概要
一般的には要塞に設置された大砲の事を指す、また沿岸要塞で対艦・水際防御に使われる沿岸砲も含まれる。特徴として、移動することを考えなくて済むため大口径の大砲であることが多い。
要塞建築技術と大砲の目覚しい発展が行われた18世紀以降にみられ、世界各地で普及する。しかし当初はただ大砲を置いたむき出しの状態であったため、狙い撃ちにされて破壊される率が高かった。しかし19世紀後半になると機械技術が進歩し、複雑な駆動が可能になった為。普段は地中に隠し、必要に応じて地中より出現させるという隠顕式が用いられたケースが多くなる。
20世紀になると海軍力が重視されるようになり、沿岸要塞などには隠顕式を無視して大口径の砲が備え付けられることが多くなる。隠す代わりに鋼鉄の頑丈な天蓋の覆いで防御力を向上させ、艦砲のように旋回が可能にすることで汎用性を上げるなど大きく発展する。なかには大破・沈没した戦艦・巡洋艦の艦砲を備え付けたケースも多くある。しかし20世紀後半になると航空機の発展など軍事技術の進化から要塞自体が衰退し、それに伴い要塞砲も消滅する。
日本軍も要塞砲を運用しており、中でも日露戦争で用いられて有名な二十八糎砲は、元は日本本土主要地の沿岸に備え付けられた要塞砲である。また、壱岐・対馬にはワシントン海軍軍縮条約で建造が中止された巡洋戦艦赤城・戦艦土佐に搭載予定だった41cm砲が要塞砲として配備されている。