作品概要
DMMゲーム『天穹ノ彼方の錬星郷』の二次創作長編。空中都市の外を守る大型空中母艦『エウノミア』を舞台として、雲海の上でタナトスたちと戦う錬成術師たちを描く。二次創作ではあるが、主要な登場人物は作者のmakotoさんがキャラクター案を募集した上で設定をつくられたものであり、原作における空中都市やエナジーといった世界観以外はすべて作者のオリジナルである。
用語
対タナトス派遣部隊独立飛行分隊『エレテー』
ソラカナ本編でも登場した対タナトス派遣部隊という組織の中で、特に空中都市圏外での物資輸送や警護を専門とする部隊。防衛部隊に属する一般的な戦技錬成術師と異なり、指揮権限が大きかったり、後述する「アルクトス」と呼ばれる専用武装が一人一人に特注で割り当てられたりと公的な待遇は非常に良い。反面、言わば人類の領域から隔絶されたエリアでの過酷な任務のために人員の生還率は著しく低い傾向にある。
大型空中空母『エウノミア』
エレテーの本拠地であり、空港としての役割を担う巨大な飛行船。要人の警護通常のターミナルでは扱えないような機体の管理、運行を主な任務として扱っている。黒色の広い甲板をもっており、その上で運動競技会などの催し物が行われることもある。
アルクトス
エレテーの隊員一人一人に特注で製造される錬成武装で、武装の形態は様々だがすべてに共通する特徴は超音速での長距離飛行が可能であるという点。一般的な戦技錬成術師が用いる錬成武装が一つの錬成核から錬成されるものであるのに対し、アルクトスは1機に7つの錬成核を搭載して高出力・高精度のエナジー運用を可能にしている。当然、それだけの装備を製造するのにかかるコストは莫大なものであり、それを託されるエレテーの部隊員は全員難関の試験を潜り抜けた一握りの天才たちということになる。
登場人物
【エレテー部隊員】
月暈 天音（つきがさ あまね）
本作の主人公。伍班護衛目標直掩担当。金色のロングヘアを両サイドでゆるく束ねた、幼なげの残る少女といった容姿。エレテーにおいては新人という自分の立場に相応しい謙虚で勤勉な態度を取っているが、時折おぼろげに思い出される過去のトラウマのためか直情的な命令違反や単独行動をすることがある。幸い8話時点ではこれが原因での大きな損失は出ておらず、好ましい戦果も上げているため軽い注意や短期の懲罰程度で済まされている。私生活では流行りのカフェやアイドルなど年相応の趣味をしており、可愛いもの好きゆえの愛情の大半はルームメイトのリーリヤに注がれている。
リーリヤ・クライネフ
伍班直掩射撃担当。銀色のストレートの長髪に金色の瞳をもつ、学童と見間違えられてもおかしくないほど小柄な少女。能動的にコミュニケーションを取ることは少なく表情に乏しいが近寄り難いというわけではないようで、本人の純粋無垢な気質もあって天音を中心に隊の多くに人物から小動物のように可愛がられている。
※担当した榎津まおさんは天穹ノ彼方の錬星郷本編でも何名かのキャラクターのボイスを担当している
ソフィー・クライネフ
エレテー隊長。長いウェーブのツインテールを腰まで垂らした少女のような容姿だが、事情により身体の成長が止まっているらしく見た目に反して実年齢は隊の中でも年長の方。普段は銀髪であるが、周囲の人間が発するエナジーに応じて髪の色が変わるという体質の持ち主。言動と振る舞いは隊長らしく冷静で厳格。殉職した隊員の遺族に直接挨拶に出向くなど誰に対しても真摯な態度を崩さない人物である。戸籍上はリーリヤの親ということになっているが、これはソフィーがリーリヤを養子として引き取ったためであり実際の血縁関係は無いとされている。見た目があまりにも美少女のため乗組員の中にファンも多く、クリスマスパーティや運動会などの際には熱狂的な視線を向けられることもしばしば。
花冷院 芹（かざのいん せり）
エレテー副隊長。緑に黄色のメッシュが入ったストレートの長髪をもつ、背の高い落ち着いた雰囲気の女性。私情を出すことは滅多に無く副隊長としての姿勢を固く守っており、ともすれば冷酷ともいえる振舞いを仲間に見せることもある。
水雲 桟（みぐも えつり）
壱班サポート担当。濃紺に白のメッシュが入ったボブカットの短髪で、瞳の色は紫色。制服を着崩していたり戦闘中でも軽口を憚らなかったりと隊員としての態度は不真面目だが、裏を返せば常に自然体で任務行動をこなす実力者。過去に同じ部隊にいた妹を喪っている。
桜庭 雪子（さくらば ゆきこ）
壱班直掩護衛担当。薄桃色のボリュームのある長髪をもつおっとりとした雰囲気の女性。印象の通り天然で世話焼き気質なお姉さんといった人物像だが、平時でも常に身に着けている身の丈を超えるほどの薙刀が異質な存在感を放っている。悠久都市でも有数の旅館を経営する家のお嬢様という出身だが、過去に悠久都市で起こった不祥事の賠償という形で15歳という最年少でエウノミアに搭乗することになった過去がある。それから5年の間生存しているという事実は彼女の実力を裏付けるものである。
白兎 ヒトミ（はくと-）
壱班中衛制圧射撃担当。長いストレートの黒髪で、普段は義眼の左目を閉じている。砕けた口調で人との距離感が近く、特に同班の璃風に対しては仲間や友人といった関係を越えたレベルのスキンシップをしておりそれは人前であろうとも憚られることは無い。
璃風・イースティア（りか-）
壱班中衛直掩担当。青緑のパステルカラーに近いセミロングの髪に青い瞳をもつ、淑やかな雰囲気の女性。バディを組むヒトミとは対照的な性格で、ヒトミは外面が接しやすいが内面は計算高い人物だとするなら、璃風が外面はミステリアスだが内面は優しく純粋であると言える。
エデルガルド・ヴァール
壱班遊撃護衛担当。小柄で童顔ではあるが、黄色と白のロングヘアに金と水色のオッドアイという容貌に加えて、ファッションモデルのような見栄えのする服装を着こなすため本人の派手好きな性格によく合っている。周囲の人物への洞察力と判断力に長けており、戦闘以外でも様々な面で要領が良く多才で、おだてられると調子に乗る性格を天音に利用されクリスマスパーティの幹事を引き受けた際にはその辣腕を遺憾なく発揮した。恋愛対象として見るのは男性よりも女性で、以前璃風と交際していたが現在は振られて独り身。
カタラ・アレフガッド
弐班中衛制圧射撃担当。外側に跳ねた鮮やかな赤色の長髪をもつ、実務経験2年の実力者。大柄な体格と男勝りの豪胆な性格で、まさに『姉御』という雰囲気の女性。
オルエッタ・フリングス
弐班直掩護衛担当。ばっさりとした銀の短髪に金色の瞳をもつ小柄な少女。体格はリーリヤと似ているが性格は対照的に無感情で無愛想。暇な時間はずっと窓の外を眺めているなどやや不思議な行動が目立つが、話しかけられればちゃんと反応を示すあたり部隊内での交友関係を拒絶しているわけではない。戦闘以外のことについては非常に無頓着で、第1話後編にて緊急任務の発令を聞くなりアルクトスの格納庫と発艦ハッチを破壊して真っ先に出撃した。特筆すべきは本人の戦闘能力の高さであり、部隊内でもトップクラスの実力を持つ。彼女の集団行動における問題点が重要視されないのは、逆を言えば単独での遂行能力の高さの裏付けでもある。
ファナ・ラムティック
弐班技術サポート担当。白煌都市上流階級の出身で、肩口くらいの藍色の髪に爛々と見開いた垂れ目が特徴。他人に対して気配りをする必要性を感じないと言うくらいには対人関係にルーズだが、電子部品や機械系統に目が無く、そういった作業や話題に触れる際は一転してかなり興奮気味の口調になる。
ウィアド・ノーレッグ・プライド
弐班特殊サポート担当。赤い瞳と紫色の長めのローツインテイル。笑い方が気持ち悪いタイプの所謂陰キャで、下世話な噂話を口にしたりとデリカシーの欠けたところがある。先天的に四肢と視力に問題があり、身体の多くを機械部品で補っている。入隊時期が近いということもあり天音と仲が良くなった。
深音・トランスペアレント（みおん-）
参班の制圧射撃担当。鮮やかな赤色の瞳と同じ色の髪をポニーテイルにまとめた容姿をしており、グラマーな見た目に反して人懐っこく軽いノリを好む。大きなヘッドホンを常に首にかけていたり、戦闘中でも好きな楽曲を聴いていたりと音楽についての関心が強く、エレテー入隊前はアマチュアながらバンドでギターを弾いていたとのこと。
青江 七華（あおえ ななか）
参班の直掩護衛担当。深音とバディを組んで出撃することが多く二振りの刀を用いた近接戦闘を専門とする。深緑色のショートヘアに大きな丸眼鏡。落ち着いた雰囲気の人物のように見えるが、命のやり取りを楽しんでいるかのような物騒さが言葉の端々から垣間見えることがある。訓練室で天音とやや本気の斬り合いをして以降、彼女のことをいたく気に入っている。
リベルタ・フェレス
参班サポート担当。ブルーグレーのセミロングをしており、引き締まった肉体と高い身長も相まってスポーティな雰囲気の女性。パルドウェンと名付けられた豹を相棒として引き連れており、エウノミア内ではその存在が何よりの目印となる。
エルデ・ウォルコット
参班の制圧射撃担当。水色のショートヘアに、ツーポイントの眼鏡をかけている。桟から『委員長』と呼ばれるように真面目で堅物なところがあり、エレテーとしての規範や風紀を重んじるようにカタラなどを諫めることも多い。カタラ、リベルタとは同期で仲が良い。
ナターシャ＝コロプチェンコ
参班特殊サポート担当。肩まである紫色のセミロングに閉じられた糸目が特徴。煽情的な服装で艦内を立ち歩く色情魔。
イェリア・エスト
伍班前衛担当。入隊3ヶ月。暗い黄緑の短髪、紫色の瞳をした小柄な優しげな女性。先輩であるカタラにいたく気に入られており、距離感の近すぎる悪ふざけのようなスキンシップも甘んじて受け入れている。
第一話にて天音の初の実戦に同伴した際、作戦空域に迷い込んだ民間機を救助するため単独で部隊を離脱、交戦中に死亡。
【エウノミア乗組員】
エレテーに所属していないエウノミアの乗組員たち。飛行分隊（エレテー）以外にも様々な部署があり、警備部、ブリッジ（オペレート）、整備部、経理部など多様な専門職員たちによってエウノミアは運営されている。
都巳 響稀（とみ ひびき）
エレテー専属オペレーターの1人。短く揃えられた黒髪をした人当たりの良い雰囲気の女性で、オペレーター本業の耳に心地よい声が特徴。天音が着任した際に最初にエレテーを案内して以来たびたび天音とコンタクトをとる機会が多く、その度に彼女に安心感を与えている。
ミカエラ・フォールン
エウノミアでアルクトスを含めた装備、艦の整備修理を担当する整備部隊の部隊長。長い金髪を後ろで一本に結った少女のような容姿だが、第二世界出身者の特徴として見た目よりも年齢が高いことを自ら語っている。同じ機械の専門家ということでファナとは顔を合わせる機会が多い。
几 巳虎（おしまずき みとら）
エウノミアの艦長ではあるが、破天荒でガサツな振る舞いが目立つ人物。鮮やかなオレンジ色のボリュームがある髪と真っ赤な虹彩の鋭い三白眼が特徴。元老院第三席分家の出身。新人時代からソフィーを見ているため仲は深く、クリスマスパーティの際には悪ふざけでソフィーに乗組員へのファンサービスを強要した。
檍（あおき）
艦長室にて巳虎の補佐をしていると思われる黒髪の青年。
巴 綾子（ともえ あやこ）
衛生部隊の部隊長で、エウノミア医務室の主。短めに揃えられた薄水色の髪と、鋭いツリ目をしており、どこか気の抜けたような雰囲気をしているが医師としての務めはしっかりしておりよく怪我をする天音を気にかけている。
【エウノミア警備部隊】
エレテーとは異なりエウノミアに駐在する戦闘部隊。とはいえ戦力的にエレテーに及ぶものではなく、エレテーに志願し採用に至らなかった者や一線を退いた者が配属されるケースが多い。
篝灯 観鈴（かがりび みすず）
赤い髪の小柄な少女。熱くなりやすい向こう見ずな性格で、天音を筆頭にエレテーの隊員に対する対抗心を常に燃やしており、同僚たちの静止も効かずよく突っかかっている。どれだけ手痛い注意を食らっても折れない向上心はいい意味でバカと呼べるものである。
紅藤 夏耶之（くどう かやの）
癖毛のある赤茶のセミロングの女性。常に行動的な観鈴とは対照的に内向的で弱気な性格をしており、何かあるとだいたい観鈴の代わりに頭を下げている。露骨にネガティブな雰囲気を纏っているわけではないが、普通のやり取りの端々から自己評価の低さが窺える。
紅露 美甘（こうろ みかも）
桃色の短い髪をした女性。前述の二人と行動を共にしていることが多く、夏耶之とは異なり観鈴をしっかり叱るタイプ。警備部隊の中では一番常識的な感性を持ち合わせており、ある意味でバランスを取るような存在になっている。
瑠璃音・フォン・ネイボンス（るりね-）
警備部の部隊長。長い金の髪に鋭い瞳をもつどこか底知れぬ不敵さをもつ女性。格調高いインテリアや詩的な言い回しを好むなどつかみどころのない文化人のような性格をしており、戦闘や勝負事においても享楽的なところがある。部下である三人との関係は良好であり、自室での茶会に招いたり積極的に誉めて伸ばす一方で、観鈴ですら彼女の諫言は素直に聞くあたり上司としての威厳もきっちり見せているようだ。
【その他の人物】
シエラ・ミキフェルド
対タナトス派遣部隊中隊長で、天音の元上司。パステルグリーンの淡い色彩の長髪の大人の女性。ソフィーとリーリヤと共にカフェの席を囲んだ際には異常な量のスイーツを平らげていた。
龍宮 翠子（りゅうぐう みどりこ）
シュテファニー＝アルテンブルグ
ナターシャ、巳虎、綾子らと共に同級生であり、それぞれエレテー初代隊長とアルクトスの開発者。現在は存命していないと思われる。
桜庭 幸一（さくらば こういち）
桜庭雪子の弟で桜庭家の次期当主。天音のことを姉を通して聞かされており、天音と出会った際には天音の頼りなさを非難するような辛辣な態度を取った。雪子が彼にするようなベタベタとした愛情表現をするタイプではないが、彼なりに姉のことを非常に気にかけており、姉を売った実家そのものや姉を危険に晒すエレテーに対して良い感情を持っていない。
