概要
黒かばん(登場当初は明確な名前が決まっておらず、「セばん」と呼ばれたりもした)はけものフレンズの二次創作「「けもの」の本能」に登場するオリジナルキャラクター。
小説内で描写された外見上の特徴としては、肌も服も黒く染まっている・瞳は血のような紅い色・それ以外はかばんちゃんに瓜二つ(ただし帽子に関してはかばんちゃんがミライさんから受け継いだものなので、黒かばんは被っていない)となっている。
それ以外の詳細な設定は明らかにされておらず、作者の大上氏曰く、一人一人の想像に任せるとのこと。
それ故に、描く人によって千差万別なビジュアルの黒かばんを見ることができる。
小説内での設定、性格や言動、生き様などに、多くの読者が衝撃を受け、彼女の虜となった。
…良い意味でも、悪い意味でも。
正体について
※「『けもの』の本能」の重大なネタバレを含みます。
既読の方、ネタバレOKな方のみ、スクロールをお願いします。
―その正体は、アニメでもフレンズ達を脅かす最悪の存在であった、大型黒セルリアン。
このセルリアンがかつてパークに侵入した密猟者を捕食したことにより、ヒトとしての【知識】と歪んだ【欲望】という輝きを奪い、大型黒セルリアンを母胎として長い時間をかけて成長・進化して生まれた、ヒトのフレンズ型セルリアンである。
かばんちゃんと同じ姿である理由は作中では明言されておらず、博士の推測があるだけである。曰く
- フレンズの容姿は世代が変わっても大きく変化はしない、つまりフレンズの容姿は決まった形がある
- かばんちゃんはヒトのフレンズである、故にかばんちゃんの容姿はヒトのフレンズの決まった形であるといえる
- かつてパークにはフレンズの姿をしたセルリアンが居たらしい。ならば『ヒトのフレンズ型セルリアン』が現れた場合、その姿はヒトのフレンズの決まった形-かばんちゃんの姿-になるのではないか
上記の推測は恐らく正しい。何故なら実際に、サーバルキャットのフレンズ型セルリアンが存在していたから。
ここで重要なのは、『ヒト型セルリアン』ではなく『ヒトのフレンズ型セルリアン』である事。
言い換えれば『ヒト(人類)を再現したセルリアン』であり『ヒトに極めて近い存在』であるとも言える。
この事が、かばんちゃんを苦しめる事になる。
小説内での行動
性格や能力
セルリアンではあるが、ほぼフレンズと変わらない段階まで進化しており、感情や意思を持ち、言葉を喋り、目的を持って行動している。
それどころか、ヒトを喰らって得た知識の量はかばんを上回り、セルリアンとしての能力もかつて女王が用いたセルリアンを使ったバリアを再現できるほどの力を持つ。
また、他のセルリアンに自身の意識を分与することで文字通りの手足耳目にすることができる(サーバル曰く「言いなりより酷い」)。尚、ダメージが本体にフィードバックされる描写が無かった為、リスクは無い物と思われる。
彼女の手足耳目と化したセルリアンには爪・牙・翼が生えている個体があるが、これは彼女の『知識』の中から再現したもの。形だけのものである為、存外脆いのだが「”本物”を持っているフレンズを取り込めばきちんと再現できる」(本人談)。
そして、それを証明して見せた。
女王も持っていなかった固有の能力が、サンドスター・ロウを亜種に変質させることで、この力を使ってパークを未曾有の危機に陥れた。
保存する能力も有しており、自身を形作る要素だとでも思っているのか密猟者がパークに持ち込んだモノを劣化させること無く保存していた。
ヒトを忠実に再現した弊害なのか、それとも頭脳を再現する為にエネルギーを使っているからなのかは定かではないが、身体能力が文字通りヒト並みという弱点がある。だがそれを補う為に鞄型のセルリアンを背負っておりそこから伸びる4本の触手が武器。
当然、セルリアンの弱点である「いし」も左胸と鞄内部の二ヶ所に存在し、両方を破壊しなければ討伐することができない。
フレンズのかばんちゃんと口調は似ている(一人称はボク、句読点の前の文字だけカタカナで表記されている)ものの性格は全くの正反対。
捕食した密猟者の影響を強く受けているのか残虐非道且つ傲慢で、他者の命を軽んじている。
目的のためなら手段は厭わず、同族であるはずのセルリアンでさえ道具や玩具として扱う。
フレンズ達を見下しているが、同じ「ヒト」であるかばんに対しては興味があるようで、彼女に執着しているような素振りをみせる。
この執着と傲慢も彼女の弱点であり、論破されて平常心を容易く失ったり、ほぼ同じ方法の騙し討ちに2回引っ掛かったりと、悪い意味で人間らしいところが見受けられた。
目的
フレンズ狩りという悍ましい目的の為にパークに侵入した密猟者の「弱肉強食の世界で命を賭して生きる姿こそ獣のあるべき姿である」という思想を喰らった彼女は、その輝きに影響され、肉食草食関係なく仲良く生きるフレンズたちの生き方は過ちであると考えた。
そこで、本来セルリアンの源であるサンドスター・ロウを変異させ、フレンズ達の【獣】としての本能を引きずり出して暴走(野生暴走)させる、サンドスター・ロウの亜種を作り、パーク中に黒い嵐としてまき散らした。
「フレンズの姿という新しい可能性を得た獣たちの命のぶつかり合いは、どのような輝きを生むのか」
ただそれが知りたい、見てみたいという歪んだ知識欲を満たすためだけに、変異サンドスター・ロウを吸収してしまい凶暴化してしまったフレンズ達と、それを免れたフレンズ達が命を懸けて争う様を嬉々として観測し、楽しんでいた。
- 余談になるが、ミライは密猟者の侵入に対して強い懸念を抱いていた。何故なら比較的悪意の小さい、カコ博士の願いや執着ですら重大な事態を引き起こしたのに、密猟者が持つ”ドス黒いかがやき”がサンドスターと結びついたらどれだけの被害をもたらすか想像もつかないから。結局ミライは密猟者を止められなかったが、来たるべき時に備え、知り得た全ての情報をラッキービーストに託した(具体的な描写は無いが関連映像記録がタグ付けされていた)。
- 前述のかばんの苦しみの原因とは、黒かばんの性格と目的そのもので、かばんは「ヒトに近い自分にも黒かばんのような側面があるのではないか」「自分はサーバル達の傍に居ない方が良いのではないのか」という恐怖や不安とも闘い続ける事になった。
余談
けもフレの世界観では異端な悪意に振り切った敵キャラとして活躍した彼女は、良い意味でも悪い意味でも読者の心に残り続けることとなり、物語が終わった後も次々とファンアートが作られている。
元々かばんちゃんと同じビジュアルであることから形にしやすい点や、敗北した彼女の末路が、様々な展開に転がる可能性を秘めている点などが、ファンアートを作りやすい要因になっているのかもしれない。
人気けもフレ二次創作ローグライクゲーム「けものラビリンス」ともコラボし、クリア後の追加ダンジョンの裏ボスとして登場。原作通りのえげつなさと鬼畜さを遺憾なく発揮しており、生半可な備えで挑むと瞬殺されてしまうので注意。
なお、本気の彼女を撃破すると教えてくれるコマンドを入力して新しくゲームを始めると、サーバルとかばんではなく、セーバルと黒かばんというセルリアン版さばんなコンビでゲームをプレイすることができる。黒かばんをプレイアブルキャラとして使えるのは、ファンには嬉しい演出である。
通常のプレイ比べ、初めからいくつか能力が備わっており、これが冒険のメリットにもデメリットなるため、上級者向けキャラとなっている。(黒かばんには、敵を一撃で仕留められない「手加減」という能力が備わっている。原作の性格通り、相手をなめて遊び半分で戦っている性格を表しているのか、簡単に仕留めずいたぶっているのか…は謎である)