概要
『パーフェクトブルー』(PERFECT BLUE)は、1998年公開の長編アニメーション映画。今敏の名を世界に知らしめた出世作である。
竹内義和の小説『パーフェクト・ブルー 完全変態』を原案としているが、原作者である竹内が「主人公がB級アイドル」「キモくて変態なストーカーが登場すること」「作風をホラーにすること」以外の要求がなく、設定変更に対して非常に寛容だったため内容は大幅に異なる。
あらすじ
主人公「霧越未麻」は、人気アイドルグループ「チャム」を突然脱退し、女優への転身を図る。
かつてのイメージから脱却するため、ドラマで大胆なレイプシーンに挑戦し、ヌード写真集も出版。世間の注目を集めるものの、アイドル時代からは考えられない急激な変化に、ファン、マネージャー、そして未麻自身も「本当に自分が望んだことなのだろうか」と疑いを覚える。
やがて、未麻の周囲にストーカーの影が忍び寄り、脚本家やカメラマンが惨殺されていく。
「わたしが殺したの!?」
ドラマで演じる役に浸食されるかのように、自身の二重人格を疑う未麻。そんな彼女の前に、かつて「卒業」したはずの「もうひとりの未麻」が出現する。
登場人物
霧越未麻(きりごえ みま)
声 - 岩男潤子
主人公。人気アイドルだったが、事務所の意向で女優へ路線転向する。アイドル時代の愛称は「みまりん」。しかし現状への不満やストーカーへの恐怖などから、精神的に追い詰められていく。
「あなた、誰なの?」
ルミ
声 - 松本梨香
未麻のマネージャー。自らも元アイドルだが、見る影もなく肥満している。
未麻が女優に転身する事には反対しており、前述のシーン撮影では涙を流す一面も。
田所(たどころ)
声 - 辻親八
未麻の所属事務所社長。彼女を積極的に女優として売り出していく。
少々強引な営業でルミと何度か口論するが、根は悪人ではない。
内田守(うちだ まもる)
声 - 大倉正章
屈強なストーカー。未麻に異常なほど執着している。劇中では最後まで名前が明かされなかった。
手嶋(てじま)
声 - 秋元羊介
渋谷(しぶや)
声 - 塩屋翼
桜木(さくらぎ)
声 - 堀秀行
恵理(えり)
声 - 篠原恵美
村野(むらの)
声 - 江原正士
監督
声 - 梁田清之
矢田(やた)
声 - 古澤徹
雪子(ゆきこ)、レイ
共に未麻とアイドルグループ『チャム』を組んでいた。
土居正(どい ただし)
声 - 陶山章央
冒頭、『チャム』のライブを妨害した不良チームの一人。内田とは逆にスタッフロールでは役名は出てこないが、劇中の新聞記事に「土居正」という名前が出てくる。
見る際の注意
特に、前半40分ころのレイプシーン(ドラマ撮影)は非常にリアルで、18禁レベルの衝撃度となっている。
これに関しては、のちに「やり過ぎた」と今敏は語っている。
関連イラスト
のちの作家への影響
ダーレン・アロノフスキー監督の「ブラック・スワン」(2010年)の構成が、本作に非常に似ていることで有名。
なおアロノフスキー監督自身は2001年に今敏と対談を行っており、「レクイエム・フォー・ドリーム」(2000年)は「パーフェクトブルー」へのオマージュだと本人に直接語っている。
外部リンク
関連タグ
大友克洋:企画協力3人のうちの一人
江口寿史:キャラ原案
三間雅文:音響監督
マッドハウス:アニメーション制作