霧越未麻
きりごえみま
「あなた、誰なの?」
CV:岩男潤子
今敏初監督作品「パーフェクトブルー」の主人公。
本心との乖離
ドラマは回を重ねるごとに少しずつセリフが増えていったがレイプシーンを演じる事になり、女優になる事自体に反対したマネージャーのルミは猛反対する。
しかし未麻は気丈にも了承、事務所の方針を飲み込み、未麻は自分を納得させるも、電車の窓に映るアイドルの自分は「絶対嫌だ」と叫ぶ。
もう一人の自分
そしてレイプシーン撮影が始まり凌辱されるシーンを何度も撮影される。ルミはいたたまれなくなり現場から出てしまう。撮影は無事終了するも部屋に戻ると未麻は本心が爆発し「やりたくないに決まってる。皆に迷惑かけられない」と泣き叫び暴れてしまう。
そこにアイドルの自分が現れ「あれが望んだ仕事?最低」と嘲笑う。
撮影と錯乱
新生チャムが着々と人気を伸ばしている頃、未麻はヘアヌード写真集でイメージ脱却を図る。撮影で全てをカメラマンの前に曝け出して仕事に望むが、あまりの恥ずかしさと侮辱感に家のバスタブの中で悔しさを絶叫する。
レイプシーン、ヘアヌード写真集とアイドル時代からは考えられなかったような仕事を迫られた未麻はドラマでの人気とは裏腹に、今の仕事は自分の望んだことなのか苦悩し、精神的に追い詰められる。そしてアイドル時代の自分の幻影に怒り怯えるようになる。
レーディングがR-15である為、性的・暴力的な描写が多い本作だが、特に前半40分ころのレイプシーン(ドラマ撮影)は極めてリアルで、18禁レベルの衝撃度となっている。これに関し今はインタビューにて「執拗にすると暴力描写自体が目的になりかねず、あれ以下に抑えると、それらのシーンが表現すべき『感情』が弱まる気がした」と暴力表現の調節の難しさを述べる一方、「やり過ぎた」とも語っている。
演じている岩男潤子もアイドルグループ「セイントフォー」メンバーで、そこから声優に転向した経緯を持つ。その解散決定を機に際どいグラビアの仕事を強制されそうになったという経験まであるのだが、今敏は作品完成の頃までその事を知らず、まったくの偶然だったとこのこと。
岩男がパーソナリティを務めた「スーパーアニメガヒットTOP10」で劇中劇「ダブルバインド」が放送されたが、その中では本作が逆に劇中劇となっており、本作で未麻が演じた主人公が逆に「自分が未麻だと思い込んでいる」、という展開になっている。