、上海に旅立ってしまう。そんなときに、大きくて大人しくて優しい犬と出会い、陣と名づけて屋敷で飼う。現在は番兵にいつも苛められている(きょうは初めてのお使いで、屋敷の勝手口で番兵に折檻されていた彼を見かけたことがある)。

季由乃に好意を抱いており(それでも兄を気遣う)、彼女を喜ばせるために、三室堂の庭を訪れて慧一郎にシャボン玉を見せてくれるようにお願いする(このとききょうは軍が佐助の知り合いと思い、このときは彼を覚えていなかったが、季由乃の花の品評会の会場の裏で彼の片腕の傷跡を見て思い出した)。

終盤では、季由乃と共に上海に旅立つはずだったものの父の大宮を足止めして、彼女のみを行かせてしまったことで、大宮家に帰れなくなってしまい、そのまま三室堂で働くことになってしまった。きょうの藪入りに同行するが、きょうの家族は既に離散してしまい、2人共圭一朗によって店に帰ってきた。

その4年後でも、三室堂で働いている。


陣《じん》(犬)

大宮家の飼い犬。表情が軍の兄・陣にいている事から、彼に飼われる。殆どの時間は彼と行動を共にする。軍が大宮家に帰れなくなったと同時に三室家で飼われることになった。

きょうから言えば、『顔まで軍と同じ』らしい。


主人公の家族編集

陣《じん》

軍の兄。嘗ては季由乃の教育係を勤めていた。しかし彼女と恋に落ちてしまい、上海に追い出されてしまう。

後に後を追ってきた季由乃と再会を果たして、そのまま上海で駆け落ちする。


穂積家編集

穂積《ほづみ》武朗《たけお》

きょうの長兄で穂積家の第1子。穂積家の父親役。きょうの奉公の際に父の形見の羽織を与える。

きょうが薮入りで帰ってきた際には、鉱山に奉公に出る。


穂積《ほづみ》柵太郎《さくたろう》

きょうの次兄で穂積家の第2子。父の形見である羽織を大事にしていたが、妹を奉公先に送り届ける前に彼女に渡ってしまう。序盤では妹を東京の三室堂に送り届けようとしたが、西洋時計に見とれている間に逸れてしまい、再会した際には号泣した。きょうが前金の300円の借金が有った事を知ったときは、何も言わず三室堂に預けて村に帰ってしまう。

後に兄とは違う鉱山に奉公に出ようとした際に、士官学校の手続きをしようとしている妹の奉公先の養子の慧一郎に事情を話して、妹を託す。


穂積夫人《ほづみふじん》

きょう・柵太郎・武朗の母。盲目だが好奇心旺盛で、おせんべつの際に娘の(ボロ)布団で作った綿入れ(その仮縫いには問題の前金が入ってあった)を贈り、自分の代わりに東京の景色をたくさん見てきて欲しいとお願いする。

後に誰にも行き先を告げずに村を去り、消息不明になってしまう。


三室堂編集

三室《みむろ》京蔵《きょうすけ》

慧一郎の養父で三室堂の店主。家族を流行り病で失った佐助を雇った張本人。


三室《みむら》沙々《ささ》

慧一郎の養母で三室堂の女将。一家の大事な養子である慧一郎に可笑しな虫がつかないように、女性の奉公は取らないため、きょうが三室堂に奉公に来たときには当初は反対したが、きょうの熱意に負けて、彼女を雇う。怒るととても怖く、数多くの下男を折檻してきた事はあり、慧一郎の腕白振りにも手を焼いている(かつて幼少時代の慧一郎が佐助とともに、下手人を抑えようとしたときは絞りだした)。また犬も苦手で、見ただけで失神してしまう。このため、圭一郎は大宮家の令嬢の季由乃と軍(季由乃が軍の連れの陣と一緒に住むため)の同居には問題を抱えていた。


大宮家編集

大宮《おおみや》季由乃《きよの》

大富豪の大宮家の1人娘。17歳。軍や陣と大の仲良し。

母とともに浅草の食堂で、きょうたちを見かけて彼女達と仲良くなる。

慧一郎の見合いの相手。しかし当の本人は軍の兄の陣と恋仲で、終盤ではきょうたちの活躍で見事に上海に向かい、彼と感動の再会を果たして上海で駆け落ちする。


大宮《おおみや》

季由乃の父。軍や陣を雇った人物だったが、陣が娘と恋に落ちてしまい、軍がそれを応援したために、彼らを解雇する。


大宮夫人《おおみやふじん》

季由乃の母。きょうの前で三室堂に丁稚奉公の話をしてしまうが、すぐに謝る。


関連項目編集

明治

りぼん花札

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