魚板/魚鼓(ぎょく)/開梛(かいぱん)。
それは中国・明の時代に禅寺で生まれた木彫りの魚。口にボールをくわえている。
魚が常に目を開けていることから「魚でさえ寝ないんだから、寝る間も惜しんで修行に励むべし」という意味合いがあり、くわえているボールは煩悩を表す。
見た目だけならちょっと変わったオブジェだが、寺の廊下などに吊るしておき、連絡用・時報のような使い方をする。中は空洞になっているため低音が響く。
ちなみに楠でできている。
江戸時代前期に渡来したアイテムだが、木魚そのものは室町時代にはあったことが確認されており、どのような変遷で鈴みたいな形の木魚になったのかは不明。
しかし叩いて音を出すものという機能と魚の要素は残っており、取っ手のような部分に向き合う竜(もしくはシャチホコ)の顔やウロコが彫られている。こいつらもやはり煩悩ボールをくわえている(ウロボロスのように自身の尾びれをくわえた形状のものもある)。
ポクポクと木魚を叩くのは集中力を鍛えて眠気も覚ますという実用的な理由の他、木魚の「背」を叩いて煩悩を吐き出させることで救うためだという。
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