概要
「けもの」の本能とは、カクヨムにて大上氏が連載しているけものフレンズの二次創作作品である。
大まかな内容はアニメ11話より分岐したIFストーリー。
もしも巨大セルリアンがフレンズ達によって倒されず、サンドスター・ロウを吸収し過ぎて自爆していたら……という所から話は始まる。
けもフレ11話を軽く上回るどシリアスなストーリー、フレンズ同士での悲壮ながらも手に汗握る熱いバトル、従来のけもフレでは珍しい明確な「悪役」の存在、そして何よりさばんなコンビを始めとするフレンズ達の強い絆……
これらを高い文章力で、見事に書き切っている名作である。
けもフレには似つかわしくないとされるシリアス要素、流血描写なども多いが、そのクオリティの高さから多くの読者に注目され、カクヨムのけもフレ二次創作の人気ランキングでは堂々の一位に輝いている。
魅力的なストーリー、応用しやすい設定、想像の幅が広がるエンディング等の影響からか、小説やイラスト、動画による三次創作も多数生まれており、有志によるMMDドラマ化も一部のエピソードでされるなど、まだまだ展開が続いている。
連載について
2017年4月9日よりカクヨムにて連載が始まり、その後も週一(終盤は月一~二)のペースで連載が続けられていたが、2018年6月29日に遂にエピローグが公開。物語は見事完結となった。
本編は完結したが、今後も作者自身によるスピンオフ作品の連載が続けられる予定である。
あらすじ
「ボク、サーバルちゃんになら、食べられてもいいよ……。」
突如、黒セルリアンが爆散した。
パーク内に、真っ黒なサンドスター・ロウが吹き荒れる。
黒い嵐が過ぎ去った後のジャパリパークには、セルリアンよりも恐ろしい脅威が待っていた。
かばんとサーバルは、パークの危機を救えるのか。
パークに現れた超巨大セルリアンが自爆。この時飛び散ったサンドスター・ロウの嵐を浴びたフレンズ達は次々に凶暴化してしまい、パークは未曾有の大混乱に陥る。
そんな中、かばんたちは暴走したフレンズたちを抑えるべく、生き残ったフレンズ達と共に動き出すが……
主な登場人物
パークを襲った危機を解決するべく、野生暴走から逃れたフレンズ達と共に異変に立ち向かう。
が、二人は異変だけではなく『ヒトの陰の側面』とも向き合うこととなる…。
パークに多数存在するガイドロボット。フレンズ達からは「ボス」と呼ばれている。
アニメ本編では特殊な手段を用いないとかばん以外のフレンズ達と言葉を交わす事はなかったが、パークガイドの権限を託されたかばんの指示により、フレンズと普通に会話する事も可能になった。
としょかんでの『アクシデント』の際、ボスを探しに行ったアライさんが間違えて捕まえてきたラッキービースト。
としょかん近辺の管理をしている個体で片耳の先が破れているのが外見的特徴。
2号という呼称は、かばんちゃんに同行している個体と区別する為の便宜的なもの。
気の所為かもしれないが、2号はボスよりも荒っぽい性格に思える。
事件解決の為の作戦が立案されたのは、ボスと彼が居たからこそとも言える。
本作の事件の元凶。
過去にパークへ侵入したヒトの密猟者の「輝き」を奪った巨大セルリアンから生まれた存在。
ヒトとしての知識欲と純粋な悪意の塊。
生き残ったフレンズ達
登場当初はかばんちゃん達と出会っていないので、アライさんは彼女を「帽子泥棒」と呼んで突っかかっていった。
シリアスな流れの中でもこのコンビの明るさは健在。
尚、本作ではアライさんが『アライグマ』らしい活躍をする場面が結構ある。
巨大セルリアンとの戦闘で負傷したリカオンを庇ったヒグマの指示で、かばんちゃん達とジャパリバスへ避難していたので野生暴走の危機から逃れた。
が、至近距離でサンドスター・ロウの嵐を浴びたが為に野生暴走を引き起こしたヒグマとの戦闘で負傷したキンシコウも、後に感染して暴走してしまう。
アミメキリン共々ろっじの中にいたので野生暴走の危機から逃れていた。
しかし、運悪く外にいたアリツカゲラは野生暴走を発症してしまっており、突如別人のように暴れ出した彼女をどうする事もできず手をこまねいていた。
また、アリツカゲラを取り押さえようとして負傷したアミメキリンも後に野生暴走を発症してしまう。
としょかんの地下室にいて難を逃れた為、生き残ったフレンズ達の司令塔として活動する事になる。
ミミちゃん助手は運悪く地上にいて野生暴走を引き起こしてしまい、消息不明。
へいげんちほーの面子の中で一人外にいた為に、野生暴走を発症していた。
としょかん近くのバリケードを破壊しながらさまよっており、とある一件で野生暴走に陥りかけたサーバルがかばんちゃんに負い目を感じて外へ飛び出した際に遭遇、交戦する。
後にかばんちゃんの指示でボスからの救助要請を受けたヘラジカの加勢もあり、正気に戻る事ができた。
野生暴走を引き起こした当初、オーロックスを襲って野生暴走を感染させてしまっており、不本意ながらヘラジカを傷付けた事もあって誰よりも罪悪感に苛まれている。
ライオンに襲われたかばんちゃんの指示でボスからの救助要請を受けて参戦。
暗い雰囲気の中でも持ち前の豪胆さと真っ直ぐな意志は健在。
黒い嵐発生時、いつものようにロッジでお茶をしていたため難を逃れた。一晩経って外に出たところ『異常な光景』に遭遇し、としょかんに向かった。その『異常な光景』が元凶の居場所を突き止める鍵になるとは思いもよらずに。
尚、ツチノコはスナネコの凶暴化を目の当たりにし、異常事態を伝える為としょかんに向かっていたところをアルパカ達に拾われた。
PPPは楽屋にいたため無事だったが、外で舞台照明を直していたマーゲイが発症。マーゲイを物置に隔離し、『通信』で事態を把握後、かばん達への加勢に向かっていたところ、こはんコンビと合流、二人の『作業』を邪魔するセルリアンの討伐を買って出た。
こはんコンビはPPPライブに向かっていたところ黒い嵐に遭遇したが、ビーバーの心配性とプレーリーの物見のおかげでいち早く気付き水に潜り回避に成功。『通信』で事態を把握後は暴走したフレンズをこの二人ならではの方法で隔離する『作業』をひたすら続けていた。
彼らは奮闘する中で事態を逆転させるカギを見つけることとなる。
ジャガーがいち早く黒い嵐に気付き、コツメカワウソと共に水に潜り難を逃れたものの、この二人以外のじゃんぐる組はほぼ全員が発症。暴走したフレンズ達相手に孤軍奮闘していたが『通信』によりようやく事態を把握、かばんちゃん達に助力する為に決戦の地へ向かう。
フレンズたちの中でも屈指の実力者であるにもかかわらず音沙汰がなかったため、読者を心配させていたが、最終決戦で満を持して登場。その怪力と、余裕を感じさせる冷静な性格で、登場するだけで絶望的な空気を一変させた。
作中用語
サンドスター・ロウの亜種
セルリアンを活性化させるサンドスター・ロウが、この事件の元凶によって変異を起こしフレンズ達にとって害のある成分が加わった亜種。
通常のサンドスター・ロウはフレンズに悪影響を及ぼす事はないが、この亜種を吸収したフレンズは野生暴走(下記参照)を発症し凶暴化してしまう。
野生暴走
サンドスター・ロウの亜種を吸収したフレンズが陥る症状。
「制御できていない野生解放」であることから博士が命名した。
元の獣だった頃の本能のままに活動する状態になってしまい、非常に攻撃的になり目に付いた相手を見境なく襲うようになる。
また、一切の会話が通じなくなり、獣同様の雄叫びや鳴き声しか出せなくなり、言葉によるコミュニケーションや説得は不可能。
この状態から更に力を解放することができ、その際”黒いサンドスターの輝き(けものプラズム)”が放出される。その力は尋常ではなく、ライオンのケースでは爪を振るった余波で周囲の木々を薙ぎ払ってしまった。
症状には段階があり、発熱→動悸→意識の変異(例、他のフレンズを見て美味しそうと思ってしまう)→理性喪失となる。
超高濃度状態の“黒い嵐”の直撃を受ければ数分と掛からず理性喪失に至る他、野生暴走に陥ったフレンズに傷付けられる等の理由で損傷した正常なフレンズは、傷口からサンドスター・ロウが侵入して野生暴走に『感染』し徐々に症状が進むようになる。その際、傷はサンドスターによって治る為、「体は良くなっていくのに具合は悪くなっていく」という端から見ていると不気味な様子となる。
傷口を包帯等で覆うことで症状の進行を遅らせる事はできるものの、あくまで遅滞に過ぎない為お守り石による除染(下記参照)は必要。また包帯の扱いにはある程度の器用さが求められる故、手当てが出来るフレンズも限られる。
そもそも、フレンズは体を維持する為-即ち生きる為に-サンドスターをじゃぱりまんや空気中から摂取している関係上、正常且つ損傷が無かったとしてもサンドスター・ロウの亜種をサンドスターと共に吸収してしまう。つまりパークにいる全フレンズが野生暴走に陥るのは時間の問題だったりする。
お守り石
セルリアンの弱点である「いし」だけを切り取ったもの。
サンドスター・ロウを吸収する性質があり、これを野生暴走したフレンズに接触させる事で正気に戻す事ができる。
しかし、体内のサンドスター・ロウを吸収されるフレンズは凄まじい嫌悪感に襲われ暴れ出す危険があるので、治療中は力の強い者が押さえつけておく必要がある。
お守りとは言えあくまでも「セルリアンの欠片」なので、吸収させ過ぎると攻撃性の高いセルリアンと化して襲いかかってくる。
「いし」を切除する手順は複雑で、それを成功させられる唯一のフレンズは野生暴走を発症している為、数に限りがある状況である。
事件を引き起こした張本人が陣取った場所にして決戦の場。
アニメ本編でも同じ場所があるが、本作では「以前からセルリアンが多数発生する危険地帯」となっており、ハンターや博士たちによる調査がほとんど進んでいないという設定になっている。
過去の映像の中などに出てきた道具。描写から考えて種類はこれで間違いない。
これが作動するとフレンズたちはパニックを起こしてしまう。
この道具、大きな獣には力不足で、小さな獣や鳥は動きが速いので役に立たなかったりする(例外あり)。
この道具が使える相手は、ヒトと同程度の大きさの生物に限られる…。
関連タグ
バイオハザード……作中でもゲーム好きのフレンズが言及しているが「傷付けられると感染する」「メディカルキットが気休めでは無く有効」「かゆいうま的描写」と共通点が多い。尚、作者によればネタの源は「獣還り」で、執筆するうちに"バイオ"寄りになったとのこと。ゲーム好きのフレンズの台詞は自身へのツッコミでもあるらしい。
この小説に基づく三次創作作品(ピクシブ)
図書記架さま作:対 タテガミオオカミ&対 ジャングル&仮面の本能
kopegiさま作:かなしみのむこうがわ シリーズ(全3話)
matatab1さま作「けもの」の本能 ろっじにて etc.
この小説に基づく三次創作作品(カクヨム)
matatab1さま作「けもの」の本能 ろっじにて
外部リンク
→この記事から、様々なファンアートや動画作品が視聴可能。大上氏が監修も行った、マスクザ春原氏による「じゃんぐるちほー」の動画は必見。
表記揺れ
けものフレンズ2…5話に登場したアムールトラの様を見て本作を思い出した視聴者も多かった模様。作者に至っては大変な事になっていたらしい。
ビースト(けものフレンズ)…上記のアムールトラが暴れていた理由。野生暴走と異なり先天性で確率で発生する。漫画版では同質の現象(制御できていない野生解放)であるとかばんによって明言された。