概要
映画会社「銀映」の看板女優。誕生日は関東大震災と同じ日。
地震には縁があるのか、彼女の人生の大きな転機には地震が起こっている。
鍵の君と運命的な出会いをし女優になり、スターとなるが突然の失踪をする。
女優業を引退してから30年後。
彼女は小さな映画製作会社の社長である立花源也のインタビューを受け、鍵の君との思い出を語り始める。
人物
映画会社「銀映」の看板女優で、日本映画史上にその名を残す大女優だった。
映画の中で女優としてさまざまな時代を生きながら鍵の君を探していたが、40代ごろに起きたとある出来事から30年行方知れずとなる。70代になり、映像制作会社の社長からインタビューの依頼を受け、自身の人生を語ることにした。
彼女自身の人生と、映画の中で彼女が演じた人生が入り混じり、それはまさしく「千年もの時をかけて鍵の君と呼ばれる男を探す」という壮大な物語となっていく。
作中で確認できる彼女が演じた役柄は、満州で想い人を探す看護師から始まり、戦国時代の姫君、室町時代のくノ一、幕末の遊郭の太夫、大正時代のはいから女学生、現代の女教師、そして近未来の宇宙飛行士などなど、年代時代を問わない。
過去(彼女の人生)
昭和の名女優としての『藤原千代子』は、関東大震災と同じ日に生まれる。
そこそこ大きな商家の娘として生まれた彼女は、生まれたその日に父を亡くして、その後は不自由なく暮らしていたが、女学生時代のある日、彼女は映画会社の社長に女優としてスカウトされる。
母からは女優になることを反対されていたが、そんな中思想犯として憲兵に追われていた画家の男を成り行きで匿ってしまう。
思想犯の彼に恋をした彼女は、名前も知らない彼から『大切なもの開ける鍵』として、一本の鍵を彼から手渡される。
それから程なくして、憲兵に見つかりそうになった彼は番頭の手引きで逃され、そのことを知った彼女は最後に彼と一目合い、彼に鍵を返す為に彼を追いかけて駅まで行く。
しかし、一足遅く、彼を乗せた列車は、追いすがる千代子を置いて走り去ってしまう。
千代子は、『鍵の君』と呼び慕うようになった彼を追いかける為、『鍵の君』が向かったと思われる満州に行く為、満州での撮影を控えていた映画に出演するため、女優になる。
満州では結局『鍵の君』に会えずに終わり、その後、日本は戦争に突入する。
戦後の焼け野原で、千代子は焼け残った家の土蔵に残されていた『鍵の君』が残した自身の壁画を見つけ、『鍵の君』に自身の居場所を伝える為に、その後も女優として活動する事を決める。